第3話 ゴブリンは食べられないじょー!!



「こんな大きな靴履けないじょおお………


にくううぅぅ………」





リトルコボルトを討伐して手に入れたアイテムは【靴】だった。


しかしその靴は少年には大きく履いてもブカブカだった。



「じょ?小さくなったじょ?


これなら履けるじょおお!」



試しに履いてみると最初はブカブカだったが手に入れた靴は【マジックアイテム】で大きさが変えられた。


少年は靴が小さくなり履けた事に喜び、その場でぴょんぴょんと跳び跳ね出した。



「じょおお!じょおお!身体が軽いじょおお!


それに足が痛くないじょおお!!」



少年の履いてた靴は藁で出来ている靴で履かないよりはマシ程度の物だった。

それがマジックアイテムの靴なら雲泥の差があるのは当たり前だ。履き心地は違うだろう。


肉が盗れなかったことなど忘れたかのように少年は村へと帰っていく。


そろそろ夕方になりそうだったので今日の狩りは諦めて帰ることを決めたのだ。


本当ならキノコや食べれる植物を探そうと思い森に訪れた筈だがそれすらも忘れてしまっていた。



「じょ!!あれは………ゴブリンだじょ!」



帰りながらまたもやモンスターに遭遇してしまった。

緑色の体に耳は長く鼻は大きな醜い顔をしたモンスターの【ゴブリン】だった。


本当であれば森の浅瀬でモンスターに遭遇するのは珍しいが、幸か不幸か少年は2度目のモンスターに遭遇したのであった。




「………ゴブリンは食べられないじょおお………」




ゴブリンは食べれるところもないが2度も生物を狩って何かしらのアイテムに変化するのは分かっている少年はゴブリンを討伐することを決めた。


今回もマフラーの希薄の能力のおかげでゴブリンは少年には気付いておらず今回も背後をとり大きな石で頭を殴り付けた。


「ぐぎょおおお!!」



「じょおおおお!!」


しかしゴブリンはリトルコボルトとは違い一撃では倒せなかった。


石で殴り付けた後に直ぐに振り向かれ少年は一心不乱に何度も頭を殴り付ける。


通常であれば子供程度の力でゴブリンを倒すのは不可能に近い。


少年も村の大人には「モンスターと遭遇したら直ぐに逃げろ!!」と教えられてるがこの時は最初に2体も生物を討伐できたという自信がゴブリンも簡単に倒せると錯覚していた。



「じょおおおお!!」




しかし先程手に入れた靴には【スタン】という固有能力が付与されていた。

おかげでゴブリンは攻撃を受けると一瞬だが動きが止まり、その隙にまた一撃という流れでゴブリンの討伐にも成功してしまったのだ。





「怖かったじょおおお!!うえーん!!!」





なんとか倒すことには成功したが目の前でゴブリンが雄叫びをあげる姿を思いだし少年はまた泣き出してしまった。




そしてゴブリンを倒し天恵が発動し少年の目の前には【ナイフ】が落ちていたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る