第17話

お、俺の青春がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


「青山千里ですっよろしくお願いします!」


俺の天敵が学校生活までにも侵入していた。

また、あの厄災が始まると思うと俺はもう全てのやる気をなくした。女子とは話せなくなり、一生千里につきまとわれるあの厄災を。


「よっしゃぁぁ!」と叫ぶ男達。「スタイル良くね?俺は顔が好み」と話し合う変態達。「イケメンじゃなかったぁ泣泣」と泣く女達。


そしてやる気を無くした俺。


なんか最後語呂悪いな。まぁそんなことは今はいいんだよ。


「それじゃあ青山さん、いきなりで緊張するかもしれませんが自己紹介をしてもらうかな」


「はいっ、私の好きなことは(あーちゃんと)体を動かすことです!特技は〜特にないですっ。みんな(私のいいなり)と仲良くなりたいのでよろしくお願いします!」


「くそっ………」


怒りというか、諦めから発せられた文句。

俺は机に突っ伏した。



「ねぇ、青山さんインスタやってる?交換しようぜ」


「青山さん俺も!」


「青山さん!」 「青山さん!」 「青山さん!」


暗闇の中から青山さんという聞きなれない言葉がたくさん聞こえ俺は目が覚めた。 


(千里のやつそういえば青山とかの言う苗字だったな)


興味ないあいつの苗字を覚える義理がないから忘れてたわ。


「あはは、みなさん落ち着いてください。ちゃんと交換しますから」


おめえそんなお淑やか系の女子じゃないくせに猫被りやがって、この前「インスタのフォローリクエスト承諾してよぉぉぉ!おねがいじまずぅぅ!」

とか鼻水垂らして言ってきたくせに。


もちろん断った。てかブロックしてる。


ほら見ろよ、猫被ってるせいで他の女子から冷たい目で見られてるぞお前。


ん?待てよ?今更だが、こいつの席俺の横じゃねーか!!?寝ぼけてて忘れてたわ!は?なんで?意味わからん!俺もう学校行きたくねーよ!


確認のために、手の甲の皮膚をつねった。

いってーなぁ。


どうやら夢のようじゃないようだ。


「はぁぁぁぁ……………」


「ほらー授業始めるぞ〜」


そのまま崩れ落ちるように寝ようと思った瞬間

1時限目の先生がきた。


「転校生が来て嬉しいのは分かるがもうチャイムなってるので座りなさい」


先生が教卓に立ってそういうと、千里の周りにいた生徒たちは嫌々自分の席に座って行った。

千里が、彼らの背中を見た後急に俺の方を見出した。


「蒼さんだっけ?よろしくね」


なんだこいつ。


蒼さんだっけ?だと?何急にキャラ変えてんの?

超不気味なんですけど。。


「きもちわるっ」


気持ち悪いこいつに向かってボソっと俺がそう言うと


「んっっっ」


横で顔を赤らめて見悶え始めた。

俺は呆れた目で睨めながらも、視線を先生の方に移した。


「はぁ.....はぁ......あーちゃんに罵られたぁぁぁ」


横でボソボソ言っている変態は無視だ。


「んで、転校生は1番後ろの席の子でいいか?

俺まだ全員の生徒を覚えてなくてだな。俺からしたら全員転校生に見えるんだよ」


「はいっ私で大丈夫です」


さっき赤くした顔も、だらしなくなっていた顔も全く見せないほどの表情で手を上げて見せた。


また猫被りやがった。


そして、また俺の方を見てくる横の変な人。


「なぜ俺の方を見る」


横を睨んで、俺が言った。


「席が横の人と仲良くなりたいからかな?」


ん?みたいな顔しやがって、お前のやりたいことなんて筒抜けなんだからな。


「んじゃ、反対側の並木さんと話せばいいだろ」


「うん、仲良くするよ。けど偶々私が君から最初に話してるだけだよ」


なんでそんなさっきから距離があるんだ?

ま、まぁ…このままこうしてくれたら俺にひっつく心配もないし、これはこれでいいんだがな。


「えっと、藤本。お前青山さんに教科書見してあげてくれないか」


は?正気ですか先生


「はい」


いいえ、絶対無理です。なんて言えるわけもなく隣でニコニコしているコイツに教科書を見せることになり、今日の1時間目は大変だった。
















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