「ケンタとオサキ」誰のためにもならない反省会 (きわめて個人的な物語編纂の話①)

(※一応、ネタバレ含みます)


 この物語、ここから中途半端なラノベ「転生」要素を含みます。

 ここ「カクヨム」様に来て皆さんの作品に触れ、今では自分でそれを書くほどになっていますが……。

 当時はそれを全く知らないまま!

 恥ずかしいったらありゃしない。

 それでその要素をうまく取り込めているわけもなく。

 そりゃ、ダメだわ。


 まず、そこが落選理由の一つ。


 それよりなにより、公開した短編部分からわかるように、ぎっちぎっちに詰め込み過ぎ。


 堅苦しい。

 重い。

 息が詰まる。

 肩が凝る。


 キャラクターのセリフ、動きも不自然極まりない。


 なぜなら、規定のページ数に収めようと、それだけに必死だから。

 説明に次ぐ説明で、言葉遊びばかりで。

 読者が設定に首をかしげるようなことになってはいけないとすればするほど迷走、ドツボ。それでさらにページ数に余裕をなくせば、世話がない。


 想いが強すぎたのでしょう。


「今回だけは失敗できない! 絶対に、一次、いや二次は突破しないといけない」


 個人的な事情でしたが、それが説明文の詰め込みにつながったことと今ならはっきりわかります。絶対に間違いがないようにとそればかりでは面白くなるわけがない。

 キャラクターにも、物語自体にも、伸びやかさがないのですから。


 この短編部分だけで、実は完成、完結していたんです。

 

 短編としてなら、その短い中にもミステリー風味あって、どんでん返しも我ながらうまい。

 オサキのキャラクターも典型的なツンデレで、それはそれで面白い。

 彼女とともに旅立つ、そんなラストも決して悪くない。


 それを、変に膨らませて長編に伸ばしたことで……。

 この短編部分もまた、あとにつながるようにと説明文を詰め込んでしまって、面白みがどんどん薄れてしまった。

 思い入れが暴走したという。

 

 変にシリアス方向へ、このあとケンタを考え込ませたのもいけなかった。

 物語としての起伏を考えた時、ケンタの成長もあったほうがいいと試練を与えたんです。

 それはいいのでしょうが、でもそれを長く引きずるような形にしてしまった。

 そのため、ラストも「え? なんでそうなるの?」って。

 それこそ読者が納得しないだろうところへ進めてしまった。

 それももう、強引に。

 キャラクターがそうしたのではなく、作者がそうした。

 それは物語の紡ぎ方としてはダメダメ。

 キャラクターの想いをきちんと代弁できていないのだから、読者にも伝わるものがあろうはずもない。


「村を守る」

 それがなくなった。

 じゃあ、どうしよう?

「侍になろう!」

 切り替えも早く、明るく一直線に。

 それをオサキは、

「仕方ないわねえ」

 あきれながらもそばにいて見守り続ける。

 そんなお姉さんぶるオサキも、実はケンタの元気に励まされ、支えられている。孤独を癒されている。


 支えあう二人が、妖怪退治も演じながら大冒険!

 侍になるぞと子供が勇ましく!


 ただそれを軸にするだけで良かったのでしょう。


 今では、はっきりそういえます。


 まずいことはまだありました。


 時代考証をしっかりやらないといけない。

 そこも間違ってはいけない。


本草学ほんぞうがく」とか、侍のこととか、その時代の「村」のこととか、昔話の政治利用とか……。


 知識を詰め込みすぎ。


 求められているのはそれじゃないでしょ!


 先にいったような「大冒険」それでいいのに。


 それで文字数、ページを使って、もともとぎちぎち余裕なしがさらにではもう目も当てられない。「時代劇ファンタジー」と割り切って、時代考証なんて鼻で笑って、物語自体の面白さで押し切る。そのくらいの強引さが必要だったでしょう。読者の対象が「中高生」なら、なおさら。


 いろいろ、もったいない。


 キャラクターや物語の構成、部分だけを見れば面白いのに。


 「カクヨム」様でレベルアップした自分が、いかにこの物語を作り直せるか。


 「供養」ではケンタとオサキに申し訳ない。

 作者の技量が満ちれば、本当の二人の姿を読者に見せてあげたい。

 いつかは。

 この反省文も生かして。

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