第8話若い健康な身体って中年には億積んでも欲しいものなのですよ



「フハハハハハ、動く動くぞっー!」


 夏休みの勉強会は午前中の涼しい時間で終了にしている。子供の集中力なんてそう持ちはしないのだから短時間でいいのだ。(ぶっちゃけるとそれ以上だと俺のやる気が無くなる)


 現在昼前の十一時、勉強の会の報酬の一つとして使用許可をもらった体育館にいる。

 使用後の清掃はしなければならないが夏の日差しの中で活動するよりかは大分マシだろう。


 軽くストレッチこの時代では柔軟体操か?をして若い頃にお遊び程度でしていたバスケットをしてみたのだが。


 体が動く!

 未来で年相応の腕力あるがズレる動き、100Mどころか50Mで息切れする豊満ボディだったのが、今はピチピチ(おっさん語だな)の小学一年の身体。

 動きにキレがあり、体重が軽くて跳躍も羽の様に軽い!

 普通の子供より体の動かし方を知っているおかげか思考に身体能力が付いてくる。前の私の頃の同級生で運動神経が良いと言われていた子達はこんな感覚で動いていたのだろうか。

 そしてタイムリープしてから持久力を鍛えるために毎朝走っているおかげですぐに疲労しない!


「たか君つまんないよー」


 おっと見学していた天宮が飽きてきたようだ。


 夏休み期間中だが一人での登下校は禁止されたので一緒に下校することになる天宮は俺の身体能力向上運動が終わるまで待つこととなった。

他の女子の友達と帰っていいと勧めたのだが俺が一人で下校することになると拒否された。友達想いの良い子だ。


 出していた道具やマットを直し(天宮も手伝ってくれた。なんていい子なのだろう)モップ掛けをして体育館の後片付けは終了。


「お、ちょうど昼になったな」


 12時を知らせるチャイムがなった。


「たか君お昼だよ!ご飯食べよう!」

「そうだね。お弁当は香山先生に預かってもらっているから職員室に取りに行こうか」

「と思ったから先に持ってきました」


 天宮と話しながら体育館を出ると担任の香山先生が校舎に向かう渡り廊下の先で預けていたお弁当を持ってこちらに声をかけてきた。反対の手には自分のお弁当可愛らしい袋を下げている。


「わざわざありがとうございます香山先生。そこで食べようと思っているのですが一緒にどうですか」


 香山先生に声をかけられると天宮は俺の後ろに隠れる。まだまだ小学一年生、急に恥ずかしくなったりするのだろう。そして一応大人の精神の俺にはそんな羞恥心はない。

 

 香山先生が俺たちのお弁当を持ってきたのは体育館の使用後の確認のついでであろう。そして一緒に自分のお弁当を持ってきたのは俺たちと交流をしたいのだと思う。


「いいかな京ちゃん?」


 香山先生の問いに天宮が頷く。

 あれー?俺が誘ったよな。どうして天宮に同意を求めるんだ。あ、俺はすでに許可しているものだから恥ずかしい天宮にも許可を得ないと考えたのか。やるな香山先生。


 俺たちは体育館と校舎を結ぶ渡り廊下からそのまま出れる中庭に歩いていく。

 田舎の小学校なので東屋みたいなものはないが用務員さんが丁寧に管理してくれているおかげで芝生は綺麗な中庭である。


 ほどよく日陰になっている場所に腰を下ろし、弁当を広げる。


「あれ?京ちゃんの分のお弁当は?」

「それは僕が一緒に作ってきました。わがままで帰るのが遅くなる京ちゃんへのお礼ですね」

「は?」

「?」


 なぜか停止した香山先生をそのままにお弁当を広げていく。残念ながら家に弁当箱が父専用しかなかったので重箱で持ってくることになった。子供用に小さめのおにぎりで中はツナマヨ、おかか、ワカメを混ぜたもの。唐揚げは女の子にはちょっととかんがえたのでこれも小さめに作ったナゲット、ポテサラを。

 いくら未来の私の経験があっても小さい女の子の好きそうな料理の手札はそんなにもっていなかった。茶色の弁当(肉肉肉)なら考えなくても出来るんだが・・・。


 お弁当の出来に納得はしていないが天宮は美味しそうに食べているので成功としておこう。なぜかおすそ分けした香山先生が負けた・・・と呟いているが武士の情けで聞いてないふりをしてあげよう。


 俺は重箱の半分に入れた自分専用の品を食べる。


「あの気になっているんだけど重箱の半分がお婆ちゃんが作ったみたいになっているのはどうして?」

「それは自分専用です」

「自分専用?」

「ええいくら体を運動で鍛えるとしてもまだまだ小学一年生です。無理に筋肉を付けると成長の阻害になります。なので今は軽めの運動で成長にいい食品を食べていこうと思ったらこうなりました」


 香山先生が見ていた重箱の半分にはおにぎり(梅干し)イワシのつみれハンバーグ、大豆と昆布の煮物、切り干し大根とゴママヨサラダとものの見事に茶色のお弁当なのだが栄養素としてはまあまあだと思う。


 それらを食べてお婆ちゃんの味だと呟く香山先生にそれも自作ですと伝えるとかなり落ち込まれた。

 味にバラつきがあっていまいちだと思うのは秘密にしよう。


 なんだか悪い気分がしたので発泡スチロールに氷を詰めて持ってきた自家製アイスクリーム進呈しよう。きな粉をかけて食べると美味しいですよ。

 天宮は食べ過ぎないに、あなたのお母さんから太らせないようにと注意を受けたのです。


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よければポイントを入れてもらえるとやる気が非常に出て続きが馬車馬のように書けます。

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