第14話閑話 ソフィア

金髪碧眼美少女が出たぞー!

一応、この小説は恋愛なのです。

主人公が全く気づかないだけで・・・。

主人公からすれば孫を相手にしてるようなものなのです。




『うう・・・グスッ』


 涙が止まらない。

 さっき走ってる途中で倒れて手や膝を擦りむいた。


 かばったおかげで破れなかったけど、着ていたドレスはあちこち汚れている。

 おかげで怪我をいっぱいした。


 今はビルとビルの間でこれ以上、ドレスを汚さないように立ったまま泣いている。


 わたしはアメリカで生まれた。

ママはいない。

 パパに聞いたら困った顔になるから、それ以上は聞いたことがない。それでもパパは私を愛してくれたから悲しいことはなかった。


 パパがお仕事の都合で長期間、日本という国に行くことになった。パパの傍を離れたくなかったので不安だったけど付いていくことにした、


 今はそれを後悔している。パパは仕事で日本に来たのでずっと一緒いられない。

 基地の近くのマンションに住むことになり、学校も基地の子達が通うところになった。でも仲良くなれることができない。私にわからない言葉で私の前で話したりする。

 何を話しているんだろう。私の事?笑っているのは私が喋れないから?


 たった三日で行けなくなった。


 部屋から出るのが怖い。パパが気晴らしに外出しようと誘ってくれるが外は知らない物だらけに、わからない言葉で話す人ばかりだ。


 それからどれだけ経ったのかわからない。一日のほとんどをテレビで英語のアニメを見て過ごしている。


 そんなある日、パパに学校主催で親同伴のパーティーがあるから参加してみないかと言われた。


 わたしも今のままではいけないと思っている。パパがついてきてくれるなら何とかなるかもしれない。参加することにした。

 いっぱいおめかしして一番お気に入りのドレスを着た。


 パパと一緒にパーティー会場に着いたときは何とかなると自信があった。でもそれはパパが傍に居るのが必要だったのだ。


 パーティー会場に入るとパパは大人の人とお話ししなければならなかった。それも私がわからない言葉。

 唯一の味方のパパまで怖くなったわたしは会場を抜け出した。


 走って走って何かに躓いてドレスだけは守らないと手と足でかばった。


 そして今、傷だらけ泣いている。

 帰り道もわからない。誰か人がわたしを見るが話しかけもしない。だってみんな黒い髪の人達ばかりだから、誰もお話しできない。このままわたしはどうなるのだろう。


『金色の髪のお嬢さん、大丈夫ですか?』


 下を向いて泣いていると誰かが声を掛けてきた。少し片言だけど私と同じ言葉だ!


『手や足に傷がありますが、何かありましたか?』


 顔を上げると不思議な恰好した男の子がいた。

 光に当たるサラサラの髪は時々赤く見える。お肌はわたしよりも白いかもしれない。


『もし事情があるなら聞きません。でもその傷の処置をさせていただきませんか、ちょうどいいところに隣のビルに友人の店がありますので』


 言葉がわかる。こちらを心配してくれている言葉。

 

