第36話 午睡

アーク歴1497年 玖の月


リヒタール領



農業にダンジョンに。

毎日忙しく働いた。


いつの間にやら俺は13歳になった。アシュレイは15歳。

レベルは上がったし、ステータスも良くなった。

ダンジョンの攻略も順調でレベルも20を超えたが、俺の見た目は相変わらずのヒョロガリ君だ。


翻って15歳になったアシュレイはどう見ても美少女だ。

小学校の高学年から中学校くらいの成長のはずだが、誰がどう見ても美少女である。まいった。


俺と2つしか変わらないのに、片や美少女、片やガリガリである。

つまり俺はガリガリのクソガキのままだ。まいった…



アシュレイはしばらくお城に帰らなかったが、どうもお城の方は空気が悪く…内乱やら何やらが色々とアブなかったらしい。ってこないだ来た時に伯母ちゃんが言ってた。


でも、それももう落ち着いたんだと。

それで久々に帰ってアシュレイと俺との婚約発表をするとかしないとか。

その話を聞いてまた真っ赤になってパニックになるアシュレイとそうでもない俺。


前世で結婚はしていなかったが、それほど緊張感は今のところない。

かつての俺ならもう大混乱になってただろう。それこそ今のアシュレイよりははるかに酷いくらいに。

だが俺は落ち着いている。たぶんこのカイトの器が大物なのだな。中身はだって、どっちも俺なんだもん。



んでひとしきり興奮したアシュレイは朝の仕事を終えると寝てしまった。

俺と一緒に最近作った和室でごろごろしていたら寝たのだ。


和室は良い。

畳は完全に畳風のナニカだが、それでもやっぱりいい匂いがする。

イグサじゃなくってそれっぽい草を大体適当に編んで作ったモノを大工に無理やり量産させ、部屋に適当に敷き詰める。そうすると出来たものは…うん、大体和室!


そして長年履きつぶしたブーツを脱いでごろんとしたところ…くっさ!足くっせ!ヴォエ!なんじゃこりゃ!…ってなったので。

よく足を洗ってからゴロンと転がる。


「ほわあああああ」


足をきれいに洗ってさっぱりしたところで畳でゴロゴロ。

これぞ至高の快楽よ!


「なんだ?そんなに気持ちいいのか?」

「サイコーだぞ」


同じように足を洗ったアシュレイはゴロンとなると、


「ふええええ」


と情けない声を出して寝転んで…二言三言話したと思ったらもう寝た。

早い。


俺は考え事をしていたから気づかないうちに寝ちゃったみたいだ。

うん、美少女然としてきたものだ。

何と言うか俺はもっとバイーンな美女が好きなのでそれほど惹かれないが、ロリコンの人から見たらたまんないだろうな。

いや、すでにかなり大きく膨らんでいる。上下に動いているのを見ると、いくらでも見ていられる。不思議だ。

早くバインバインになんないかな?と思ってるのは俺だけじゃないはず。

悪い虫がつかないように見張って、きちんと育て上げたところで美味しくいただかないと…って俺は光源氏か!



世界最古のラノベ主人公こと光源氏は割とダメダメな奴だ。

『いろんな女とアレやコレやしながら好きな人の娘を自分好みに育ててパクっと食べちゃう話』というくらいしか知らないけど、どこからどう考えてもアカン。

現代なら街中で幼女に話しかけて事案になること待ったなしの人材だ。



…そう思っていたが同じ状況になったらどうか。

自分好みの美幼女がだんだんと育って美少女になっていくところをジッと見ていると。

なんだか他人に渡すのが惜しくなってくるというか…

好みの美少女が他人のモノになるのは。

子供や妹と同じようなものだと思っていたが、いつの間に異性を感じてしまったのだろう。


うーむ。

まあ今の俺にはわからんでもない。


見た目は子供、中身はオッサン!の俺だ。

アシュレイの事を子供だクソガキだと思っていたが…だんだん奇麗になっていって、将来は美人になること間違いなしだと思うと…うーむ。


寝ているアシュレイの頬をつつく。

ぷるんっとした素晴らしい肌だ。すばらしい。


だがまあ、ぶっちゃけ俺のと大差ない。

俺だってまだまだガキンチョでお肌はプルプルのスベスベ。

毎日修行にお仕事にダンジョンにと忙しく活動して日焼けもすごいが、それでもお肌は常にプルプルである。シミもほとんどないし、吹き出物みたいなのもできない。若いって素晴らしいな。


「う、うーん?」

「やべ」


触り比べてツンツンしまくってたら起きそうになった。やばいやばい。

もうちょい慎重に触らないと…


続いて頭を撫でてみる。

さらっさらの髪だ。

コイツも毎日汗かいて忙しくして、シャンプーもリンスもないからロクに洗えないはずなのに…なんでサラサラなんだ?


と思って思いついた。

ああ、シャンプーを作ろう。


と言っても最初は固形石鹸がいい所だ。

それと、石鹸で洗うと髪がキシキシになるからリンスもしないと…


確か石鹸の界面活性作用でキシキシになった髪は、お酢や柑橘の汁なんかで中和できるはず。

今度自分で試してみていい感じになったらアシュレイに使ってみよう。

コイツのサラサラ度合からすると別に必要ないかもしれんが…なんか特別なことやってんのかな??


「うーむ…」

「カイト…いつまでさわっているのだ?」

「ふぁっ!起きてたのかよ!」


また顔を真っ赤にした魔王様がこちらを見ている。くそ、可愛いじゃないか!


「あ、いやこれはだな。サラサラだなーと思ってだなあ」

「それで?」

「寝顔も可愛いなあと。サラサラで気持ちいいなあと…それで…」

「ふふ。私は嬉しいぞ」


頭を抱え込んでぎゅってされた。

いやん、アシュレイちゃん積極的!

お つ ぱ い が!顔にあたる!ふんすふんす!

まだ小さめだと思ってたけどそれでも膨らみが…!やばい!


「ふふ。くすぐったいだろう。…そう言う事したいのか?」

「したくなくはない。どちらかというとしたいが…だめ!大人になってから!」

「カイトは真面目だな。ふふふ」


かわいいかわいい、って感じでナデナデされた。

くそう、何だか悔しい。

でも気持ちよくてふわふわする。くやしいような、幸せなような…


このあとたっぷり二人で昼寝した。気が付いたら寝落ちしていたのだ。

起きたら照れまくりのアシュレイはすごくかわいかった。

ニヤニヤしているマリアと冷やかしてくるマークスはすごくうざかった。

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