第6話

 それからしばらくの間、私は、テレビアニメの原作の漫画を母に買ってもらい、夢中になって読んでいた。ただ、南天の実を採りながら言った父の言葉が頭から離れず、そうかといって、その意味を尋ねることもできずにいた。

 父が出張で家にいない時を見計らい、母に尋ねることにした。母は珍しく私を仏間に招き入れた。

「ご覧なさい。一番右端のお写真を。お若くしてお亡くなりになったあなたのおじい様とおばあ様です。お父さんはわずか八歳の時にご両親とわかれられたの。」

「何かの病気で?伝染病とか?」

「何故、そう思ったのかしら?」

「だって、二人ともだから……」

母は真っ直ぐに私を見た。

「いい機会ですから、お父さんのご事情をあなたにお話しましょう。ただ、このことをお父さんに聞いたりしないでほしいの。お父さんにとってはお辛いことですからね。約束できますね。」

「はい。」

いつになく、母の厳しい表情に私は容易ならざるものを感じた。

「おじい様は二十九歳の若さで、ご病気で亡くなられたのです。妻子を残してさぞや心残りだったでしょう。仲の良いご夫婦だったそうですから。残されたおばあ様は悲しみのあまり、おじい様の後を追われたのです。あなたのお父さんと赤ちゃんだったお父さんの妹さんを残して……」

「それって……」

「自ら命を絶たれたのです。」

母の話しを聞いて、私は思い当たることがあった。

 

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