 わたしはこの国に来て初めて大声で泣いた。


『大丈夫ですか?』

『はい。迷惑かけてごめんね』


 わたしは渡されたマグカップの中身を飲む。温かいココアが美味しい。


 泣いたわたしを不思議な恰好した男の子、彼は慌てずに友人のお店に連れて行ってくれた。

 彼の友人はモデルの人みたいな美人な人で見た瞬間に泣き止んでしまうほどだった。


『彼女は男ですよ。外見と心は女性ですが、性別は男。心は女性ですが性格はただのおっさんなので雑に扱って構いませんよ』


 そう言って彼は美人?な人に蹴りを入れていた。

 あ、なんて言っているのかわからないけど美人さんは彼に文句を言っていると思う。その声は男の人の声だった。


『気持ち悪いですか?でもこいつは子供には優しいですから治療だけでもさせてやってください。その後は外に放り出しときますので』


 どうしてかわからないけど大人の美人さんよりも子供の彼の方が強いみたい。


 美人さんはあっという間にわたしの怪我を治療してくれた。その後、彼が何か言うと泣きながら店の奥に去っていく。


『大丈夫ですよ。あいつはあれで喜んでますから』


 そう言って彼はココアの入ったマグカップを渡してくれたのだ。


『何も聞かないの?』

『聞いてほしいのですか?』


 何も聞いてこない彼に質問すると反対に聞かれた。


『そうですね。今ここには君の名前も知らない、名前を言わない男の子がいます』


 そういえば名乗っていない。不思議な恰好の彼の名前も知らない。


『君の悩みを聞いても君の知り合いを知りませんから秘密に出来ますよ』


『ッ・・・』


 聞いてほしい。パパには困らせてしまうから、ほかに聞いてくれる人はこの国には一人もいなかったから。


 その後は、全てを話した。本当はこの国に来たくなかったこと、パパが仕事で忙しくてあまり一緒にいれないのに不満を持っていること、この国の言葉が怖くてたまらないこと、途中からは自分でもなにを言ってるのかわからなかった。


『そうですか辛かったですね』


 そう言って彼わたしの頭を撫でる。


『君は君の出来る範囲で頑張りました。凄いことです』


 その言葉はまたわたしを泣かせるに十分な力を持っていた。


『無事かソフィ!』


 彼とお話ししていると、入り口が開いてパパが入ってきた。


『パパ!』


 数時間ぶりに会うパパに駆け寄り抱きついた。パパも私を抱きしめてくれる。


『ここの店の人が基地の方に連絡してくれたんだ』


 店の奥から美人さんが小さく手を振ってくれる。美人さんが連絡してくれたのだろう。


『再会の時間を邪魔してすいません。あなたは彼女のお父さんでしょうか』


 彼がパパに話しかける。


『あ、ああそうだ。連絡の時に男の子がソフィを助けてくれたと聞いた。君の事だね』

『そうです。状況を説明したいのですが英語のままだと流石に自分は疲れるので日本語でいいでしょうか』

『構わないよ。仕事で使っているから聞く方は大丈夫だ』


 彼とパパはいろいろ話しているみたいだ。

 でもパパの顔が赤くなったり、青くなったりしている。彼の方はなんだろう、わたしと話している時はニコニコしていたのに、パパには凄く冷たい顔をしている。


 話が終わった後は彼と美人さんにパパがお礼を言って店から出た。


『ごめんなソフィ』


 基地へと戻る途中でパパが謝ってきた。

 彼からわたしのこと聞いたらしい。秘密にするって言ったのに彼は嘘吐きだ!


『彼は子供を理解しないまま大切にしているのは親のエゴだと言われたよ。ああ、確かにそうだ。国にいることもできたのに、ついて来てくれるのがどれだけソフィに負担をかけているのかを考えていなかったよ』


 パパは悲しそうな顔をしていた。


『彼からの伝言だ。嘘を吐いてごめんなさい。可愛い女の子をないがしろにするパパが気にくわなかっただって、本当に彼は何者なんだろうね』


 わたしにもわからない。


『少しの間忙しくなるけど母国に帰れるようにしよう。そしてしばらくはゆっくりしようか』


 でも彼は私とパパを繋げてくれた。


『ううん、わたしも頑張ってみる』

『ソフィ・・・』


 少しだけこの国、日本が好きになった。頑張って日本語を覚えよう。そうしたら・・・


『日本語を覚えたらお願いがあるのパパ』


 わたしを救ってくれたヒーローに会いに行こう。




ーーーーーーー

金髪碧眼ヒロイン登場!

正統派黒髪ヒロインは勝てるのか!


現時点では勝てそうにないな~。

主人公はそんなことを知らずに変なところを爆走中。


たぶん高校生ぐらいで知らない間にハーレム形成されてて逃げ場が無くなる。

そっち書くのもいいな~。

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