第6話

 リコプスの町に入り冒険者ギルドに向かう為に兵士のスコットに聞いた通りに広場に向かって歩きながら町の様子を見る。町の通路は地面が見えず石畳で作られ大通りにある建物は石製や木製の建物が並ぶなか広場の方は賑わっていた


 町の中には人間以外にも耳が獣の人がいた。それを獣人に会うとチラチラと見てしまう


 (ナビゲーションあれって獣人だよな)


 『はい、そうですよ。ハルトが気づいていなかったですけどエルフやドワーフもいました』


 (本当!見てみたかったな!)


 『その内会えますよ。旅をしていけばそれぞれの国にも立ち寄ることもありますから』


 (そっか。それにしてもいい匂いするな)


 遠目から見ると屋台がかなりある様だ。食欲が湧く様な肉が焼けている匂いも広場に近づいてくるとしてくる


 (ナビゲーション今って時間的に何時くらいなんだ)


 『もう四の鐘が鳴って経った頃ですからね午後三時は過ぎた頃ですね』


 (四の鐘ってなんだ?)


 『毎日時間になると教会の鐘が鳴るんです。それが午前六時に一の鐘、午前九時に二の鐘、正午に三の鐘、午後三時に四の鐘、午後六時に五の鐘、午後九時に六の鐘とこの時間に鐘が鳴るのでラフルトでは鐘の音に合わせて行動する人が多いです』


 (もっと時間がわかる様に時計とかないのか?)


 『ありますけど一般的には時計はないですね。高級品なので貴族やお金がある商会や上位の冒険者くらいしか持ってないでしょうね』


 (そっか時計が高級品なのか。まあ高いイメージがあるしな。それで少し小腹が空いてきたし食べてから冒険者ギルドに向かおうと思うけどどうかな)


 『冒険者ギルドに行ってからでもいいんじゃないですか。ギルドに登録しても時間的に依頼を達成できるかもわかりませんし登録したらすぐに宿屋で泊まる手続きをしないと部屋がなくなる可能性もあります。ですから今日は明日からの冒険者をやるのに必要な道具を買ったりするのに使ってその時に屋台で買えばいいんじゃないですか』


 (そうか。うーん……ならそうするか。じゃあ冒険者ギルドに行こう)


 広場の串焼きを少しの間我慢して冒険者ギルドに向かう。冒険者ギルドのある通りに向かうと途中に熊の形の大熊亭の看板が立てかけているのが見えた


 (看板ってぬいぐるみの熊の形なんだな)


 『そうみたいですね。冒険者ギルドの登録の前に宿の泊まる手続きでもしますか?』


 (宿取れなくなると困るし先にしようか)


 大熊亭に近づくとその熊の看板には今日の夕食のメニューの様な物があった。


 (今日のメニューはウサギのシチューみたいだな。それにしても結構凝っているなこの看板。カード状にした木の板に一文字ずつ文字を書いて木の溝に入れるなんて)


 『そうですね。ウサギのシチューはどんな味がするんでしょうかね』


 (ん、もしかして俺が食べた物の味がわかるのか?)


 『はい、わかますよ。ハルトの感覚を感じ取れますから』


 (そうなんだ。じゃあ楽しみだなシチュー)


 『ええ、屋台の串焼きも楽しみですから早く泊まる手続きをして冒険者ギルドに登録に行きましょう』


 (そうだな)


 大熊亭のドアを開け中に入ると受け付けに向かう。受け付けには背の低い獣の耳が付いている少女がいた


 「いらしゃいませー!まだ夕ごはんはできてません。五の鐘が鳴る頃に来てください!」


 「この宿に泊まりたいんだけど部屋は空いてる?」


 「泊まるお客さんだったんですね!お母さーん泊まる人来たよー!お母さんくるまで待っててね!」


 このくらいから仕事してるんだな。俺がこのくらい頃は遊んでばっかだったけどなと思い出しているとこの子の母親がやってきた。子どもと一緒の耳をチラッと見ていると


 「遅れてすみません。泊まりですね。一泊銀貨三枚ですけど何日泊まりますか?」


 「二日お願いします」


 「ではこちらに貴方の名前をお願いします」


 渡された名簿表に名前を書き収納袋から六枚の銀貨を出して母親に手渡す。すると棚にかけていた部屋の鍵を取り渡された


 「これは2-3の部屋です。朝食は一の鐘から二の鐘の間夕食は五の鐘から六の鐘の間ですからその間までに食べにきてください。お手洗いは一階にあります。出かける時には部屋の鍵は預かりますので部屋には貴重品は置かず持ち歩いてください。責任は取れませんのでサーヤお客さんを案内して」


