勘違いから始まる恋人関係♀×♀

たるたるたーる

プロローグ

私の名前は夢森叶〈ゆめもり かなえ〉。


女子校に通う高校2年生。


特にこれといって特徴がない普通の女の子。


趣味は恋愛関係のイメージトレーニング。


そんな私は今日も来るべき日に備えて、放課後の屋上でイメージトレーニングをしていた。


え?その来るべき日はいつ来るのかって?


…。


……。


そんなの私が聞きたいよ!!!


今の今までそんな相手なんていなかったんだから!


でも、いつか来るかも知れないじゃん!


だから、今日もいざその日を迎えて失敗しない為にトレーニングをするの!!!


…っと。


なに一人で熱くなってるんだろ。


冷静にならないと。


まずは深呼吸をして気持ちを落ち着ける。


それから、周りに人がいないことを確認して…。


うん。今日も誰もいない。


さてそれじゃあ、いつも通りイメージトレーニングを始めよ。


今日は告白の練習。


まずは目を閉じて相手の子をイメージする。


声に出して、頭の中に。


相手は一個下の後輩の女の子。


髪は黒髪のツインテール。


少し幼い感じの顔立ち。


身長は私より少し低めで。


性格は明るく、人懐っこいクラスでも人気者。


うん。


私の理想を詰め込んだ女の子が目の前にイメージ出来てきた。


さて、次はいよいよ告白をする。


ただこれが難しくて。


どうしたら相手にOKしてもらえるか恋愛経験が一切ない私には難題だった。


うーん。どうしようかな。


と、散々悩んだ挙句。


やっぱり気持ちはストレートに伝えるのが一番だよねと思うと早速実行することにした。


「ずっとあなたのことが好きでした。私と付き合ってください!」


そう言葉にして右手をイメージした女の子へと向ける。


あとは嬉しそうにOKしてくれる女の子をイメージするだけ。


…だったのだけど。


「はい!これからよろしくお願いしますね先輩!」


私のイメージではなく、突然前方から聞こえてきたかわいい声に驚き私は閉じていた目を開ける。


そこには私がイメージしていた通りの見た目の女の子が立っていて。


…は?


私の思考が停止する。


「えへへ〜。嬉しいなぁ。まさか告白されるなんて思わなかったですよ〜。」


と、本当に嬉しそうにしている女の子。


尚も思考が停止している私。


そんな私に女の子は心配そうに近づきソッと顔に触れると「どうかしたんですか…?」と尋ねる。


女の子の柔らかい手の感触と見上げるかわいい顔が停止していた私の思考を戻すと、今度は女の子が近すぎて思わずドキッとしてしまう。


「あれ?顔が赤いですけど本当に大丈夫ですか…?」とさらに心配そうにしている女の子。


「へ…。あ、う、うん。だ、大丈夫だよ。」と戸惑いながら返事をする。


すると、女の子が「よかったです〜。」と安心すると嬉しそうに私に抱きつく。


またドキッとしてしまう私だったのだけど、今は確かめないといけないことがある。


それはこの子が私のイメージではなく本物の女の子なのかを。


ただ、その為には触れないといけないんだけど両腕ごと抱きしめられていたので抱き返す形で女の子の背中へと腕を回す。


うん。触れる。


それにさっきから思っていたけどすごくいい匂いもしていて。


もう本当の女の子なのだと確信するしかなかった。


そして、同じく気づいてしまう。


私この子に告白したことになっていることを。


そのことに気づくと慌てて手を離すと、女の子も同じく離してくれる。


「えへへ〜。先輩と抱きしめ合っちゃいました。」と照れている様子の女の子。


「あ、あのね!さっきの告白のことなんだけど!」と告白は勘違いで女の子にした訳じゃないと訂正しようと思ったのだけど。


今から嬉しそうにしているこの子を傷つけてしまうのかと考えると言葉に詰まってしまう私。


すると「先輩!告白すごい嬉しかったです!」と言われ、さらに言い出せなくなってしまう私。


どうしたらいいか悩んでいると「あ、そうだ!連絡先交換しましょ!」と提案する女の子。


突然の提案に「…へ?れ、連絡先?」と動揺する私。


「だめ…ですか…?」と悲しそうな顔をする女の子に断れるはずもなく連絡先を交換すると、初めて女の子の名前が寺舞佳純〈てらまい かすみ〉だと知る。


その後、寺舞さんと一緒に途中まで帰ることになり。


分かれ道に差し掛かると「先輩!改めてこれからよろしくお願いしますね!」と笑顔で両手を握られ「う、うん。よろしくね。」と返事をしてしまう私。


こうして、最後まで言い出せなかった私は彼女との勘違いから始まる恋人関係を送ることとなった。




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