第20話  カナマート!

コンビニ店の店長であるカナは、入口でいさかいを起こしている男女の元へ駆けつけた。

「どうされました!?」

「いやねーこの姉ちゃんに肩あてられた訳よ?なら詫びにコーヒーの1杯でもおごれよってな感じな訳よ?」

「いやです!」

「お兄さんそれは犯罪ですよ!?」

「関係ねーっての!はよおごれや」

「仕方ありませんね…」

カナは杖を取り出し、呪文を唱え、

「滅せよ!」

と炎を男に浴びせた。とたんに男は煤と化した。

「ありがとうございます!」

他人を煤と化す事も十分犯罪なのだけれど。


そうして10数日が過ぎ、とうとう街の中心部に建てたコンビニが開店の日を迎えた。コンビニ名を考えてなかったので、悩んだあげくつけた名前が

「カナマート」

ベタな名前だが逆に良いかなと思いつけた名前だ。ここがカナマート2号店になる。

そして当日、開店式が執り行われた。色のついたポンポンが空にはじけた。

コンビニの周辺には住民が取り囲んだ野次馬たちが群れをなしている。

カナがテープカットをすると拍手が沸いた。

カナのスピーチが始まった。

「うちのコンビニは安心・便利・満足をモットーに24時間営業します。真夜中にパンが食べたくなったらうちに来てください。真夜中にセロテープが欲しかったらうちに来てください。カナマートダンジョン本店ともどもカナマートをよろしくお願いします。」

民衆から歓声が沸き上がった!いよいよコンビニカナマートは本格的に営業を開始してゆく。再びポンポンが空に舞った。

と、同時に5ミリ4方のシリコン基板に、1億個以上の素子を集積した超LSI内蔵の高性能ロボット店員を導入し、より効率化を図った。

「私たちバイトはどうなるんですか…?」

「あ、全員クビ」

「そんなぁ…」

バイト達は全員うなだれた。

これも満足を提供するための犠牲だ。我慢してほしい。

ダンジョンにしばらく行けそうもないのが残念だった。もっとレベルをあげたいのに。

そんなことを考えてるとピピンがミルクコーヒーを飲みながらやってきた。

「しばらくダンジョンは無理そうすね…」

「うん…ごめんね」

ともかくカナマートは2店舗になり、本格始動を開始した。

これから起こる受難を予想だにもできずに…。



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