第22話「かなえさんのふわふわ日和」

 私の名前はかなえです。


 年齢は33歳ですけどまだまだ若いつもりです。


 最近は肌のお手入れとかに心を入れています。


 うちの職場に入ってきた天器君という若い男の子が最近気になります。


 あの子とてもじゃないけど目が離せないんです。


 でもそれでも最近とても体がポカポカします。


 天器君がこの前持ってきた栄養ドリンクを飲んでから少し調子がいいです。


 今日も牛丼を作って仕込んで、お客様に接客して進んで……を繰り返して疲れました。



「は~天器君……今日もお疲れ様ですね~」


「はいかなえさん、お疲れ様です」


「今日はシフト愛紗(あいしゃ)ちゃん休みですし、味噌谷君も大学の講義が忙しくてあんまし入れないからと2時間で帰ってしまいますし……はぁ~大変でしたね~」


「本当ですね……かなえさん今日は俺のおごりで飯でもいいですか?」


「うん~? 天器君のおごり~~? まあ~ええっとじゃあお願いしちゃおうかな~」


 私は内心どきまぎした。天器君が最近カッコいいのだ。


 なんか一日経つごとに歴戦の戦士になっているように感じるのだ。



 私はこれでも乙女なんだ。こんなカッコいい男の子と一緒に働いたら少しは胸もきゅんとする。


 そろそろ男の子と付き合いたいと思っている。


 私は今まで男の子とというか男の人と付き合ったことがない。


 なんでこんなに奥手なんだろうと感じた自分の奥手さが怖い本当に怖い。



 今も職場の新人ではないけどまだ若手の天器君について行ってご飯をごちそうになろうとしている。


 ただついたのが明らか自宅だった。


 あれ……ここはもしかして?


「ここって天器君の自宅ですよね?」


「あれっ気づいちゃいました? そうですお金が無いので母の手料理を振舞いたいと思いまして……まあ自分も手伝いますが」


「まあそういうのもかなり興味津々ですけど!!」


「どうして高い声で張り裂けぶように声を上げたんですか!?」


「いいじゃない……そういうのがあっても……」


 そして母が登場する。


「あらあら……天器が女の人を連れて来るなんて……これは天地がひっくり返ってもあるようなことじゃないわね……今すぐに担架を持ってこないと病院は病院はどっちかしら~」


「母さん……この人は職場の店長で……」


「こんにちはよろしくお願いします」


「うん……あなたはうちの天器を狙ってますね?」


「母さん!? いきなり宣戦布告はやめてくださいよ~~~!? 気にしないでくださいかなえさんいつもこうなんです母さんは……」


 とまあ母さんのひと悶着を交えて飯を食うことになった。


 なお風呂も貸した。なんだろうドキドキする。かなえさんたまに持っていくハイポーションとかキュアポーションとかを飲んでしまいます。


 そのせいかなんか最近のかなえさんがなんか若い。というか美人。 美少女と言っても差し支えない。


 母さんが警戒するのもわかる気がする。


 だが可笑しい飯を作る母さんを手伝いつつ、スマフォでレシピ検索サイトを見ているという俺が胸騒ぎがする。


 自分の部屋には鍵はないが母さんは俺の部屋に勝手に入らないし妹も入ってこない。


 父さんはなかなか帰ってこないし、爺ちゃんや婆ちゃんも入ってこないからってまさか……


 俺は慌てて跳びだした。


 だがそこには先ほどの服を着ていたかなえさんいた。


 なんかいつもよりふわふわしているよう目で俺を見ている。


 この目で見られるとふわふわな眼で見られるとかなえさんのお願いを聞くしかないのだ。


「天器君……あの天器君の部屋に勝手に入ってしまいました」


 !? どういうことだ……俺の部屋に勝手に入ったって!?


 俺は内心最悪のシナリオ予想していた。


「そこでなんかよくわからないガチャみたいな機械があったの? それで試しに100円玉を投入したら……なんかカードが入ったカプセルが出てきたのよ? それを手にしたら頭に声が響いて……」


 少し巻き戻る。


 かなえが風呂上りに天器の家だからいつも持ってくる美味しハイポーションを欲しいと願っただが台所の冷蔵庫を勝手に漁るのは不味いと思い天器の部屋に突入するのであった。

 幸いにもカギはかかってなかった。


 そして謎のガチャの機械に遭遇するのだが……それを使ってしまうのだった。


 100円玉を投入したら廻せた。


 出たのはC(コモン)の魔法カード『魔力注入』。


 他人に魔力を注入することができる魔法だ。


 これにより魔力を敵から吸い上げることもできるようになる。


 私はそれを使用した。


 魔法カードが魔法が体の中に入り込んでくる。


【魔法『魔力注入』を習得した】


 という声が頭の中に響いた。


 最初はRPG!? ドラ〇エ!?? 凄い凄い!! と喜んだが後輩の家の機械を勝手に触ったことに関する罪悪感……なかったでもこんな隠し事をしてるなんて天器君……ずるいと思った。


 一人でこんなことをしてるなんてずるいな凄いなと悪戯心が、芽生えた。


 目の前にあせっている天器君がいる。


 ふっふふ可愛いな天器君は……


「天器君……このことは私とあなたの秘密にしてあげるから……あの機械をもっと触らして欲しいかな……ダメかな? ねっ秘密にしてあげるからっ☆」


 少し小悪魔風に言ってみるがダメなら諦めようあのエナドリ……たぶんポーションかな本当は気づいていた……あれが普通のエナドリではないことに。


「はい……いいですよご飯を食べたら後で俺の部屋に来てください」


「あれっ天器君は正体が知られることを……いやいいですよでも悪く思わないでね天器君……お姉さんに知られたのが幸運だと思ってね☆」


「うん……かなえさんには敵わないや……」


 天器は内心ドキドキしながら焦りと心汚さを感じていた。


 でもいいだろうとそうだかなえさんを巻き込んでしまおうと考えていた。


 意外と前向きに考えるほどであった。


 かなえさんが俺の仲間になってくれたら心強いなと。


 天器の明日はどうなるのだろうか?



「トウカさん……これでよかったんですか?」

「そうだなかなえの奴もお前と同じ土俵に立たせたかったんだ」


「そうですか」


「しばらく私は出てこんぞ、かなえに任せるんだ」

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