理想の男性は身近に居た!

石のやっさん

第1話 本文

わたしの名前は木崎陽子。


37歳になる平凡な主婦だ。


私の家族は同じ年の夫和樹と18歳の息子和也と3人暮らし。


本当は和也の前に1人達也という子を宿したけど…流れてしまった。


だから、息子は1人しか居ないのに『和也』という名前にした。


それは子供として生まれる事が出来なかった達也への思いからだ。


達也が流れてしまった時は、夫の和樹と一緒に泣いて過ごす日々が続いた。


そんな中で出来た子供が『和也』だった。


だからこそ…本当に目の中の入れても痛くない。


いや…下手したら目と交換でも後悔しない位、和也は可愛い。


うん、我が息子の可愛さは世界一だ。


そう言えるほど可愛い。


しかも、和也はこの齢になるまで反抗期も無く、まさに理想の息子に育っている。


本当に自慢の息子だわ。


『母さんただいま』


『母さん、行ってきます』


そんなただの挨拶ですら可愛く聞こえる。


息子への愛情とは反対に旦那への愛情はかなり薄れてきた気がする。


まぁ、当たり前と言えば当たり前だわ。


若い頃は、凄く私を求めて来たけど…流石にこの齢ではもうないわね。


二人の体を求めあうピークは多分、和也が生まれるまでだわ。


達也が流れた後…どうしても子供が欲しい、私達二人は凄く頑張った気がする。


最初は悲しかったけど、これではいけないと考えた私は、今まで以上に旦那の和樹を誘惑していたわ。



今じゃ恥ずかしくて着れない、紫のスケスケの下着を身に着けたり、乳首の所と大切な所に穴が開いている赤の下着…まぁ今考えれば随分破廉恥な下着も着ましたわ。


だけど、子供が生まれると女から母親になるのね。


どんどん、そう言った、性欲とかは無くなっていく物なのね…


最も、赤ん坊の和也が泣きだして、せっかくお互いにその気になっても『中断』とかになったから何時からか冷めていった、そんな感じかな。


「うぎゃぁぁぁ、おぎゃぁぁぁ」って声の度に女から母親に引き戻されるのよ…母親だから仕方ないわ。


育児が大変だから、この頃になると家の中じゃお化粧もしなくなるのよ…それと同時に、まだ赤ん坊とはいえ息子が出来たから、派手な服や下着は恥ずかしくてもう着れないわ…最早箪笥の肥やしだわね。


服は質素な物に代わり、下着なんかは近所のスーパーで2枚980円の物に代わったわ。


だってそうしないと近所のママ友に『子供が居るのに』と嫌な目で見られるのよ…仕方ないじゃない。


旦那の和樹からは「とうとう女を捨てたか」なんて言われるけど、仕方ないのよ。


『平凡な主婦が一番』誰からも非難されないんだから。


大体こんな姿をしているのも、義母である、あんたのお母さんが煩いから、それも原因の一つなのよ。


それを理解しない夫の和樹は本当に…腹が立つわね。



勿論、夫婦の営みはお互いが義務になった感じ。


例えば


「今日良いだろう…陽子」


「そうね、うん構わないわ」


夫の和樹が誘ってきた時はこんな感じかしら。


逆に私が誘った時は…


「貴方、今夜どうかしら?」


「うん、解った」


もうこれお互いの性処理をするだけの義務ね。


時間も30分から40分だし…


夫和樹の腹が立つのは『目を瞑っている事』。


多分、もう夫の和樹は性行為の最中に『私じゃない別の女性』を考えているんだと思うわ。


アイドルなのかAV嬢なのか、はたまた後輩のOLなのか解らないけど、私が動く中、マグロ状態で目を瞑って寝ているだけ。


どう考えても、これ精神的な浮気よね。


まぁ、私も偶に若い子を妄想しているから半分はお互い様なんだけど…


それに比べて和也は…うん凄く可愛いな。



「お母さん、遊んで」


「はいはい、何して遊ぼうか?」


「うんとね..うん鬼ゴッコ」


「解ったわ、それじゃお母さんが鬼ね」


心が癒されるわ。


本当に…


私と和樹は幼馴染で結婚したから、子供時代も結婚遊んだんだ。


うん、あの頃をつい思い出しちゃう。


◆◆◆

女って母親になると性欲が薄れていくのかしらね?


