最高の彼女

 「いや〜同僚の君と飲むのも久しぶりだね!元気にしてた?僕はまぁ、ボチボチ。でもね最近、いいことがあったんだ!

 驚かないで聞いてくれよ?……恋人ができたのさ!しかも、もう最っ高の!まさか、冴えない僕に春が来るなんて、思ってもみなかったろう?できちゃったんだなぁこれが!もー、幸せすぎてたまらないよ!そうだ!せっかくだから彼女の良いところを教えてあげるよ!……イヤそうな顔するなよ〜代わりに今日、奢ってやるからさぁ!……それならいい?わーい、ありがと!


 で、まず何より素晴らしいのは彼女の性格!古き良き日本人というか、男を立てるタイプで、俺が必要としている時は側にいてそれ以外の時は出てこないんだ。それが奥ゆかしくて、なにより可愛らしい!

 次にファッション。女性を見た目で評価するのかと言われるかもしれないけど、そうじゃない。僕はどんな服を着ている彼女も好きだ!けど彼女は僕の好みを知り尽くしていて、『今日はこんな服着てくれないかな〜』って漠然と考えていると、彼女はその服を着てくれる。まさに以心伝心ってやつだよね!もしかしてテレパシー!?

 そのくらいに僕たちはいつもラブラブで、この間、雨が降っていた時も一緒の傘で帰ってきたし、お出かけしてもずっと一緒!お風呂でもベッドでも、そしてトイレでも……って、ちょっと恥ずかしい話しちゃった。わ、忘れて忘れて!

 とにかく!僕と彼女は深く愛し合っている!こんな最高の彼女と出会えて僕は幸せ者だよ!

 ……え?どこで知り合ったかって?職場だよ?それが何か?……へ?君が知ってる人かって?うん!知ってる人だよ!

 ……写真見たいの?もー、しょうがないな〜!でも恥ずかしいから、みんなには言いふらさないでね!はい、この人だよ!」


 ──そう言って友人は、鏡に映った女装姿の自分を見せてきたのだった。

 コイツはもう、ダメかもしれない……。

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