 「はーい!お客さんこっちだよ!」


 サーヤと呼ばれた子どもについて二階に上がって行く。二階は六部屋ある様だ。二階の奥にある部屋に案内された


 「この部屋だよ!鍵開けて入って!」


 鍵を開けて部屋に入ると部屋の中はベットとテーブル、イス、クローゼットがありテーブルの上にはコップと水差しがある部屋だった


 「お客さん飲み水が欲しい時はは下に降りてきて水差しに水を入れるからね!。身体を洗う時は桶に入れる水はただだけどお湯は銅貨一枚だよ!」


 「そっかありがとう。案内してくれて」


 「うん!お兄ちゃんは冒険者なの?」


 「これから冒険者になりに行く所だよ」


 「そうなんだ!でもお金大丈夫なの?」


 「あーうん。大丈夫だよ。これから冒険者ギルドに行くから君に鍵を渡せばいいのかな?」


 「うん!わたしでも大丈夫だよ!それとわたしの名前はサーヤだよ!」


 「俺はハルトだよ。よろしくね」


 サーヤに鍵を渡して部屋から出て二人で一階に降りる。一階にはサーヤの母親はいない様だ


 「サーヤちゃんじゃあ行ってくるね」


 「ハルトお兄ちゃん行ってらっしゃーい!」


 サーヤに手を振られながら大熊亭を出る


 『元気な子どもでしたね。ハルトはあれくらいの歳の子が好みなのです?』


 (いや、元気な子だなと思って相手をしていただけだから普通に大人な人がいいよ。それよりラフルトにはあのくらいの子どもが通う学校とかないの?)


 焦りながらナビゲーションに答える


 『そうなんですね。安心しました。それで学校はありますよ。このリコプスにもでも午前中には終わったんだと思いますよ。あの子の歳で通うなら文字や計算くらいですからね。冒険者学校や魔法学校は大きい都市ならありますし貴族学院などは王都にありますからね』


 (そっかあるんだ。それにしてもサーヤやサーヤの母親はなんの獣人なんだ?)


 『熊の獣人ですよ』


 (だから大熊亭なのかもな)


 大熊亭からそこそこ歩き門の近くに行くとかなり大きな建物があった


 (かなりデカいな冒険者ギルド)


 『モンスターの解体場や保管する倉庫もあるでしょうから大きいのでしょうね』


 冒険者ギルドのドアを開けて入るギルドの受け付けは五人の女性ギルド職員の受付嬢がいた。見た限りその五人は美人なのがわかった。その中で一人二人ほどは並んでいる冒険者がいる様だったけど一人だけ並んでいない目つきが鋭い女性の所に行くことにした


 「冒険者ギルドにようこそ。ギルドの登録でしようか?」


 「はい、ギルドの登録です」


 ギルド登録だとなんでわかったんだ?と思いながら返事をする


 「私はセシリアといいます。これから冒険者ギルドの登録の説明をします。登録するには銀貨1枚とこの書類に名前、年齢、特技を書いてください。字が書けないなら代筆もできますよ」


 収納袋から銀貨を取り出しカウンターに置く


 「銀貨1枚ですね。これが書類です」


 「書けますから大丈夫です」


 世界樹の棒を立てかけ渡された紙に名前にハルト、年齢15、特技の所で書くのを一旦やめてナビゲーションに聞くことにした


 (恩恵スキルとか書いたら不味いよな)


 『そうですね。恩恵スキルはかなり不味いですよ。他にも変化スキルの【アイテムボックス】も他の冒険者や犯罪者にも狙われる可能性がありますからね。それに書類には特技と書いてありますから棒術と書いておけばいあと思います』


 (そうか……棒術っとこれで全部書けたな)


 書類を受付の女性に渡しすと女性はその書類を持ち離れていった。それから少しして鎖の付いたカードを持ってきた


 「これが冒険者ギルドカードです」


 ギルドカードを手渡された。ひんやりとしたそれは白色の金属でできていた。渡された冒険者ギルドカードを見てみると

冒険者ギルドカード

名前ハルト ランクG

採取0 狩猟0 街内0 護衛0 討伐0 緊急0 未達成0

と書かれていた




 

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