第4話 いまそこにある脅威

「原発再稼働、はんたーい!」


「はんたーい!」


 ここは東京電力、柏崎刈羽原子力発電所の正門前。

 40度近い猛暑のなか、今日も多くの市民や遠くからやってきた市民運動団体の面々が大きな声でシュプレヒコールをあげている。


「みなさん、もっと声を大きくしていきましょう。でないと我々市民の声が政府に届きませんよ!それっ!」


「原発再稼働、はんたーい!」


「はんたーい!」



 パリ協定(1997年に採択された京都議定書以来18年ぶりとなる気候変動に関する国際的枠組みであり、気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが参加する枠組みとしては史上初である。排出量削減目標の策定義務化や進捗の調査など一部は法的拘束力があるものの罰則規定は無い[3]。2020年以降の地球温暖化対策を定めている。2016年4月22日のアースデーに署名が始まり、同年9月3日に温室効果ガス2大排出国である中華人民共和国とアメリカ合衆国が同時批准し[4]、同年10月5日の欧州連合の法人としての批准によって11月4日に発効することになった。日本の批准は、協定発効後の2016年11月8日になった)で、日本がこの協定を批准したのは、国際世論がCO2削減を声高に叫んでいるのでしかたなく……という認識は誤っています。


 あまりおおやけには発表されませんが、タイムリミットは、ぼんやりと4、50年くらい先だろうとお思いの人が多いと思いますが、このまま脱炭素社会に移行しないと、なんとあと10年で不可逆なフェーズに突入すると多くの専門家が指摘しているのです。


 メカニズムとしてはこうです。今、少しずつ少しずつ温暖化が進行しています。これだけならさほど怖くはないのですが、その温暖化によって今あの広大な面積がある、シベリアの永久凍土が溶け始めているのです。


 問題はそこからです。その永久凍土には、想像できないほどの大量のメタンガスが含まれており、その温室効果は二酸化炭素の比ではなく、およそ20倍と言われているのです。


 そのメタンガスが放出し始めたらもう人類の手に負えなくなります。今、そこにある脅威があと10年後に迫っているのです。人類存亡の危機です。


 その事実が世界の首脳に共通認識されたのでアメリカも、なんとあの中国までもが批准しました。


 人類絶滅まであと百年と噂されている脅威の真実。


 頼れるのは原子力しかないんですよ。


 あなたは直視できますか? その現実を。




「原発再稼働はんたーい!」


「はんたーい!」


 …………


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