第15話:石坂浩二の章 工程収集
幼き眼に焼き付いているのは母の自分を背負う姿であり、父親のものではない。小学年の早々の時期にてすでに、食卓をかこみ家族を見据えるまなざしは、団欒としての情動ではなく、いかにして背景としての実態を恵まれたものにするかであった。幼き頭脳はすでに生活を維持するための基盤の窮地に気付いており、自身の能力と環境から改善としての指向性にめぐまるしく回転していた。
幼き目の流れる生活を送る大勢の中で、相次ぐ改善と向上の意志の力は、結果としておおよそが成年になろうともたどり着けない境地であったことは形として現れていたという。
その境地の一つとしての思考が身に着けた個性は、市井における努力の末の知恵の収集でありそれによる自身があらわす結果である。
義務教育課程に至る頃合いには、収集した工程による結果をさせる能力はすでに、国家運営に影響を及ぼすに至る。
指向性による構築された人格は成年をもってしても反社会的としての要素をゆるさず、時には自身の能力としての権利、装備をもって制裁を行うに至る。
石坂浩二、16歳。高校二年、にしてすでに見据えた人生の計画は履行されるものだと確信し、その過程を楽しむ余裕をもって日々の進行をすすめ、進捗としのて工程収集は日常に連れなるものであるという。
影山「やあ、石坂くん」
影山は廊下を歩いている石坂浩二に声をかける、自身はトイレの帰りであり浩二に声をかけたのは悪意のあってのことではない。好奇心とその人格をある程度信頼してのことである。問題のある反応はしまいと。
浩二「ああ、影山君か。どうだい調子は」
影山「大分、いいよ。そちらは」
浩二「普通、暇な時間を作って推敲したいかな」
影山「推敲?何を?」
浩二「いや、自分の」
影山「自分の?まあ。いいや。ところで弟さん有望株って聞いてるよ」
浩二「正洋が?なんだ何かやってんの?あいつ?」
影山「なにかやってんのは君のほうだとおもうけどね。いろいろお手やらわかに」
浩二「なんのことだか。ところで今日見学くるんでしょ」
影山「ああ。若い娘達がね。いやぁ入部してくれるとはね。」
浩二「こっちもひとりかな、まあいいけど。それじゃ」
影山「三人娘はよろしく」
浩二「ああ。うん」
その日の午後、石坂浩二の発足した「デザイン研究室」に三人娘と呼ばれた女子生徒が訪問した。
宇田川咲子、立花律子、手塚美子である。咲子が部室のドアをノックしておそるおそる開け声をかける
咲子「あのぉこんにちは、いいですか?」
律子「来ちゃいましたぁ」
美子は初めてだからか、伺う様子で沈黙をしている。部室内にはすでに4名が滞在していた。
咲子が視線を流すし確認する。石坂浩二、福山、佳村、そして前回いなかった男子生徒だ。すこし背は小さいだろうか。
浩二「ああ、いらっしゃい。どうぞ」
咲子「どうもぉ」
律子「こんにちは」
美子「こんちは」
福山が口を開く、
福山「ええと、きょうはなんだっけ」
浩二「福山君今日はね影山君の紹介で我が研究室の取材だよ、厳密に何をしているか教えてほしいとさ」
佳村「若い娘をつれてきたね。昨年は影山君も取材にきてたね、ああいいんじゃない」
咲子「どうも、あらためてきちゃいましたーえへへ」
律子「えーと、・・・咲子」
咲子「ああ。うん。自己紹介します、ね。日常研究室から来ました宇田川咲子です」
律子「立花律子です」
美子「手塚美子でぇす」
浩二「はいよろしく、僕は代表の石坂浩二です」
福山「ああ、ぼくらもか二年の福山です」
佳村「おなじく二年の佳村です。」
そして初めて見る男子生徒が口を開く
男子生徒「あ、新入部員の山本です、よろしく」
咲子達さんに三人は促された形で部室内の壁際の椅子に座る。デザイン研究室の人材と向かい合う形になった。
浩二「どうも、今日は影山君の依頼でお客様にデザイン研究室の活動を教えます。後学のためと、彼らの研究のためだそうだ」
福山「ああ、うん影山君変わったこと好きだからねぇ」
佳村「そろそろキャラつかめてきた、影山君の?」
律子「あーやっぱりですか?」
咲子「うーん」
美子「変わり者好き、かなぁ」
