『魔王』と呼ばれた『元勇者』~役立たずと追放された元勇者は、魔王や聖女達と共に隠居生活を満喫しながら正体隠して悪を裁く~

月下文庫(ゲッカブンコ)

第2部 『元勇者』と『元魔王』の隠居生活

8章 『魔王』の跡取り問題

◇ここまでのあらすじ・キャラクター紹介

 かつて、大陸を制圧する程の力を持っていると言われた最強の『魔王』。

 その『魔王』の娘であり、第二の『魔王』であったセリィは人間によってすでに敗北してしまっていた。


 その相手の名前は『勇者』アイド。

 ただひたすらに強さを求め続けた彼は、人を超え、魔族を超え―やがて、ドラゴンすらも討伐出来てしまう程の力を身に付けてしまった。


 そうして、セリィに勝利したアイドは敗北した『魔王軍』からの強い要望で『魔王』の肩書きを持つ事になり、『元勇者』兼『魔王』として『魔王軍』を率いる事になってしまう。


 しかし、人類はその事実を知らず、今もなお各地で『勇者』を選出し続けていた。

 だが、それはあくまでも『偽物』であり、『本物』はアイドただ一人だ。


 そして、アイドは『魔王』であるセリィが生きているという事実を隠す為、かつて『偽物勇者』マグと共に『勇者』パーティの中に紛れ、正体を隠して潜んでいた。


 そんな中、「アイドの働きに満足がいかない」という名目でマグに追放されてしまうが、実際には同じ『勇者』パーティに居る女性陣が全員アイドに好意を持っていながら、自分には向けられないと嫉妬しての腹いせだった。


 理不尽なマグの要求にも仕方なく従うアイドだったが、アイドは自分が本物の『勇者』である事を明かした上で『聖女』メルト、『剣士』ルク、『弓使い』セヴィリア、『魔導士』マティをマグから引き離し、共に田舎で暮らす事を考える。


 マグがずっと自分のパーティだと思い込んでいた仲間達は、全て本物の『勇者』であるアイドの仲間だったのだ。


 田舎への移住の為、居住先に定めていた村で暴れ回っていたドラゴンを圧倒的な力の前に仲間へ引き入れる事にも成功し、ようやく田舎暮らしを始められると思っていた矢先、自分を本物の『勇者』だと思い込んでいた元仲間であるマグは雇った盗賊達と共に移住先にしようと考えていた村を焼き払おうと行動を起こしたのだ。


 すぐにアイドが対応したおかげで村の住人を避難させる事に成功するも、マグの非道極まりない行動にアイドは激昂。『魔王』としての力を振るい、『魔王軍』の将軍達を率いて盗賊達を全員根絶やしにし、その魂を回収していった。


 魂の回収―それが『死神』との契約だった。

 当時、『魔王』だったセリィはアイドに敗北した後に自ら命を絶ち、『冥界』へとその身を堕としたかけたものの、アイドはそれに納得が行かず、生身で『冥界』へと向かいセリィを救出していた。


 そこで『死神』との激闘の末、『冥界』で死ぬ事の無い『死神』だったが、アイドを認め、セリィの魂の代わりに膨大な数の魂を要求してきたのだ。


 そして、アイドはかつてマグが利用していた『盗賊』のイービを始め、村を燃やそうとしていた盗賊達の魂を捧げ、最後に『偽物勇者』でありながら人を殺して楽しむ無神経な元仲間マグを『冥界』に送り付け、平和が訪れた。


 村の村長を説得して居住を認めてもらい、ようやく『第二の魔王城』としての田舎生活が始まったのだった―。



◇キャラクター紹介

■『勇者パーティ』

名前:アイド

年齢:17歳~20歳くらい

性別:男

髪型:黒髪の短髪

一人称:俺


主人公。

『元勇者』であり、かつて『魔王』だったセリィを倒した後、『魔王軍』側からの強い要望によって『魔王』となる。セリィの父が『第一魔王』、セリィが『第二魔王』である事から『第三魔王』として扱われている。