実の所、自分ではかなり激しい方で『淫乱』なんじゃないか?


そう心配していたんだけど…


すっかりそうじゃ無くなったみたい。


自分で言うのもなんだけど…割と良い母親をしている気がするわ。


「お母さんただいま~」


「うん、おかえりなさい、おやつならテーブルに置いてあるよ」


「うん…頂きます」


う~ん、もう女じゃなくて母親だわね。


だって小学生の和也が凄く可愛いんだもん。


自分の血を分けた息子だからかな、うん今じゃ和樹の10倍位可愛いし…好き。


完全な母親だと思う。


◆◆◆


最近、和樹の背広から、色々なスタンプ券が見つかる事がある。


キャバクラだったり、飲み屋のスタンプ券に偽装されているけど…風俗のお店だ。


最近の風俗は凄いわね、だってスタンプ券がね、居酒屋のにしか見えないの。


だけど、流石に電話番号はお店のだからネットでくぐったらまるわかりだわ…


多分、これが新婚そうそうだったら大喧嘩したはずだけど…


今の私にはもうどうでも良くなってきている。


私と和也が生活出来るお金をくれれば良いだけよ。


文句を言う必要はないわ。


寧ろ、お互いに思いやりの無い性処理するより余程良いかも知れないわ。


「ねぇ、和也、今日は外食しようか?」


「お母さん良いの?」


「うん、今日は和也の好きな物、何でも食べさせてあげるわ」


「それなら、僕ハンバーグが良い」


「そう、それじゃハンバーグを食べに行こう! その後は前から和也が欲しがっていたゲームも買っちゃうわよ」


「お母さん、大好き!」


別にいいわよね…貴方が風俗で使う分、私が息子の和也に貢いでも文句ないわよね。


◆◆◆


和也が六年生になった。


六年生になった和也は子供の中にも妙な色気が入ってきた気がする。


子供から大人になる微妙な時期…一番きれいに見える時期だ。


「ねぇ、和也は好きな女の子居ないの?」


それとなく聞いてみた。


夫和樹に興味が無くなった分…もしかしたら今の私は和也に依存しているのかも知れない。


「そうだね、別にいないけど、もし一番好きな人をあげるとしたら、お母さんかな?」


「わ、私?」


驚いた、こんな不意打ち…正直いえば、和樹から指輪を貰ったときよりより胸がときめいたかも知れない。


「そうだけど…どうかしたの母さん?」


私は思わず和也に抱き着いてしまった。


「そう、そんなにお母さんが好きなんだへぇ~ 以外」


「だって、母さんは料理が美味いし、その他のお母さんに比べると綺麗だし…もう、俺部屋に行くね」


あっ! 行っちゃった。


しかし、耳まで真っ赤にして凄く可愛いの。


あっ、もしかしてこれかな。


私、ノーブラの状態で胸を押し付けていたんだ。


うん、間違いなくこれだ。


しかし、和也もそう言う齢になったのね。


それに今『母さん』って呼んだわね。


お母さんから母さんね。



◆◆◆


和也が中学生になるころにはもう夫との夜の営みはすっかりなくなったわ。


まぁ、和樹は頭が剥げてきて、お腹も出て来たわね。


私はそれなりに頑張って維持しているけど、歳には勝てないわ。


しかし、和樹は…よくこれで遊べるわね。


最近では、キャバクラの女に随分なお金を使っている気がする。


馬鹿だわ本当に、何でもカードを切るから明細で解るわよ。


ブランド品にキャバクラ代にホテル代。


私が文句を言わないから日に日に大胆になるわね。


帰ってこない日も多いから…もう隠す気も無いのかしら。


「しかし、和也、いい加減彼女とか作らないの?」


「別に欲しく無いから…良いだろう」


「隣の次雄くんは日曜日に女の子たちとプールに行くそうよ、和也も一緒に行ってきたら?」


「別に同級生の女子に興味無いし…次雄とは仲良く無いから」


「そう…だけど母さん、心配だわ」


「くどいよ、母さん」


