まどかのSF体験談 ~SMじゃないよS(少し)F(不思議)なお話だよ~

@Alphared

第1話 自己紹介ー私に纏わる不思議ー

こんにちは。私は朝岡まどか。……一応、二十歳です。

 誰も信じてくれないけど、本当に二十歳なんだよ。

 ほら、この免許証にも生年月日書いてあるでしょ。


 私自身、そうは思わないんだけど、私の外見って14~15歳ぐらいに見えるんだって。自分で鏡見て、まぁ童顔ダヨネーとは思うけど、14~15歳は言い過ぎだと思うのよ。昔から背は低いし、成長期も遅かったのは認めるけどさぁ。

 でも、胸だってこんなに立派に育ったし(86のCカップよ!)キュッとくびれたウエストは日ごろの努力の賜物よ。

 正直、体型には自信あるわ……まぁ、身長だけはどうしようもないんだけどさ。

 でも150cmの二十歳なんて、ゴロゴロいるわよ!……たぶん。


 会社の人達は「若いっていいわねぇー」とか「二十歳ね。」なんてからかってくるし、キモオタの幼なじみは「合法ロリ、キター!」とか訳わかんないこと言ってくるし。

 この前なんか、お酒を買いに行ったらお店の人に年齢確認されるし……、お休みの日に、街中をブラブラしてたら補導されちゃうし……うちの会社、平日休みなのよ。

 だから、出かけるときは免許証携帯は必須。


 まぁ、いいけどね……慣れちゃったし。

 

 そうそう、私の体験談だったよね。ンっと……本題に入る前に、少しだけ昔話してもいいかな?

 こんなこと、あまり話さないんだけどね、聞いてくれるっていう君にだけ、こっそりと教えちゃうゾ、私の秘密を……ね。少しの間お付き合いしてくれると嬉しいな。


 ◇


 あれは、私が7歳の時かな?

 ……あっと、誕生日だから6歳?

 ん?誕生日だから7歳になった……でいいんだよね?

 とにかく、7歳の誕生日の日……私は交通事故にあったの。


 正直、その前後の事はよく覚えていないわ。

 誰かと遊んでいた気もするんだけど……当時の友達は、みんなその日は会ってないって言うのよね。

 事故の瞬間は、何か黒い大きなものが、目の前に覆い被さってくるイメージだけが残ってる。

 ……その後意識を失ったんだけど、その後にね、どこかで寝かされている状態で目が覚めた気がするのよ。


 目の前には大きな、大きな光があって、眩しかったわ。

 そして、その周りに立つ人影……なんか人じゃない気もしたんだけど……眩しくてよくわからなかったの。

 その人たちがね、理解の出来ない怪しい言葉を使ってるんだけど、私の事を話しているっていうのは、何故か理解できたのよ。


 その後、私をのぞき込んできた……異形の顔。

 本来なら目のある部分が大きく昏い穴だったような気がするの。その時の怖い、という思いだけは今も心の奥底に残っているのよね。

 そのまま、私はまた意識を失ったようで、次に意識を取り戻したのは病院のベットの上だったの。

 ママの話によると血まみれで道路に倒れていたんだって。

 あたりに車の影もなかったので、警察ではひき逃げ事件として捜査していたんだけど、目撃者も見つからず……未だに事故の犯人見つかってなかったりするのよ。

だけど、私の微かな記憶……心の奥底にこびりついた恐怖……あれはいったい何だったんだろうね。

 

 話は変わるんだけど、「通りゃんせ」って童謡知ってる?

 あの事故の後から、ふとした拍子に、私の頭の中でね、たまに流れるのよ。

 こんなことを話してるからかな?

 今も、ちょうど流れてるわ。

 歌の歌詞の中のね「七つのお祝いに……」ってところがいつも引っかかるのよ。

 なぜ、引っかかるかわからないんだけど……ただ、私の7歳の誕生日に、謎の交通事故と、怪しい夢……

 ……後で知ったんだけど、私が倒れていた道路の奥には古い神社があったんだって…………偶然だよね?


 ◇


 あ、まだ時間ある?

