いました。

1話 遭遇?

 朝、目が覚めた。ぼやけた視界に少し透けた物体が見えた気がした。俺は寝起きの時は

あまり頭が回らない。そのため、深く考えずに朝食を食べに下の階へ降りた。


…………

 部屋に戻ると、俺は唖然とするしかなかった。               

 そこには、歳が同じくらいの半透明の少女がいたからだ。控えなドヤ顔で。


「何で俺の部屋にいるんだ?」


疑問が口に出ていたらしく、少女?が聞き取り、 


「それはね…って、家に女の子がいるんだよ!

 反応が薄過ぎ、だよっ。しかも、幽霊!」


普通なら、摩訶不思議なことに混乱するだろうけど、それよりも幽霊って騒がしい奴もいるんだな、と思っていた。 そう思っている間も、幽霊は続ける。


「それじゃ、自己紹介を」

「名前、あるのか?」


幽霊に、と内心付け加える。


「私は、一条 明依。明依って呼んで、ね」

「分かった。俺は「伊坂 透輝ね、トウ君って呼ばせてもらうわ」


遮られた。しかも、俺の名前を知っているし。どっかで会ったっけ。

 ガチャ。部屋の扉が開き、妹の桃花が顔を出す。

 

「にぃ。誰と話してるの?あれ?誰もいない。電話もしてない。一人で喋ってたの。怖っ!」

 

バタン。それだけ言うと、戻っていった。


 「おま「明・依!」


また遮られてしまった。

 

「おま「明・依!」


どうやら名前呼びしないと、ゲームの村人みたいな問答が続くらしい。

 

「分かった。明依」          

「ハ、ハイ。ナニカナ」


名前を呼んだら、明らかに動揺しているようだった。何故?それと、幽霊なのに顔が真っ赤だ。


 「顔、赤いけど大丈夫か?」


無意識のうちにコイツのおでこに手を当てていた。


「ン!触れる?」


 コイツに関して分かっていることは、

・俺以外は視えていないこと

さっき、桃花が視えてなかったことが理由だ

・俺は触れられること

 の2つだ。


 とりあえず、頭の中を整理し終え顔を上げると、未だに顔が真っ赤な幽霊がいた。朝、登校するまでその状態が続いていた。


 俺は何で家にいたか、明依に聞くのを忘れていたことに気づくのは、かなり後になってからである。


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