部屋に駆け上がっていっちゃった。


しかし、我が息子ながら、なんで女友達を作らないんだろう。


和樹と私の子で親の贔屓目かも知れないけど、和也は凄くカッコ良いわ。


短い髪に切れ長の目、そうね、夫の和樹を数倍綺麗にした感じかしら。


そんな和也になんで彼女が出来ないか不思議だわね。


◆◆◆


和也が高校生になった。


しかし、和也は相変わらず女友達が居ないわね。


勉強の成績は良いし、運動だって決して出来ない訳じゃない。


それなのに、全然女っけが無い。


宝の持ち腐れの様な気がするわよ。


「あの和也…家にすぐに帰ってきてお手伝いをしてくれるのは嬉しいけど…部活や友達と遊びに行かないで良いの?」


「別に…同級生と一緒に遊んでも面白く無いから」


「そう…それなら良いんだけど…」


和也も、もう18歳そろそろ年頃。


彼女の一人も居ないと…心配だわ。


まぁ大学に入ってからでも間に合うかしらね。


◆◆◆


そんなある日、夫和樹の不倫が発覚しました。


「陽子…悪いけど離婚してくれないか?」


「急にどうしたのよ?」


確かに夫婦間の営みはありませんし、愛もありませんが『家族』としてはしっかり支えていた筈です。


女遊びも目を瞑っていました。


「済まない、会社の後輩の里奈と不倫していて、子供が出来た」


10歳年下の子と不倫をした挙句に子供…


「そう、それで離婚してどうするの? 和也だって貴方の子でしょう…ねぇどうするの?」


心が私にはもう無いのは解っていました。


ですが…まさか家族まで壊そうとしていると思いませんでした。


良い父親では居たはず…そう思いたかったのです。


「慰謝料は言い値で払う…財産分与もしっかり陽子が納得いくようにする…だから別れてくれ」


「勝手すぎるわ」


「だが、もう気持ちが無いんだ解ってくれ、お前が悪いんだ! 全然女らしく無いから…」


確かにそうだけど…それはお義母さんや近所の手前、派手に出来ないから…仕方ないじゃない。


悔しさからか…涙が出てきました。


「母さん、こんな最低男と離婚した方が良いんじゃない?」


声を聴いていた和也が現れたのです。


「和也…お前、俺はお前の父親だろうがっ」


「はぁっ!あのさぁ親父が不倫した挙句、若い子まで妊娠させた挙句、母さんと離婚するんだよな…俺は母さんについて行くから、戸籍だけの親子じゃないのかな? どう考えても若い子と子供が居る生活に俺の居場所なんて無いだろうがっ」



そう、私は別れるのが辛いんじゃない…家族が壊れてしまうのが悔しい…多分それだけなのかも知れない。


和也がこうして私の味方してくれただけで、もう…


「そうだな…すまない…俺は新しい家族を大切にしたいんだ」


「そう、親父さぁ慰謝料言い値で払うって言ったよな…なら3億で良いよ…母さん3億円貰って離婚しよう、もうこんな奴要らないでしょう?」


「和也ふざけるな、そんな法外な価格払えるわけないだろうが…」


何時もは父さんと呼んでいる和樹を親父って呼ぶ位だから和也はかなり怒っているみたい…


多分、私もとっくに愛情なんて無かったのかも知れません。


「そうだよな親父、そんなに稼いでないもんな! 母さんが在宅ワークで働いて生活費稼いでいる位だから…ねえ母さん、この家は母さんがお爺ちゃんから引き継いだ家だから、お母さんの物だよね」


「ええっ」


「それに貯金だって親父の給料は全部不倫で消えたから元から母さんの物じゃないかな…なぁ親父」


「和也、何が言いたいんだ?」


「あのさぁ、俺は子供だから黙っていたけど、この家には親父ものなんて殆ど無いんだよ…愛人? 不倫相手にお金を沢山使いこんだんだから元から親父のお金も財産も無い…だから身一つで親父が出て行けばいいんだよ…ほらっ」


何で和也が『離婚届』なんて持っているのか解らない。


それに、何だか別の書類も持っているのはなんで?


