ボロ家を通り過ぎた。


誰かが住んでいるのだろうか、獣道ができている。

しばらく歩くと水が流れる音がする。水!川か!


へとへとになった体に気合を入れなおして川にたどり着き、膝をついて両手で水をすくって一口。


「!!!」


生き返るっ!空を仰ぎ見て、その勢いのまま仰向けに倒れてしまった。


気を取り直して水だ!思う存分飲んでから、河原の石に腰かけて考えた。

魔女か……。もういいか。これだけさまよっても会えないんだ。魔女より明日の飯、今日の寝床だ。

棒を握りしめて泉からの流れに沿って歩き出す。


何日ぶりだろう、やっと寒村に戻ってこれた。村の入り口が見えた瞬間、安心感から泣きそうになった。


寒村で身支度を整え、俺は拠点にしている街に戻った。


だけどもう一度、あの森に行くことはないだろう。


― 終 ―


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