第11話 空母の中にフランスパン工房

 フランス海軍の女性パイロットは日本の自衛隊員を次に案内する場所に連れて行った。

「なんだかいい香りがしてきましたね」

「そうですね、これからお見せする場所はまさにそういう場所ですよ」

 彼女は通路に沿ってあるドアを開けた。そこには重たい物資を運ぶための手動式リフト台車が置かれていた。その場所の先にはさらにドアがありそこを開けると銀色の世界であった。ステンレスの世界であった。

「ここはパン専用の工房です。ここでフランスパンを専門に製造しています」

 人が一人通れるくらいの通路を少し行くと急に8畳くらいの大きさの作業場があった。

「ここでフランスパンを製造しています」

「部屋の中は全体的に銀色の世界ですね」

「ステンレスでおおわれていますからね」

「床は白いタイル張りか」

「ここでは二人働いています。ご覧のように軍服は来ていません。たてえりの部分だけが黒い白い作業着を着ています。この作業着には左胸に船のいかりをデザインしたマークが描かれています。頭にはつばのない白い作業帽をかぶっています」

「この部屋だけを見ると町の中にある普通のパン屋さんといった感じですね」

「そうですね。ここに細長い銀色の金型がたくさんありますが、これでフランスパンを製造しています」

「本当だ、まさにフランスパンの形そのものですね」

「ここに大きな袋がありますがこの中に小麦粉が入っています。これをここにある銀色の大きな丸い容器の中に入れます。そしてその中に水を入れてかきまわします」

「大きなスクリューですね」

「この製造機械が二つあります。これらで毎日製造しています。そして完成したフランスパンはこの部屋の出口付近に置いておきます。すると隊員が必要な人数分をもらいに来ます。するとここの人が袋にパンを入れて渡すのです」

「まさに普通の町の中のパン屋さんの光景ですね」

「そうですね」


「このシーンは空母の中にあるフランスパン専門の工房を案内するシーンだね」

「まさにフランス海軍の空母といった感じですね。もし日本の空母だったらおにぎり製造の専門の工房になるかもしれません」

「なんだか急におなかがすいてきたね。今日はこれくらいで」   つづく

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