第6話さそり人間1号VS宇宙刑事VS触手人間28号

まさか自分が人面疽になるなんて思わなかった。

しかも真珠の左胸にとりつくはめになるとは。

鏡越しにうつる顔はまさしく自分のものだった。顔はかなり小さくなっているが、間違いなく自分のものであった。

目も口も鼻もある。

しかも、ぺちゃパイの真珠が折原涙おりはらるいに負けないぐらいの巨乳になっている。


「光莉が私にとりついたことによって、私のの体も変化したみたいね」

くるりと真珠は鏡の前で回る。

巨乳になっているだけでなく、お尻はいい感じにプリンとしていて背も高くなっている。


真珠はある程度自分の体を確認すると制服に着替えた。

胸元だけは大きく開けて、僕が息をしやすくできるようにしてくれた。


そのすぐ後、おしはかったようにコンコンとノックの音がする。

真珠がどうぞと言うと白髪の老人が部屋にはいり、うやうやしくお辞儀する。

手に持っていたサーベルを真珠にさしだす。


「お嬢様、超硬質セラミックのサーベルがちょうど完成いたしました」

老人は言う。

真珠はサーベルを受け取り、銀の刃をじっとみつめる。

「ありがとう、神崎」

真珠は言う。

「お安いごようです、お嬢様。僭越ながらこの神崎の同行をお許しください」

神崎は言う。


真珠は首を左右にふる。

「ありがとう、神崎。でもこれぐらいの問題を処理できないようでは姫野の跡継ぎはつとまらないわ」

真珠は答える。


「さようですか、お嬢様ではご武運を……」

神崎はまたうやうやしくお辞儀をした。



僕たちは高校の屋上にいた。

真珠の話では僕が人面疽として表に出れるようになったのは、あの自宅で真珠と融合してから一週間が過ぎていたという。

ようやく意識だけでも取り戻すのにそれだけの時間がかかったようだ。


しばらくするとこの屋上にある人物があらわれた。白衣を着た、ボサボサ髪の女性だ。

「こんなところに呼び出してなんのようだ、姫野」

黒井水晶くろいくりすは言う。

真珠の巨乳に浮かぶ僕の顔を見る。

「ほう、ずいぶん育ったな姫野」

黒井水晶はじっと僕の顔をみつめる。

「そうなの、成長期なのよね。最近肩こりがひどくてね」

真珠は言い、首をコキコキとならす。

「そうか、そいつはよかったな。ハハハッ!!」

黒井水晶は高笑いする。

「そうね、アハハッ!!」

負けじと真珠も高笑いする。


「触手人間28号を返してもらうぞ、高飛車女!!」

黒井水晶は着ていた白衣を空に投げる。

なんとその下は一糸まとわぬ姿だ。

おおっとけっこうボインな巨乳だ。しかも腰はくびれていてお尻ははりがある。

しかし、それは一瞬でしかない。

すぐに彼女の体は真っ黒い鱗におおわれ、大きなお尻にはさそりの針を持つ尻尾がはえる。

「返り討ちにしてくれるわ、地味女!!」

サーベルを抜き、真珠は正面にかまえる。


「このさそり人間1号の毒針で貴様には死んだほうがましという苦痛を与えてやる!!」

黒井水晶くろいくりすことさそり人間1号は叫ぶ。両手のハサミは頭上にかかげ、真珠に必殺の攻撃をくわえようとする。


「おまえたち何をしている!!」

この場になんともう一人あらわれた。

それは折原涙であった。

ギッと真剣な表情でさそり人間1号をにらむ。

「むっ貴様はシャドーアレクサンドライトの幹部ではないか!!」

ご丁寧に折原涙は説明セリフを言ってくれた。


そうか、真珠はこの二人をはちあわせることによって漁夫の利を得ようというのか。

たしかにこの二人の正体を知っているのは僕だけだ。そして、僕と融合した真珠はその情報を使って二人を高校の屋上に呼び出したのだ。かなりの策士といえる。


ここに僕たちとさそり人間1号と宇宙刑事オリハルコンの三つ巴の戦いが始まった。

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