 じゃぁ、もう一つ聞いてくれるかな?

 キミは修学旅行って行った事ある?って、普通はあるよねー。

 キミの通っていた小学校ってどこに行ったのかな?

 大抵は古い神社とかお寺が沢山あるところだよね。

 私、実は……古い神社とかお寺って苦手なのよね。

 たまに、凄い寒気がして怖くなったりするの……そういう経験なぁい?

 

 そんな私の、小学校時の修学旅行は「京都・奈良」……ま、定番中の定番だけど、私にとってはあまり行きたくない場所なのよねぇ。

 

 これから話すのは、その修学旅行でのあった本当の出来事なんだけどね・・・・・・。


 あれはどこかのお寺で皆で説明を聞いてたときだったっけ・・・・・・。

 「まどかちゃん、前の組行っちゃったよ、早く行かないと。」

 私は、めぐみちゃんに、そう言われて慌てて、前の組を追っていったのよ。


 「なんか人多いね。」

 修学旅行シーズンで定番の場所だけあって、すごい人混みだったのを覚えているわ。


 「まどかちゃん、はぐれないように手を繋ごっか。」

 「そうだね・・・・・・めぐみちゃんの手冷たいね。寒くない?」

 まだ秋口だというのに繋いだめぐみちゃんの手はすごく冷たかったのを覚えているわ。


 「さっきのお手洗いの水道冷たかったから。」

 めぐみちゃんはそんなことを言ったけど・・・・・・トイレ休憩から結構たってるよね?


 「それより早くいこ?」

 「そうだね。」

 めぐみちゃんがそういうから、私はそれ以上深く考えずに、慌てて前に行くクラスメイトの後を追いかけたのよ。。


 私がおかしいな?っておもったのはそれから30分程してからね。

 だって、ずっと歩きっぱなしで・・・・・・、ここでこんなに歩くなんて聞いてないよね?


 私は、先生に聞こうと思ったんだけど、先生の姿が見えない。

 それどころか、振り向いても見知った顔がないの。ううん、正確に言えば、子達ばかりが回るにいるのよ。

 それに、先の方はなんか薄暗くなっているし、周りの騒めきも聞こえなくなっていて静かになってる・・・・・・普通、みんなおしゃべりするよね?だけど誰も一言もしゃべらないのよ。

 ヤダ・・・・・・なんか怖い・・・・・・。


 「めぐみちゃん、おかしいよ。周り知らない子ばっかり・・・・・・どこに向かってるのかわかる?」

 「えー、皆について行けばいいんだよ。次に行くのは「天神様」の処でしょ?」

 「あれ?そうだっけ・・・・・・?」

 そんな予定あったっけ?

 だけどめぐみちゃんが当たり前のように言うのを聞いて、そうだったかも?なんて思い始めたのよ。


 それからしばらく歩いていると、どこからか「通りゃんせ」のメロディーが聞こえてきたのね。

 「ほら、早く行かないと置いてかれちゃうよ。」

 そう言ってめぐみちゃんが私の手を引っ張って走り出す。

 急に走り出されたのでバランスを崩しちゃってね、その場で転んじゃったのよ。

 そして転んだ拍子にめぐみちゃんと繋いでいた手も離れちゃったんだけど、めぐみちゃんはそんな事も気づかずにどんどん走って行っちゃうの。。

 「めぐみちゃん、待って・・・・・・。」

 私は大声で呼びかけたんだけど、結局¥めぐみちゃんは気づかないまま走って行っちゃって、人混みに紛れて見えなくなったのよ。


 私は慌てて追いかけようとしたんだけど、急に後ろから誰かに引っ張られたの。

 

 「まどか、まだ赤だよ!」

 その声に、はっと気づいて思わず足を止めて振り向いたのね。

 私を引っ張って止めてくれたのは、同じクラスの遠藤よしみちゃん。

 ふと前を見ると、信号は赤だったのよ。 

 周りには、見知ったクラスメイト達がいたのね。あの子は絵里ちゃんで、あの子は義男君。あそこでモジモジしてるのは詩織ちゃん……皆で信号待ちをしているところだったのね。

 歩行者用信号機からは「通りゃんせ」のメロディーが流れているの。

 

 「この先の路地は、あの動揺で有名な「通りゃんせ」に出てくる天神様のお社があると言われています。」

 そう説明しているガイドさんの声も聞こえてくる。

 いつの間にか回りも明るく、ガヤガヤと騒がしい・・・・・・。

 さっきまで薄暗く静かだったのって何だったのかなぁ?


