第3話 犬も歩けば鬼になる

 オークの村に一体の影が現れる。

 犬だ。

 ただの犬ではない。

 知識を持った犬。

 名は、アースベルガー


「オークの村か……」


 アースベルガーがため息を放つ。


「犬?」


 オークの少女が小さな声でそういった。


「そうだ我は犬だ」


「犬が喋った」


「オークよ。主は雌か?」


「私は女の子だよ?」


「ならば犯してやろう。

 我が力になれることを光栄に思うがいい」


「何いっているの?」


 アースベルガーがくしゃみをする。

 すると少女の服が一瞬で消える。


「これで犯しやすくなった」


 少女はこのとき初めて気づいた。

 この犬の凶悪な魔力に……


「もう一度言う、我が力になれることを光栄に思うがいい。

 我が力は雌を犯せば犯すほど力を増す。

 種族も年齢も関係ない。

 我のペットとして生きる道を得れるのだ。

 光栄に思え」


 オークの少女が逃げる。


「助けて!」


 しかし。誰も助けは来ない。


「来るわけがなかろう。

 ここはエデンズ、我と我のペットのみが入ることを許された場所だ」


「私はペットじゃない!」


「これからペットになるのだ」


 アースベルガーは狂気の笑みを浮かべる。


「犬のペットってなんか笑えるね」


 その声の方をアースベルガーが睨みつける。


「小僧!どうやってここに来た!」


 猫が一匹、そこにいた。


「にゃーん」


「誤魔化すな!なぜここにいると聞いている。

 主は何者だ!」


 アースベルガーがそういうと猫は姿を変えメガネを掛けた少年の姿へと変わった。


「ノリ悪いね」


「もう一度言う、お前は何者だ?」


「僕の名前かい?

 僕の名前は、13(サーティーン)。

 それ以上でもそれ以下でもないよ」


「聞かぬ名前だな」


「うん、こう見えて殺し屋なんだ」


「殺し屋だと?我を殺しに来たのか?」


「犬を殺してなんの特があるの?」


「見逃してやるからこの場から消えろ」


「いいよ」


 13がそういうとオークの女の子が助けを求める。


「助けてくれないの?」


「いいよ」


 13は、ゆっくり歩きアースベルガーを素通りしてオークの女の子の体に布を被せる。


「女は置いていけ」


「ばいばーい」


 13はそういうとオークの女の子を連れてその空間から出た。


「ミカン!」


 オークの村。ヤスがそのオークの女の子の名前を呼んだ。


「お兄ちゃん!」


「お前、服はどうしたんだ?」


 ヒデがそういうとミカンが涙ながらに答えた。


「あの人に助けてもらったの」


「君は?」


 ヒラノは、警戒心を解かないまま尋ねる。


「僕の名前は13。

 アルカディアの左手の契約者だよ」


「アルカディア?ってことは同業者?」


 ヒラノがそういうと13が笑う。


「同業者とは違うかな。

 君はヒーラーでしょ?僕は殺し屋だから正反対」


「殺し屋?僕を殺しに来たの?」


 ヒラノがそういうと13は笑った。

 ケラケラと笑った。

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