8 盗賊団キツツキ

 とうぞくだんキツツキのメンバーはぜんにんだ。リーダーはミサキ。


 のこさんにんのうち、ぬのふくやぶれそうなほどガタイのいいしょうねんが、十七じゅうななさいのティボルト。ぼうあたまで、けしていて、いかにもつよそうだ!


 もうひとりのしょうねんまえはマルカム。ぎんぱつで、やせていて、十二じゅうにさいさいねんしょうメンバー。かしこのうのマルカムは、ティボルトとはいろちがいのぬのふくている。


 そのマルカムのしんゆうがポーシャだ。十五じゅうごさいおんなで、あかにしている。ふくよかであいらしく、ブラウスのうえにコルセットをき、ながめのスカートをはいていた。


 そのさんにんのボス、とうぞくだんだんちょうがミサキ・コゲラ・ヤマセ。さそりまれの十六じゅうろくさい

 ミサキはかいぞくせんちょうがかぶっているようなぼうをかぶり、かいぞくせんちょうているようなふくている。だからなのか、ミサキはかのじょなかたちから「船長キヤプテン」とばれていた。


「おまえらキツツキが、なんでこんなところにいるんだよ?」

 いちおう、シグマはきいてみた。けんとうはつくけど。

「わたしたちゃ、もだまるとうぞくだん! ごとまってる!」

 ミサキがてきみをかべてこたえた。もっっのすごく、えらそうなかんじで。

「マルス・タンクとソーサリー・ストーンのかいしゅうぎょうはもうわってるみたいだ。だ、け、ど、があるかもしれないだろ」

 やっぱり、そういうことか。シグマはしんそこうんざりさせられた。


 ミサキはりょうたちをあつめてとうぞくだんなんてものをつくっては、それらしくせるためにかいぞくしょうかざっている。ようするに、しょうしんしょうめいわりものだ!

 とうぞくだんまえがキツツキなのは、団長ミサキみょうのコゲラが、がたのキツツキのことだから。ミサキのははおやみょうがコゲラだった。ヤマセのほうはちちおやみょうだそうだ。

 そのミサキのりょうしんは、すでにくなっていて――だからミサキも、シグマやジャンとおなじ〝じっ〟でそだった。


「ミサキのとうちゃんもかあちゃんも、あのいてるぞ。むすめとうぞくだなんて」

 シグマはズバズバう。「ハンナせんせいだって、ミサキのことを、しんぱいして――」

「こら、せんせいまえすな! わたしのこころいたむだろ!」

 ミサキはつうおもちになる。ミサキもせんせいのことだけはそんけいしているから。

「ああぁぁー、ムカつく! よけいなことをうシグマはムカつく! あいわらず!」

 ミサキがしたちする。なんも、わざとらしく。「シグマめ、うっとうしいやつだ!」


「とにかく、ジュズまるかえして!」

 かいにわりこんできたローザが、いかりのひょうじょうでうったえた。


「ジュズまる? ああ……にんぎょうむねにたしかにそういてあったけど、まえだったのか」

 ポツリとつぶやいたミサキは、おこっているローザのかおをまじまじとつめかえした。

「で、あなたがぬしなの、そのジュズまるとやらの? おたく、まえは?」

「ローザ・オロチ・バスカヴィル。ジュズまるは、わたしのたいせつともだちなんです。かれせんとうようのロボットでもある。あなたたちには、あつかえない」

「ロボットがともだち!?」

 ミサキはおなかかかえてわらいだした。

「ロボットって、かいうごくあれのことだよね、ふるほんてくる? じょうだん、きっつ」

べつしんじなくてもいい」

 ローザはややかなこえでそうこたえた。「とにかくかえして。わたしのしんゆうを!」

「おことわりする! わたしたちゃとうぞくだん! たかれそうなものがあるからかえせません!」

 ミサキはにやりとわらい、ガタイのいいしょうねん――ティボルトがかかえているジュズまるじょうはんしんだんめんゆびさした。だんめんおくのほうでキラキラとなにかがあかひかっている。

「マッ――マルスだ!」

 るようにつめながら、ジャンがそのあかひかりゆびさした。


 そういえば……とシグマもおもした。

 ジュズまるこしよっつのつつからマルスをふんしゃしてかびあがっていたっけ。

 ちゃっかりしているミサキのことだから、そのつつなかにもがついたはずだ。


ジュズ丸こいつめこまれているマルスがしい!」

 ミサキがった。ティボルトがかかえているジュズまるじょうはんしんをちらとながら。

「だけど、マルスをていしているしょがんじょうすぎてりだせない。ってなわけで、アジトにってかえって、ぶっこわすことにしました! ごめんね!」

「そんなの、ぜったいにやめて!」

 おこったローザが、ベルトからつえきぬく。ソーサリー・ストーンつきのつえを!

「……いいつえってる。そいつで、わたしたちといっせんまじえようっていうのかい?」

 ミサキはゆうみだ。「そのつえも……しいかもね!」


 ミサキはっていたジュズまるくびめんとすと、そのすぐちかくにムチをちつけた。ほそのミサキだけど、じつかいりきだ。バチンッと、ムチがしなるおおきなおとがひびく。

 ジュズまるくびたっていたら、になっていたかもしれない。

 そのムチのおといで、ジュズまるじょうはんしんろしたティボルトが、かくとうのようにこぶしをかまえた。

 マルカムとポーシャもジュズまるはんしんめんく。それからふたりとも、みじかいナイフをりだした。


「おいおい、やめとけって! わるいことはわないから」

 シグマはいちおうちゅうこくしてやった。それからハヤトのつるぎをぬいた。

ろよ! ソーサリー・ストーンつきのつるぎだぜ。ジャンだってマルス・ガンをってるんだ。こっちはさんにんともソーサリー・ストーンつきのっているんだよ」


 それにくらべてミサキたちのほうは、だれもソーサリー・ストーンつきのっていない。


「シグマははっそうがおちゃまだねぇ! だーれが、まともにたたかうとった?」

 へらへらわらいながら、ミサキがまたかるくムチをふりろした。

 ムチがジュズまるひだりひじつ! ソーサリー・ストーンなしでも、かいりきのミサキがはないちげききょうれつだ。かるくふりろしただけでも、ジュズまるひじからさきがちぎれそう……。


 ローザのめいがきこえた。ミサキはますますがおになっておどしてきた。


ジュズ丸こいつひとじちにする! ともだちをこわされたくなかったら、おとなしくしていろ!」

きょうだぞ、ミサキ!」と、シグマがはんした。

とうぞくきょうでなにがわるい?」


 どうどうとひらきなおったミサキは、ベェーッとしたきだしやがった!

 シグマはためいきをつく。それから「あんまりわるぶるなよ」とかえしてやった。


ってるぞ。おまえらキツツキってさ、ふだんはあくとうからしかものぬすまないんだろ」

だれからぬすんでもはんざいはんざい! わたしたちゃ、なみだもないごくあくにんさ!」


 そうるミサキに、シグマはにがわらいでかたをすくめた。


「はいはい。それで、おれたちぜんりょうみんからもものぬすむのかよ?」

「ふつうは、そんなことしないけど! でっ、もっ!」

 ミサキはシグマをにらみつけた。「おまえはなますぎてきになれない! よって、れいがいだ! シグマのおともだちもね! このジュズまるとやらは、いただいていく!」


「……ならば、かたないな」

 ひょうじょうになったローザが、ごえでそうった。

 ローザがほう使つかったのは、そのちょくだ。

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