「和也、お前…」


「親父が浮気していたの知らないと思っていた? 知っていたよ! まさか離婚までするとは思わなかったけど…ほら、これ書いて出て行けよ…」


「なんだこれは?」


「離婚届けに覚書きだよ…母さん、こんな最低な男捨てちゃえ」


「そうね…和也が言うなら、もう母さんもいいわ、和樹さん離婚しましょう」


和樹さんは『言い値で払う』って言ってしまったせいか…全部にサインして鞄一つで出て行きました。


その足で私と和也は離婚届けを出しに行ったのです。


なんで、この子は、こんなにせかすのでしょう。


別に明日でも良いと思うのですが…


◆◆◆


可笑しな事に、その後、何故か和也は上機嫌です。


「あの、和也一体どうしたの? お父さんが居なくなって寂しく無いの?」


「別に…散々キャバクラや風俗に通って、最後は不倫、寂しいどころか同じ男として軽蔑するよ」


「そ…そう和也は知っていたのね」


そうか、和也も知っていたんだ。


「あのさぁ…俺は母さん一筋だから」


え~と、これは親子って事で良いのよね。


「和也、それは親子って意味よね、母さんも」


「違う…好きな女性って意味で…母さんは本当に鈍感」


え~と…どうして?


「あのね…母さん和也に好かれる様な要素無いと思うんだけど? 間違いよね…」


何で顔を真っ赤にしているのよ…もう。


「最初は良い母親だと思っていただけだけど…母さんって料理も美味いし、家事も完璧だし…それに凄く綺麗だなと思って…そうしたら…」


「あーあーっ あの嬉しいけど親子だしそれを除いてもわたし、おばさんだよ…体だってもうずいぶん草臥れて…ほらね」


私は和也の手を取って私の胸に押し付けました。


「母さん…」


「ほらね、おばさんの体でしょう? 和也にはもっと可愛くて綺麗な子が…ほらね」


「俺は…母さんが良い」


今解ってしまった。


和也は…本当に私が好きなんだ。


年頃の子が部活もしないで、デートもしなかった。


そういう事だったのね。


今の私は…和也の事で頭が一杯だわ。


この子を失いたくない。


和也を見ると顔を真っ赤にしている。


私も顔が赤いわ。


私がこの子を好きにならない訳がないわ。


だってこの子は『私が好きだった頃の和樹さんの容姿』で『私を愛しているって言うんだから』


仕方ないわね…認めるしかないわ。


心配そうに私を見てくる。


心細そうに…


「母さん…返事は…その」


「そうね、母さんシャワーを浴びてくるわ…その後和也もシャワーを浴びて寝室にきて」


「母さん、それって」


「こう言うことは口では言わないの」


「…解った」


◆◆◆


私は久々に箪笥の肥やしになっていたスケスケの下着を取り出した。


シャワーを浴びている時も気が気じゃ無かった。


もうどの位、男性を受け入れていないのかな…


最後にしたのは…あははっもう解らない。


結構維持している方だと思うけど、胸が少し垂れている気がする。


肌も昔みたいに水を弾かないわ。


それに股は…もう随分使って無いけど…平気よね。


そう…脇の下も剃らないと…


これ以上はもうどうしようもできないな。


下着は…紫のこれで良いかな。


私は寝室で和也を待った。


まるで初めて経験した時以上に心がドキドキした。


ドアが開き和也が来た。


「母さん」


「いらっしゃい和也」


もう私は和也を受け入れるしかない。


息子としてじゃなく『男』としても愛しているから。



「愛しているわ和也」


「母さん…俺も愛している」



二人の新しい関係が今から始まる


                   FIN




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