第6話純子と祐の初デート(5)

突然手を握られた祐は、驚いた。

「偶然と思うけれど、同じ大学で同じ文学部だけで、これほど喜ぶものかな」

しかし、上京したばかりで、しかもお隣さん」なので、笑顔で「よろしくお願いします」と握り返す。


すると純子の顔が、ますます赤くなった。

「もっと祐君のことを知りたいなあ」とも言って来る。


祐は、「今日の目的は、僕が初めての街を知りたい、知るのが目的なのに」と思うけれど、それは「なかなか」言えない。

「そうですね、少しずつ」と無難に返すしか出来ない。


レストランを出て、一緒に歩き出しても、純子の顔は赤い。

「風邪とも聞いていないけれど」

「寒くもないよ」

「でも万が一もあるから」


純子の赤い顔が気になった祐は、純子に申し出た。

「美味しいお昼を食べて、街のことも、ゆっくり覚えます」

「ご案内ありがとうございました」

「それと、まだ部屋の片付けも残っていますので、戻ってもいいでしょうか?」


すると純子は、またにっこり。

「ああ・・・そうかもね」

「それなら、私が手伝ってもいい?」

「お話も、もっと出来るから」


祐は、「あ・・・はい・・・」と純子に押されているのみになっている。

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