ナナの娘リン、ケジメをつける(2)

 「超能力を極めたい」、そこにはウソはない。ただ、どうしてもお母さん娘として、長女として、ケジメをつけるために超能力を使う。ナナの娘リンは、なぜ自分に超能力が備わったのか、その意味を考え、1つの結論を出した。


 あいつはお母さんの想いを踏みにじった。どんなに辛い想いをしたか計り知れない。お母さんから出生の秘密を聞いた時に言っていた。


 あいつを忘れるくらい、皮肉だけど、人間臭いけど幸せを手に入れた。絶対にあいつらに感謝なんどしていない。恨み、憎しみ、そんなくだらないものに私は縛られない、負けはしない、それを蹴散らす、幸せを手に入れたと。


 ここでいうあいつとは、 鈴の父親の幼馴染の原西貴志の次男、原西徹とその仲間たち。

 問題は、原西の次男が出所したあと、また同じことを繰り返すかもしれない。そうならないためにも、原西の次男の動物への知識とナナの記憶をすべて削除する。そうすれば、罪の記憶は残る。もちろん原西の次男の仲間たちの記憶からもナナの記憶を削除する。

 すでに、ナナの娘リンは、原西の次男たちの記憶削除計画は立ててある。ただ、そのこと誰にも話していない。そこで角野教授とシロにそのことを話すことにした。


 ナナの娘リンは、大事な話があると2人に言い、角野教授の書斎へ行き、記憶削除計画を話し。角野教授はソファーに座り、リンちゃんの気持ちはよくわかる。ただ、やっていいことと、悪いことがある。それと、話す相手の順番が違う。まずは両親に話し、次に原西の次男の父親にその想いを伝えるべきだと言う。

 そして、角野教授も原西の次男の出所後のことが気になっていた。ただ、腑に落ちないことがある。


 観念したのか、徹君たちは、あっさりと罪を認めた。そして、徹君は取り調べで、研究データはすべて消去したと証言し。ナナのことは一切話さなかった。

 ただ、ナナに関して警察側が記録していることは、ナナという猫が実験で死んだということだけ。そして、徹君の仲間も、ナナのことは一切話さなかった。

 まるですべての研究はなかったことにしている。喋る猫など完成しなかったと言い。あんな研究は二度としないと言っている。

 これはいったいどいうことなのか。この言葉を信じていいのかわからない。なぜなら、ナナが言っていた、あいつは身勝手極まりなく、その仲間は金の亡者、化け者たちという人物像とはまるで異なる。ここ10年以上は、徹君には会ってはいないが。ナナはそのことに、私はだまされないと言っていた。

 だったら、確かめればいいだけのこと、そういうことか。リンちゃんにはウソは通用しない。


 角野教授は、今日の午後8時に、ナナの家で大事な話があるとナナに伝えてもらうように鈴に連絡を頼んだ。


 午後7時55分、ナナの娘リンたち3人は、瞬間移動で床の間に来て座っていると。そこに、ナナたち家族7人と鈴も一緒に入って来くると。いきなりナナの娘リンが両親の前に行き、真剣な表情で記憶削除計画を話した。

 すると、母親はその考えに鳥肌が立ち、その手があったのかと思い、これで心配ごとがなくなった。

「リン、それがあなたの正義なら、この件はすべてあなたに任せます。きっと原西さんも賛成してくるはず。思い切りやってきなさい」

「はい、そのつもりです。それと、さくら、愛、2人に言っておきたいことがあります」


 私は、2人に嫉妬していました。私には、カウンセラーの仕事は向いていないと思い。進路が決まっている2人を見て、焦っていた訳ではないけど、角野教授とシロ姉ちゃんと暮らし、気づいたの。私は私、それでいいんだって、何も比べる必要はないって。だから、あなたたちは、あなたたちで、焦らずにカウンセラー道を極めなさい。

 すると、それに対してナナの娘さくらは、お姉ちゃん言われなくても、私はそのつもりですと言い。ナナの娘愛は、私は私のカウンセラーの道を極めるつもりですと言っていた。


 次女のさくらは、早く独り立ちをしたいと背伸びをし。三次の愛は、マイペースで、もめごとが嫌い、みんな仲良くして欲しいと願っている。


 なんかちょっと変な空気になっていたが、お互い言いたいことを言い。3姉妹は、極めるという意味での目標が一致したところでこの場はお開きとなり。記憶削除計画の件は、ここにいるみんな、ナナの娘リンにすべてを任せることになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る