浩二「と。いっても相手の人格は考えているよ、その辺は大丈夫。彼が好きなのはニッチ分野の収集と姿勢を見る事であって変人がすきなわけではない。その変は大丈夫だよ。」
咲子「ああ、はい」
浩二「くれぐれも単におかしいのとは好き好んで距離を近づけないように」
咲子「はーい。ありがとうございまーす」
浩二「はい、それじゃ我が研究室の活動の説明だったね、我が部ではデザイン全般の研究をしています。デザインとっても復職だけではなく、工業デザインも含めてます、得意分野は工業系かな。わかるかな?工業デザイン」
美子「えーと。かっこいデザインを考えるとかじゃ・・」
浩二「うん、違う。まあ、理解としては。たとえば、機械の目的や性能にあった、素材、形状、部品選択などなんだ。機能性を重視したデザインと考えてください。」
美子「うちら、高校生ですよ、めずらしくないですか?そういうの、なんか難しそう」
浩二「難しいよ、時間をかけて研究している、というか僕が教えてできるようにしてる」
咲子「それで何をするんですか?」
浩二「うん、日常としての活動は工業デザインの勉強から、一から設計しての作品物の制作などをしている。」
福山「ほら、この間見せたこういうの」
と、福山は机の上から以前みせた、ガリアンクロウをもった。美子がめずらしそうに声を上げ福山が貸す、簡単な説明をしている。
浩二「君らは、ガリアンこの間みせたからね。実際に作ったの他にも見せて説明しようか」
佳村「僕のをみせようかな、僕が作ったのはこれ」
とハート形の金属を掲げる、佳村が指を動かすと変形する。カチっという音と共に変形した金属の中心から火が灯される。
咲子「ライターでしたっけ」
浩二「そう。佳村君上出来」
山田「先輩達すごいなあ」
浩二「時間をかけていいよ山田君」
咲子「他にどんなのがあるんですか?」
浩二「これはどう?」
そういって咲子に金属をわたす。同じくハート型だ。
浩二「突起をおしてみて」
咲子が押すとハート型の金属は二段階変形し、中心部にスプレーヘッドらしきものが現れる。
浩二「アロマ。吹かしていいよ」
咲子がスプレーを吹かすとアロマの霧が噴出される。部室にアロマの匂いが広まる。
咲子「ラベンダーかな、これ、えへへいい匂い」
浩二「あげるよそれ、他の二人も」
律子「いいんですか?」
美子「お。やり」
それから浩二が主導でデザイン研究室の活動の説明がつづく。パソコンをつかっての説明やノートブック上に書かれたデザインと実際につくられた作品物を何点かみせもらう。咲子たちの立場ではどのようにして制作したかわからぬものばかりである。
浩二「こんなところかな、質問もいいよ」
咲子「一番すごいものってなんですか?」
福山「石坂君、あれ、やってみたら?」
浩二「あれね、まあ。宇田川さん?スマホもってる?」
咲子「ああ、はい」
浩二「GPSつけてみて」
咲子が言われるがままスマホのGPSアプリを点けると、浩二がいつのまにか手にもつリモコンを操作した。
咲子「あれ?あれれれれ?」
咲子の視線にあるGPS画面が変化した。ぐるぐる回転している。
浩二の手元が別の操作をする。
咲子「あれ?あれれ、うごかない。電波?」
佳村「やっぱり驚くよな」
山本「すごいなぁこれ」
咲子「なにしたんですかこれ。」
浩二「GPS止めた」
律子「へ?止めた」
浩二「うん。だれのGPSで止められるの僕?」
咲子と律子の沈黙が数舜つづく。理解に少し時間がかかっているようである。美子はガリアンクロウで遊んでいる。
浩二「まあ、いいよ。驚いた?まあ、問題起こさなきゃ止めないよ」
浩二の答えに、曖昧にうなづく咲子。その後として驚きの余地がまだあるかのような、浩二の説明が続く。
美子はガリアンクロウが気に入ったようで、その日、クロウを貸りていいっている。浩二の予想外として動画サイトにアップされた
ガリアン・クロウで遊ぶ美子の姿があり、その日からすこしずつ浩二の発明の能力が市井にすこしずつ知られていくことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます