第13話 四重⑤ ~二口女~

「オレ? オレか~。……答えはNOだ! 四重の番人として、チン之助の突破は、まだ認められない!」

「ちょっとサイカ、何言ってるの。ボクもう満足したよ」

「ああ、そうだろうな。一心同体だもの、当然オレも分かってるぜ。だがよ、今までやってきた男たちのことを思い出してみろ、ミナミ。そいつはイキまくって果てただけだ、お前に興味をなくしたわけじゃないって何度言っても、お前は納得しなかったろ」

「そ、そうだけど……キキョウさん! ボクもう限界だし、負けを認めるからチン之助さんを上に……」

「分かっているでしょう、ミナミさん。死亡お遊戯の各重の突破条件は、嬢の敗北宣言あるいは気絶。そしてあなた方の場合、意思を通すには二人の合意が必要です」

「そんなあ」

 チン之助がミナミの手をつかんだ。

「そういうことだ。おいたをした娘には、お仕置きをしないとな」

 カチャン

 小気味良い音とともに、手錠がかけられる。量販店でよく見るピンクのポワポワがついた手錠だが、ここはアヤカシ屋。手錠そのものの造りは重厚で、妖怪娘であっても簡単に外すことは出来ない。

 反対側の手にもかける。そしてチン之助は一瞬で服を脱ぎ去った。

「や、その、待って。なんで手錠なんか。それに、ボクまだ敏感で、あぁう!」

 二口女のニットのセーターを首元までまくりあげ、自身が仰向けになると彼女に跨がらせる。

 騎乗位だ。先刻と大きく違うのは、尻にエネマグラを仕込まれておらず、相手の動きを手錠で封じている点。

半立ちのチン之助のペニスの上で愛液と精液で濡れたミナミが腰をくねらせる。

「あン! ん! 感じちゃう。素股なのに。こんなのでも、ボク、ああ、ウソ。おちんちんがどんどん大きくなってる。」

 徐々にその硬さを取り戻しつつあるイチモツが、擦り付けられるミナミのクリトリスを押しつぶす。そのたびにミナミは身をよじり、ガチャガチャと手錠を鳴らす。

「ああ! 入っちゃう、このままだと入っちゃう。チン之助さんのおちんちんが、ボクのオマンコに……あはっ、入っちゃったぁ~。ボク、またセックスしてる。さっき終わったのにぃ」

 チン之助が催促するように腰を動かすと、騎乗位の姿勢のミナミは甘い声を上げながら腰を前後に擦り付けた。手錠で束縛された両手を男の臍の辺りにつけ、挿入されたペニスの大きさと硬さを味わおうとするかのように、一心不乱に下半身を動かしている。彼女の快感の表れか、乳首が痛いほど勃起している。

「あぁあ~、うそ、腰止まんない。だめ、ン! もう、感じすぎちゃって。こんなのムリ。お願いチン之助さん、好き、大好き。だから」

 チン之助は二口女の美しい体を引き寄せてキスをした。鍵を回し、手錠の戒めから彼女を開放してやる。手を後頭部に回し、サイカの口に指を滑り込ませた。

そのまま身体を反転させて正常位の体勢になる。

 足を大きく開き、チン之助を受け入れる姿勢のまま動けないでいるミナミの体の上で挿入を始めた。

「ああ、よく頑張ったな。ここからは俺が動こう。三人で、気持ちよくなろうじゃないか」

「ち、ちが。待って、ボクもう、あぁあ! いきなり、激しぃの! ズボズボだめ! あんっあんっあんっ、あっあっあっ、イってる、ボクイってる、何度も! ずっとイッちゃってるの!! ごめんなさい! ごめんなさぁぁいぃぃ!!」

 ミナミの絶叫を聞いたチン之助は、彼女の一番奥で射精した。

 三人の荒い息が行動にこだまする。さしもの性豪チン之助と言えど、これでこの夜六度目の射精だ。全身にびっしりと汗をかき、疲労が澱のように全身にこびりつく。このまま寝てしまえたらどんなにか幸せだろう。

 事実彼は、数瞬の間まどろんでいた。夢に落ちようとする彼の意識を覚醒させたのは、サイカの声だった。

「死亡お遊戯四重の番人サイカ及びミナミは、敗北を認める。気持ちよかったぜ、おにーさん。それで、どうするんだい、五重への挑戦は?」

 だらしなく股を開いたミナミが、自身に覆いかぶさるチン之助のたくましい背中を撫でる。

「もう行っちゃうの? もっとゆっくりしていけばいいのに。ボク、チン之助さんともっともっとお話したいことあるんだ」

 二人とも、彼が五重へ挑むことを全く疑っていない。それだけチン之助のことを、彼の精力を、信頼しているのだ。

 チン之助は人知れず、苦笑いにも似た笑顔を浮かべた。

 ここで応えなくては、男が廃る(すたる)。

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