第3話

 俺は瀕死になりながらで手に入れた使い捨ての竜滅剣ドラゴンスレイブでドラゴンを撃退した──


 傷を高級ポーションで治して──4日が経った。


 一応、なんとか相打ちに見せかけて逃げ出す事に成功したんだぜッ!


 ちゃんと遺品っぽい物をこっそりと飲み仲間に金と一緒に渡して来たからギルドに一芝居打ってくれているはずだ。



 現在は歩いて当ての無い旅を満喫している。



「天気は良いし──良い旅路だな! 神様も俺の門出を祝福してくれているはずだッ!」


 準備無しで旅立った為、食料などがヤバいとは思ったがのお陰でなんとかなっている。


祝福ログインボーナス


 これは1日に1回だけ神様から贈り物が届く恩恵だ。


 戦闘後に重症を負ったが、その前日に手に入れた最高級ポーションで今は健康そのものだ。


 ドラゴンを撃退する日の朝は『竜滅剣ドラゴンスレイブ』(使い捨て)。



 ドラゴンを撃退した次の日は『日替わり定食×20』だったお陰で食料は今の所なんとかなっている。

 いつもなら数食なのだが、今回は20食分で過去最高の量だ。


 そして、逃亡3日目には『エリクサー』という超高額で取り引きされている薬を手に入れた。


 エリクサーは高難易度ダンジョンでたまに手に入るので俺には珍しい物では無いが──


 売り払えばひと財産だ。『慈愛の誓い』では回復士がいない時はこれでよく治していた記憶がある。



 間違いなく──



 神様は俺の門出を祝福してくれているのだろうッ!




 だが、この【祝福ログインボーナス】は神様の気まぐれで色々な物が贈られてくる為、運の要素が強い。


 だからこそ、Sランクパーティでやっていく事に限界を感じたし、ひっそり暮らしたいとパーティを抜けたのだ。


 スキルと言えば『鑑定』や『無限収納』がとても便利だ。


 これなら冒険者登録をし直して、採取依頼や物品運搬などで生計が立てられそうだし、商人としてやっていく事も可能だろう。似たような恩恵もあるからな。


 とりあえず、死んだ事になっているはずだし、再度冒険者に登録し直して今後を考えようと思う。


 なんせ、俺はまだ若いッ!


 人生はこれからさッ!


 分相応に生きて行こうッ!



 さて──


 次の街で冒険者登録をするのは決定だ。


 幸いな事にお金に関しては贅沢さえしなければ問題ないぐらいある。伊達にSランクパーティにいたわけじゃない。それにエリクサーを売ればかなり高水準な生活も送れるだろう。


 それと『アイテムボックス』に入っている、返し忘れたあいつらの武具類も退職金代わりに勝手に頂いたから金に困ったら売り払おう。


 そんで、拠点となる場所を探そう。


 しかし、そうなると家事もしなければならないな……。


 そうだッ!


 奴隷とか欲しいなッ!


 別にやましい考えで欲しいわけじゃないし、決して1人が寂しいわけじゃない。


 俺は家事というか、料理が全く出来ないからなぁ……『慈愛の誓い』は女性ばかりだったからその点は楽だったな……。



 料理が作れて、多少戦える奴隷を探そうッ!


 それでパーティ組んで今度こそ普通の冒険者をするのも有りだなッ!




 そうと決まれば──


 今日の運試しだッ!



 今日の【祝福ログインボーナス】を頂きますかねッ!


「──頼んますッ!」


 目の前に箱っぽい物が出てきて文字が表示される──


 も候補が見れないルーレット形式か……。


 他のルーレット形式であれば候補が見れるのでありがたいんだけどな……。



 目の前の文字が高速で回り出す──


 速すぎて文字が毎回見えないな……。



 しばらくすると──



『奴隷』



 ──という文字でルーレットが止まる。



「は? 奴隷??」


 俺はポカンとしながら周りを──


 いつもなら箱に入ったり、そのまま中身が周辺に現れるのだが、今回は何もには無い。



 こんな事は初めてだ。



 まぁ……奴隷が神様の贈り物であった場合、それはそれで問題だろう。


 今回はきっとハズレだったと思う事にしよう。

 たまに『石』とか『タオル』とか当たるし、何も無い時があっても不思議ではないかもしれない。


 そう、これはきっとたまにあるハズレだ。


 さっき見渡した時に少し離れた場所で盗賊に襲われている馬車があるが、あれもきっと気のせいだ。


 そして荷馬車にらしき人達がいるのも気のせいだ。



 ……そう思いたい……。



 まさか、この表示された『奴隷』って……って事か?



 ドラゴンといい、今回といい……俺の恩恵さんは仕様が変わったのか?



 まぁ、でも助けるんですけどねッ!



 俺の信条は──


『俺のなんとか出来る範囲なら救いの手を』


 ──だ。



 それはスラム街の時もそうしてたし、今後も大事にしたい──



 大量に盗賊がいるが、策はあるッ!



 盗賊如き、俺がなんとかしてやるぜッ!



 決して無料で奴隷が手に入るからじゃないからなッ!



 俺は襲われている馬車に向かって駆け出す──

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