7 絶体絶命

「マルス・ウォール!」


 ローザがそうとなえると、つえせんたんからあふれひかりが、シグマたちのまえあかかべへんした。

 きょだいなドミノばんのようにもえるそのかべに、ふたつのマルスほうちょくげきする!

 だが――。


「まずい……! りょくつよすぎて――ふせぎきれなっ――」

 ローザがえるまえにピシピシピシッとマルス・ウォールにれつしょうじた。

 バァァンッッとばくだんばくはつしたかのようなはげしいおとはじけて、あかひかりかべほうかいすると、シグマたちはなんじゅうメートルもこうほうどうくつがんぺきまでばされてしまった。

 マルス・ウォールのおかげでしょうはいきおいがよわまっていたのに、このりょくだ!

 オロチがいっぽんくびのときとはこうげきりょくだんちがいだった。


ざまだな。とうにんげんごときがわるあがきをするからくるしむのだ!」


 シグマたちぜんいんがよろよろとちあがったタイミングで、マルスほうがまたはつどうんでくる。

 ローザがあわててマルス・ウォールをしたけれど、あかひかりかべはすぐさまくだって、シグマたちはばされてしまった。しかもこんは、どうくつがんぺきまでのきょがさっきよりもちかいぶん、ぶつかったときのダメージがハンパない。


「こんなの、けいさんがいだよ……」

 たおれながらうめいたジャンの、メガネのレンズにこまかなひびがはいっている。

 ジャンがているふくも、ところどころやぶれていた。ひたいから、すこししゅっけつもしている。

 ローザやミサキもたようなものだ。

 いちばんがんじょうなはずのジュズまるでさえちあがれない。

 シグマだけがハヤトのつるぎめんててちあがることができた。


「ほう……あれをらってなおつか。シグマとばれているぞうよ!」

 オロチはほんくび。つまりかおがふたつだから、よっつ。

 それらあかよっつのわらい、しなさだめするようにシグマをにらみつけてくる。

「ふたたびマルスほうてば、こんこそさまたちはぶであろう。いたみをかんじるヒマもなく、いっしゅんにしてな。しかし、そんならくかたはさせん!」


 ほんくびくろいヘビが、ゆっくりとぜんしんしてきた。

 オロチがうごくたびにどうくつぜんたいがガタガタとふるえた。

 シグマはのまじったツバをいた。

 ちからをふりしぼって、ハヤトのつるぎをかまえる。


にんげんごときが、わたしをじょくしたのだ! それはゆるしてはならないつみなのだ。つみにはばつひつようだ。じっくりといたぶって、つうてにころしてやる!」


 シグマはつるぎちからをこめた。

 こんなところで……こんなところで! んでたまるかよ! 

 みんなを……みんなをまもらないと! 



 ――シグマ。


 そのときだ。こえがきこえたのは。

 え……? シグマはあたりをまわした。どこから、きこえたんだ!?


 ――シグマ!


 またこえがきこえる。しかも、このこえは……こえだ!

 シグマはローザのくびかられているゴーグルにをやった。

 ローザのあに、ハヤトのこえでしゃべるゴーグルは……ひかりうしなったままだ。あれ?

 このゴーグルがしゃべるときはレンズがひかる。

 つまり、ゴーグルがしゃべったわけではないってことだ。

 それなのに、ハヤトのこえがきこえた……? 

 なんで? ともんいだいたつぎしゅんかん、サァーッとまえしろになった。

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