 ガイドさんの説明によるとね、「通りゃんせ」の伝承があるから、この信号機のメロディも「通りゃんせ」なんだって。

 ただ、全国各地に同じ様な伝説があるからどこが本物かわからないってガイドさんが言ってた。


 「あれ?そういえばめぐみちゃんは?」

 いつの間にか姿が見えなくなった友達の事を、よしみちゃんに聞いてみたんだけど・・・・・・。

 「めぐみちゃんって誰?」

 って聞かれちゃった。

 そういわれて、私はめぐみちゃんの名字が思い出せないのに気づいたの・・・・・・同時に、うちのクラスにも隣のクラスにも「めぐみ」って名前の女の子がいないって事も・・・・・・ね。


 キミは、あの時何が起きたんだと思う?ってわからないよね。私も分からないの。

まぁ、それで終われば気のせいって事に出来たんだけどね・・・・・・。

 うん、そう、キミの想像通り、後日談があるのよ。

 ところで、写真販売って知ってる?

 私が小学校の時は、カメラマンさんが撮影した写真を廊下に貼りだしてね、欲しい番号を書いて注文するの。……丁度、今私がやっている作業がそれよ。


 「もう、今時はインターネットでしょ?」

 暑いし、重いし、大変なのよ、この貼りだし作業も。

 「ボヤかないの。来年はあんたが担当なんだから、先生と話してインターネットに切り替えてもらえばいいじゃん?」

 「今年やってくれれば、来年楽出来たのにぃ。」

 「星野さんも、最後だから波風立てたくなかったんでしょ。」

 「ちぇー。」

 「そんな事より、バイト君が次の指示待ってるわよ。」

 「はーい。……あ、これを順番に1枚づつ、このホルダーに入れて行ってね。文句いわないの。働くって事は大変な事なのよ。」

 バイトさんに次の指示をだしながら、学校とのやりとりは面倒だけど仕方がないかぁ、などと思う私。


 「そういえば、センパイ。私、小学校の修学旅行で心霊写真買ったんですよ。」

 私は写真を見て思い出したことをセンパイに告げる。

 「何、ソレ。怖っ!」


 そう、あの時に販売された写真の中にね、お寺とか神社とかを写していた写真の中の1枚に石碑が写っているのがあったのよ。

 こんな石碑なんてあったかなぁ?なんて思ってよく見ると、その横の木の陰にミイラの顔が写っていたのよ。さらに言えば、その顔は何となく「めぐみちゃん」に似ている気がしたの。


 ただ、その写真のその場所を指さしても、みんなは「見えない」「わからない」って言うだけ。英二君なんかは、「それってしゅみらんらって言うんだぜ」なんて訳わかんないこと言ってたけど、今なら「シミュラクラ現象」だと言いたかったんだなって思うの。あの年頃の男の子って、ちょっとでも難しかったりカッコ良さそうな言葉を使いたがるんだよね。キミもそういう経験あるんじゃない?

 

今ではね、その心霊写真もどっかに行っちゃったから、アレが本当にあった事なのかどうかの自信が持てないんだよねぇ。。


 だからね、免許を取ったとき、友達と一緒にあの場所にも行ってみたの。せめて写真に写っていた石碑が見つかればってね。

 奈良のお寺のどっかだと思うんだけど、修学旅行のコースを回っても、写真の石碑は見つからなかったのよ。

 小さい頃の事だし、記憶も曖昧なんだけど、ひょっとしたら、いつか見つかるかも?って思って、カメラマンの仕事をしているの。・・・・・・あ、この事は会社には内緒だからね。


あっと、センパイに呼ばれてるからもう行くね。

またどこかで会えたら、別のお話ししようね。

 

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