第24話:二ッチの夜

その日の夜分において、正洋はノートパソコンに向かいテキストソフトウェア上でタイプを走らせていた。いつもの日課としての日記である。

正洋の意識としてその日の出来事に向かいそれをタイプとして思考の文章化するのは心地よいことであった。


正洋(今日の日記は大体はおわり。よし、他に控えておくことはなかったかな。そういえば立花さんのクラスのファイールズ君、か。

インド人ハーフだったっけ。日本語が巧くてほとんど日本人と区別がつかないけど。滑舌を考えれば自分よりもうまくはなせているかもしれない。自身とは異性に対しての心構えも違うようだ。発破・・・か。話してみたら、現場で仕事している時もあるようだし、それを引け目に感じる風でもなかった。危険な仕事だろうに、汗も流す、力もいる、おそらく。遂行中はどんな状態なんだろう。まだ、自分達は15歳だぞ。すごい、すでにお金を稼ぐ手段を持っているのはすごいな。将来としてどうなんだろう。自分、突き放した存在がいるかのようだ。


正洋として現在高校一年生。将来としての進路はまだ先であり不確定である。しかし、知り得た存在としての明。自身の進路としての技能を有しているのは憧れとしてあった。正洋は自身と比較して気おくれし考慮する。いかなる状態なのだろうかと。


正洋(自分はどうだろうか、将来としての道先が不安だ。大丈夫だろうか。そうだ、販売だ。論文をしたためてその数を増やし販売することにより利益と安心が得られれば、武蔵小杉の分も感想を聞きたい。うまく販路に乗せれば購入されないだろうか。


正洋のタイプに走らせる指の動きはとめどなかった。その日はいつもより若干量がおおく、将来への不安視が占めていた。


明はQRコードの中に張る三つの論文はその日のうちに読み終えていた。スマホ上では読みにくさを感じたのでパソコンにアドレスを送りその上から読み終えている。おおよそ1時間弱で慎重に読み終えた明は深いため息をついた。


明(・・・すごいな、なんだこれ。実際にやったの?これ。これなんだろう。論文・・・かぁ。小説ともラノベとも違う。それはまあ読むけどさあぁ。論文、ねぇ。巧くまとめたもんだなぁ。)


明はベッド上にあおむけに倒れ込む。しばし、正洋という人物と彼が筆記したとされる論文の中身を思案していた。


明(石坂正洋ね。身長は僕よりも小さい。165センチぐらいか。別に今風と比べると素朴かな。うん、実直か。すこし丁寧すぎるきらいがあったかなぁ。ああ、うん。いいね。これを書いてどうするかわからんけど。何考えて書いたんだ?うん。面白かった。


明はしばし思考を停止させ、忘我の胸中で時間の経過を待つ。弛緩した頭脳はここちよかった。小一時間で読み終えたが一日の疲労も含めて休息をとった。


明(遊びつかれて疲労する時もあるしなあ。そういったときに比べたらましな疲れかな、なんか彼、咲子ちゃんと仲良さそうにみえるけど・・まあ、ああいったタイプは億手だよなぁ。気おくれは別にしないけど。僕はどうだ。一応として発破と解体に関しては自信がある。色々やってる人に比べて、汗臭いかなぁ。でも。他に特異な事は・・まあ、これから増やせばいいか。ふうん、論文ね。ライバルになるかなあ。うん、ま、視野は広くもつかぁ)


その日の夜としてお互いの存在を意識したのであった。双方としてその印象は悪いものではなくその技能に多少の関心を持ち夜はすぎた。

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