3つの超能力(2)

 一方、ナナの娘さくらは、複雑な思いだった。大好きなお姉ちゃんと妹と、3姉妹で動物カウンセラーになると夢みていた、同じ気持ちだと思っていた、なのにどうして。なんか裏切られたような感じだった。それなのに、ちょっと勝手すぎないと思ったが。


 確かに、倒木を事前に予知できていれば遅刻することはなかった。倒木を事前に知っていたら伐採すればいいだけのこと。問題は、どうやって倒木のことを事前に区役所に知らせればいいのか。

 例えば、1ヶ月後に大地震が起こると予知できても、どうやってそれを信じてもらえるの。私たちの存在を世間に知られるわけにはいかない、例外はあるけど。結局、行く着く先は、どうやって予知を伝えるのか。

 予知能力を極めたところで、私たちの存在を知る人だけがその恩恵にあずかり、それ以外の人はどうでもいいってことなの。なんかそれって違うよね。私は嫌だな、私たちだけ助かるのは。

 それじゃ、私たちの存在を知る人だけが恩恵にあずかる予知能力ってことになる。バリア能力だって同じことだよね。なんかそれって違うよね。結局、私には必要のない能力ってことじゃないの、わかんないよ。


 少し前のでは、ナナの娘リンも動物カウンセラーになるつもりでいた。というより、ならと行けないと思っていた。


 ナナの夢は、皮肉だが知的生命体の猫たちがこの世にたくさん生まれ存在すること。そすけば、堂々と生きて行ける、人間のように。猫にも人間と同じ法律で守られるようになる。

 そして、後継ぎというか、動物カウンセラーが増えてくれればいいと思っている。しかし、それを強制するつもりはない。


 そんな中、ナナの娘リンは、よくわかんないが、テレビの影響なのか、この情報世界に何かを思い、自分の可能性を知りたいと思うようになった。そして、3姉妹で動物カウンセラーになれないことに、「ごめんね」とまた謝っていた。


 この時、ナナの娘リンは、超能力の可能性を話したかった。もしかしたら、他にも超能力が目覚めるかもしれない。それに、予知能力やバリア能力を極めればたくさんの人たちを救うこともでき思っている。


 例えば、1ヶ月後に大地震が起こるとことを予知した場合。その前に、予知を伝える、予知能力者に扮する者を仕立てあげなければならない。そして、予知が本物だと信用を得られれば問題はない、ナナの娘さくらの存在がバレることもない。

 バリア能力も同じ要領で、超能力者に扮する者を仕立てあげ。仮に、手にナナの娘愛が入ったキャリーバッグを持ち。バリア能力を使い、悪者から身を守ることができるかもしれない。隠れた所から、遠隔でバリア能力を使えることもできるかもしれない。


 では、どうやって扮する者を確保するのか。それは、鈴の人脈を使う、鈴のファンクラブ31人たちとか。


 ナナの娘リンは、無理を承知でこのことを話した。

 すると、ナナの娘さくらは、「なるほどね、さすがお姉ちゃん」と呟いたが。妹2人の気持ちは動かなかった。


 このあと、なんか変な空気感のまま、鈴は何も口出しをせず、見守ることにした。そして、ナナの娘愛は、鈴の父親からもらった100万円の内50万円を生活費の足しにと、ナナの娘リンに渡すと、遠慮せずにもらい、角野教授に預け。

 角野教授は、ナナの娘リンの身の回りの物を車に詰め込み。角野教授たちは車に乗り込み、鈴を自宅まで送り、角野教授たちの車は自宅へと向かった。


 この時点で、ナナの娘リンは頭を切り替え、自分の可能性を信じ。先の見えない、明日から始まる瞬間移動能力の訓練のことを車内で考えていた。

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