第25話 如月さんの親公認恋人大作戦 その1

「むむむ…何だかんだで皆さん抜け駆けしてるように感じます…

 少しくらい私も我儘言って良いような気がしてきました…」


私、如月 遥 はちょっと世間知らずなお嬢様と言われています。

と言うのも、あの事件が起こって以来…

お父様とお母様は異常な程私を大切にするようになり、

専属のSP(女性)をつけるようになりました。

何をするにしても監視され、

ちょっとでも危ないと思われたらすぐにSPが飛んできます。 


勿論監視されているだけで、それなりに一人で行動は出来ますが…

成瀬さんや白石さんに比べるとどうしてもプライベートが制限されてしまいます。


まずは…旦那様があの時に私を助けてくれた張本人であり、

彼は安心できる人だという事をお父様とお母様に認めてもらう必要がありますね…


「そうですわ!

 旦那様はお食事が大好きですし、

 お父様とお母様への説明&あの時のお礼のお食事会という事で

 桐生さんを御招待&御紹介すれば…あっという間に親公認の恋人に…

 ふふふ♪」


・・・


翌朝朝食にて…


「お父様、お母様…あの事件の事を覚えていらっしゃいますか?」

「…勿論だ…遥には本当に辛い目に遭わせてしまった…

 本当に父として不甲斐ない…申し訳ないと思っている…」


「いえ…その事はもう何とも思っておりません。

 それよりも…あの時に私を助けてくれた男の子が…

 実はクラスメートだという事が最近分かりました。」

「な、何ですって!?それは是非ともお礼をしなければ!!!」


「はい…私は今、その人に恋をしています…」

「むうぅぅ…それはちょっと別話だ!

 ただお礼は必ずする必要がある!!」


「彼は素晴らしい人なんです。

 その事を理解して貰うためにも今度の日曜日に

 一度我が家に招待したいのですが…」


「分かった。交際を認める云々は別話だ!

 だが…お礼は当然したい!

 その上で彼の人となりを見せて貰おうじゃないか…

 あの時に私たちの宝である遥を助けてくれた以上、

 その権利が彼にあることは認めよう!」


「ありがとうございます。お父様。

 では本日お昼に彼をお誘いしてみます。」


・・・


昼休みにて…


「旦那様♪今度の日曜日に我が家に来て頂けませんか?」

「ほにょ!?」


『『 んん!? 』』


「あの事件が終わってから

 うちの両親はきちんと旦那様にお礼が出来ていない事を

 ずっと気にしておりました。

 現在同じクラスメートである事をお話したら

 是非ともお礼をさせて欲しいと言われ…

 ですので、日曜日に我が家でお礼を兼ねたお食事会を催すので

 是非とも来て頂ければと…


 ちなみに…お食事会は、世界中のあらゆる食材を使った珍しい料理を

 専用シェフに沢山作っていただく事を考えております…

 如何でしょうか?」


「世界中のあらゆる食材を使った珍しい料理!?い、行きたいでござる!!!」


「事情が事情だし…仕方ないとも思うけど…

 …如月さん…まさか…そのままご両親公認の恋人とか…考えてないわよね?

 あくまであの時のお礼よね?」


「何?そうなのか??」


「まさか…そんな事は微塵も…」


如月さんは少し目を逸らしたようにも見えたが、

小生は、未知なる料理の魅力に全く勝てそうにないので

細かい事は気にしない事にした。


・・・


当日、如月宅にて:


「お邪魔するでござる!」

小生は如月宅の玄関に入った。


「君が…あの時の…本当に、本当に…娘を救ってくれて…どうもありがとう!」

「娘は私達の宝物なの…本当に…感謝しております。

 あの時は警察の方も貴方の事をよく教えて下さらなくて…

 遅くなってしまいましたが、本当にありがとうございました!」


「と…とんでもないでござる!!!

 それより…本日はご招待頂きありがとうございました。

 小生も楽しみにしておりました!」


如月さんのご両親から涙ながらの感謝から始まったが

庭?から感じられる美味しそうな料理の気配に

小生は流行る気持ちを抑えられずにいたのだった…


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