また、セリィが自害した際に『冥界』から魂を救出。その際に『冥界』の神である『死神』と対立することになり、激闘の末に『死神』と契約。

契約の内容は「『魔王』に等しい量の魂を『冥界』へ送る事」。

かなり膨大な量だが、期間を設けられていない為、罪人などの悪人の魂を気長に送り付けている。



名前:セリィ

年齢:見た目は12歳くらい

性別:女

髪型:銀色の長髪

一人称:我


かつては『第二の魔王』として畏怖されていたが、アイドに敗北後は『元魔王』として、『魔王軍』を束ねる将軍の長を務める。

影を操る力に長けており、普段はアイドの影に隠れている。

外見は幼いが、実年齢は語りたがらない。



名前:メルト

年齢:15~16歳くらい

性別:女

髪型:金髪の長髪

一人称:私


『勇者』パーティでアイドと共に行動していた『聖女』。

教会で生まれ育ち、そこで受けた教育方針に基づいている為、かなりの堅物。

『偽物勇者』だったマグから好意を向けられ、辟易していた。

アイドに対して憎まれ口を叩くが、実際には信頼を向けている。



名前:ルク

年齢:17~18歳くらい

性別:女

髪型:赤い髪のポニーテール

一人称:私


『勇者』パーティでアイドと共に行動していた『剣士』。

感情的で少し子供のようなところがある。

表向きには『偽物勇者』だったマグが女好きであった為、セヴィリアと共にパーティに入れられたという事になっているが、実際にはアイドがその腕を見初めてマグに許可させるように仕向けた。



名前:マティ

年齢:14歳

性別:女

髪型:茶色のセミロング、黒く大きい帽子を被っている

一人称:私


『勇者』パーティでアイドと共に行動していた『魔導士』。

『勇者』パーティではアイドと同じくらい『魔導士』だったが、アイドがその実力を見込んで育てていた。セリィよりも少し背が高い。



名前:セヴィリア

年齢:20~22歳くらい

性別:女

髪型:金髪で肩より少し長め

一人称:私


『勇者』パーティでアイドと共に行動していた『弓使い』。

ルクとは幼い頃から一緒に育っており、いわゆる幼馴染。

普段は常識人だが、悪ノリするきらいがありアイドも翻弄される事がある。

ルクとは幼い頃から一緒に居るものの、生まれが不明。



■『魔王軍』

・第二の将

名前:ルディン

髪型:白い長髪、後ろで髪を留めている

性別:女

年齢:18歳くらい

一人称:私


男装の麗人。

『聖女』が嫌い。

理由は『勇者』であるアイドと共に居る存在だから。

ただの嫉妬。それだけ。



・第六の将

名前:レファー

年齢:見た目は13歳くらい

性別:女

髪型:銀色の長髪

一人称:私


別名『夜の女王』。

吸血鬼の国の女王であり、セリィの姉。

セリィの父であった先代の『魔王』と『吸血鬼』の女王だった母から生まれた。

趣味は妹であるセリィをからかうこと。

コウモリを召喚して戦う。



・第七の将

名前:メリィス

年齢:見た目は20代後半くらい

性別:女

髪型:紫色の長髪


獣の耳を持った妖艶な女性。

人よりも長く生きている為、見た目以上に年齢は上。

アイドのカリスマと実力に惚れこみ、アイドを『魔王』として認めている。



・第八の将

名前:ムエイ

年齢:60歳くらい

性別:男

髪型:白髪


巨大な大剣を振りかざす。

誰にでも丁寧で、先代の『魔王』から『魔王軍』に務めている。

同じく『魔王軍』の将軍、第九の将であるケクルは孫。



・クディア


村の近くにあった山を根城にしていた6枚の羽を持つ黒竜。

人間側からの裏切りにより、山に立ち入った者を焼き払う事から『邪竜』と呼ばれ恐れられていたが、アイドの説得により再び人と寄り添う事を決意。

アイドを友として慕う。

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