よくある転生だった!だが俺は勇者じゃなかった

ベルピー

第1章 ゲーム世界に転生した!?

第1話 俺の名前は勇気だけど・・・ユウキじゃない!!

「おいユウキ!大丈夫か?」

「ユウキ!大丈夫?」


ユウキと呼ぶ声が聞こえる・・・

その声でユウキは目が覚めた。


「ん~。騒がしいな~。どうしたの・・・」

ユウキの目の前には知らない人がいた。


「えっ!?誰??」

「おいおい。頭打っておかしくなったんじゃないか。俺だよカツヤだ。さっきまで一緒に剣で打ち合ってたじゃないか?」

「カツヤ?」

「おいおい本当に大丈夫か~。アイ!お前も何か言ってくれよ。」

「ユウキ。大丈夫なの?アイよ。わかるでしょ!」

「アイ? 」


「やべぇ~よ。ユウキがおかしくなった。」

「カツヤのせいでしょ。あんたが木刀でユウキの頭叩くから。」

「しょうがないだろ。防ぐと思ったんだから。」


カツヤとアイの二人はベッドに寝ているユウキを見てヤバいよ。ヤバいよ。どうしよ。どうしよ。

とオロオロしていた。


(どういう事だ??というか、ここはどこだ・・・俺は確か仕事をしていたはずだが・・・)

ユウキはなぜこのような状況なっているのか必死に考えた。


(いやいや何度考えてもわからないぞ。俺は今日も仕事をしていたはずだ。前の日が仕事が休みだったから残業も余裕だろって事で、いつものようにかなり残業していたよな。そこまでしか記憶がないぞ・・・もしかして過労で倒れたのか!?その内、過労で倒れるとは言われてたからおかしくはないけど・・・でもそれだったら病院にいるはずだよな??この二人は誰だ??俺の事知ってるみたいだけど・・・)


ユウキは必至にベッドにいる前の事を思い出そうとしたが何度考えてもこの状況が理解できなかった。

(いや・・・まてよ・・・!!!カツヤにユウキにアイ??これって休みの日に俺が久しぶりにしてたドラゴンファンタジーのキャラじゃないのか??そう思えば目の前にいるのはカツヤにアイだ。・・・・・・って事はゲームの世界に転生したのか???いやいやいやいや!そんな事ありえるか?ないだろ~。世間で流行ってるからってそんな事あるわけ・・・・あるのか・・・)


ユウキはドラゴンファンタジーの世界に転生している事に気づいた。

(落ち着け俺。百歩譲って転生したのは良しとしよう。異世界転生って流行だからな。で俺はドラゴンファンタジーのユウキに転生した・・・・いやいやいやいやありえないっしょ。普通カツヤじゃね??だってドラゴンファンタジーの主人公は勇者でチートでハーレム野郎のカツヤだろ。いくら名前が一緒だからってユウキに転生ってどうする??ユウキって魔王に殺されるキャラじゃん。俺死ぬの・・・って今考えたら、転生したって事は俺って過労で死んだのか??転生ってなんか人生やり直す感じするけど、俺の場合1年後に死ぬじゃん・・・)


ドラゴンファンタジーのゲームはよくある王道ロールプレイングゲームで勇者カツヤとユウキとアイが初期メンバーで始まり、世界をまわって魔王を倒すゲームである。そして魔王戦の直前にイベントがあり、そのイベントでユウキは死ぬ。ユウキが死んだ後、カツヤとアイが他の仲間と力を合わせて魔王を倒す事でゲームはエンディングを迎える。しかもユウキはアイと付き合っていたが魔王戦の直前にカツヤにアイを取られるのだ。その事で絶望したユウキは一人突撃して無残に命を落とすのだ。


(ゲームしてた時はカツヤとしてプレイしてたからやったぜアイとも結ばれた。と思ってたけど立場が違えば最悪だな。)

ユウキが転生した事を受け入れ始めたタイミングでカツヤとアイが再びユウキに話かけた。


「おい。ユウキ!ぼーっとしてるけど大丈夫か。お~い。お~い。」

「ユウキ。返事してよ。本当に大丈夫なの?」


「ああ、カツヤ、アイ大丈夫だよ。心配かけたね。」

「ああ心配したぞ。倒れたまま、目が覚めたと思ったら俺にむかって誰?だからな。」

「ごめんごめん。一瞬記憶が飛んでたみたいだ。でももう大丈夫だよ。」


「カツヤが悪いのよ。勇者になれたからって調子にのってユウキに木刀を振り下ろすんだもの。」

「だから悪かったって。ユウキが防御すると思ったんだよ。でもまあ無事でよかったよ。」


(なるほど。今日はカツヤが勇者の称号を得た日か。ゲームのスタートと一緒だな。じゃあ明日は王女様が海を渡ってくるはずだ。そこで3人で王国に行って物語が始まるもんな。さてどうしたもんか・・・)


「ああまだ頭が痛いけどな。あの時はちょっとぼーっとしてたんだよ。それに俺は魔法使いだからカツヤみたいに剣が得意じゃないしな。」

「まあたしかにそうだな。」


(やはり俺は魔法使いなんだな。って事はアイは僧侶か。まんまゲームの通りだな。って事はこのままいけばゲームのように俺が魔王に向かって行って死んでしまうのも可能性が高いな。とりあえず一人で考える時間がほしいな。)


「今日は、一日ゆっくりする事にするよ。カツヤもアイも忙しいだろ。心配してくれてありがとう。もう大丈夫だから」

「そうか。まあ安静にしてろよ。」

「無理しちゃダメだよ。」

「わかってるよ。」


心配してくれていたカツヤとアイはユウキの家を出ていった。

(さて、これからどうするかゆっくり考えるか~・・・てか転生したのは良いけど俺の名前が勇気だからユウキに転生するってどういう事だよ・・・)


ユウキは初めて自分の名前が『ユウキ』だった事に後悔したのだった。

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