第8話


キミを守りたいと願うのは

ただ単なる僕のエゴだった


きっとそう願うことで

僕をキミにとって必要な人間だと

キミを守る力のある人間だと

思い込みたかったのだろう


もちろんその思いに嘘はなく

僕はずっとキミの隣にいたかったし

どうにも存在があやふやになりがちだった

キミを繋ぎ止めておきたかった


けれど。


夕暮れが近づいてくる

そんなときに頬杖をつきながら

遠くを見つめるキミの顔が

あまりにも独りで完結していたから


夕焼けのオレンジがキミの頬を照らす

夕闇の濃紺が僕の手足をしばる

消え入りそうに弱い僕の決意は

立ち上る霧に巻かれて結局曖昧になる


キミは強かった

手すら伸ばせないほど強かった

無意味に下ろした掌を見つめる

そんな非力な自分がキライだった

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