訳あって三つ子の幼馴染と一緒に暮らし始めたら学生生活が色づき始めた件(三つ子幼馴染の攻略法)

神在月

第1話 日常な非日常

 俺の名前は菅原彷徨すがわらかなた!どこにでも男子高校生だ。ただ一つ、俺には人には言えない秘密と呼ぶにふさわしいものが3つある!いや、3人いる!それはずばr・・・


 バーーーーーーン!!!!!!!


「おっはよー-!カナタくん!もう朝ですよー!」


「うるせえよ三葉勝手に扉開けんな、もう起きてるよ。それぐらいは見てわかんだろ」


「えー?だって朝から元気な方がいいじゃないですか?」


「もう勝手にしてくれ・・・」


 改めて説明、一人目はこの音量のイカレテル奴が大室家の三つ子三姉妹三女、大室三葉おおむろみつは。裏表がないんだか知能がないんだかその両方なのかはよく分からないが、まあとにかく底抜けに明るいやつだ。


 正直言ってこいつだけで弩級にめんどくさいのだが問題はこいつだけではなく・・・


「ところで和葉はどうした?」


「和葉?まだ寝てるんじゃないかなー?カナタ君が起こしてくればいいと思いますよ」


「はあ!?なんで俺が!」


「だって私今日の朝食当番ですし、双葉ちゃんはもうリビングにいるはずですし」


「消去法で俺って訳か・・・まあとりあえず起こしてくるよ」


 そんな訳で俺は和葉の部屋へと向かい、ノックをして部屋に入る。


「おーい、和葉。起きてるか?部屋はいるぞー」


『はいよー』


 返事があったので俺は部屋へと入る。しかし・・・


「おい和葉、いいかげん起きろって、はああ!!!?」


 中にいたのは着替え中で下着姿の長女、和葉かずはだった。


「んぅ?ああカナタ君?おはよう♪」


「おはよう♪じゃねえよ!何で服着てねえんだよ!」


「ああ、ってふーん?もしかして興奮した?ねえねえ興奮した?」


「うるせえ、さっさと着替えろ」


「ふーん?まあいっか」


 この女は今のでわかるようにつかみどころのない奴だ。この女以上に形容のしようがない奴も珍しいだろう。


 そして三人目は・・・


「さっ、カナタ君♪それじゃあリビングいこっか。きっともう双葉いるんじゃないかな?」


「まあ、そうだろうな」


 どうやらすでにリビングにいるようだ。そして俺たちがリビングへ向かうと三葉とはまた違う騒々しい声が聞こえた。


「あんたたちおっそい!いつまで寝てんのよ!学校遅刻するわよ!」


「うるさいなあ、普段より少し遅いぐらいだろ?それに遅れたのは和葉のせいであって俺は悪くねえよ」


「他人のせいにしてんじゃないわよ!和葉だってそうやってズルズルズルズルと寝坊してるとどんどん怠惰な生活になってくわよ!」


 このピリピリしている奴は次女の双葉ふたば、三姉妹で一番のしっかり者でそれ故に他人にも厳しい。ついでに俺にはもっと厳しい。


 自分に照準が合うとは思わなかったのか和葉は少し動揺しながら答える。


「あははーごめんごめん。それにしてもひどいなあカナタ君、人の裸を見たのにそのことを懺悔するどころかそのことを棚に上げて私を生贄にさしだすなんて」


 その瞬間リビングの時間が止まった。そしてその時間を動かしたのは双葉だった。


「はあああああ!!!!?あっあんた何言って、は、はだ、はだはだ、はだかをみられたー!ちょ、ちょちょちょっとどういうことよ!説明しなさいよカナタ!」


「あっあれは事故だ!あいつが入っていいって言ったから入ったんだ!俺はわるくねえよ!」


「うるさい!見たってことが何より問題なのよ!早くそこに正座しなさいよ!」


 そういうと双葉は俺の肩を押さえつけて強引に正座させようとしてきた。俺は必死に和葉に助けを求める。


「お、おい和葉!はやくこいつをなんとかしてくれ!」


 すると和葉は椅子に腰かけながらヒラヒラと手を振り


「がんばれー」


 とただ一言。あいつマジで絶対に許さない!覚えてろよマジで!


 そうして俺たちがわちゃわちゃ?あくせく?しているとキッチンの扉が開き三葉がこちらに顔を覗かせる。


「みんなー!ごはんできましたってええぇ!?どういうこと!?あっ和葉!これどういうこと!?」


「ああ、カナタ君が私のいたずらにはまって私の下着姿を見ちゃったのを偏向報道したらこうなっちゃった♪」


「もー!なにしてんの!ほらっご飯できたから皆で食べよう♪ほらっカナタ君も一緒に食べましょう!」


「わかったわよ・・・ほら!カナタもさっさと座りなさい!朝ごはん食べるわよ!」


「分かったよ・・・」


 た、助かった・・・三葉がこなかったら家を出る直前まで説教をくらうところだった。


 以上が俺の人には言えない秘密。詰まるところ大室家の三つ子三姉妹とルームシェアをして暮らしていることだ。まあもとはこの家に住むのは俺だけのはずだったのであいつらが居候として住み着いているようなものなのだから追い返してもいいのだが、家賃諸々を出してくれてる父親が言い始めたことなので俺も渋々了承せざるを得ない。さらば俺の優雅な一人暮らし、さらば俺の日々の安寧よまた逢う日まで・・・



 だけど俺はこの時知りえなかった。この風変わりな日常が俺を大きく変えることを、あいつらとの関係を大きく変えることを、そして俺たちの永遠の幸せのきっかけであることを・・・

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