第36話 戦力誇示

 ルゥバーズ軍は劣勢で、国境をかなり押し込まれた状況になっていた。


 ルゥバーズの女王の指示により、軍隊は更に後方に迅速に撤退した。ベラントラル軍はルゥバーズ軍が退いた分ルゥバーズ領内に誘い込まれた。


 突然に上空に暗い雲が架かり、巨大な魔法陣が構成される。


 『インテグラル・サンダー・ストーム!』


 《ガドドドドドオオオォォン‼︎》


 ルフィアの雷属性の極大範囲魔法が攻め込んだベラントラル軍5千に叩きつけられる。


 周囲全てを焼き払った。生存者は無かった。


 国境付近に待機していたベラントラル軍1万も、状況が把握出来ておらず続いてルゥバーズに雪崩れ込んできたが、待っていたのは、巨大な土の壁であった。


 サーティアは土属性の大魔法構成を敷く。


 『アース・フォートレス!』


 敵軍を囲んで動きを封じ込めた。


 そこに、リシェルの広範囲風属性魔法が吹き荒れる。


 『エリア・トルネード・エッジ!』


 《ズゴオオオオォォォォッ》


 大勢の悲鳴が鳴り響く。無数の風の刃が、兵士達を切り裂いていく。土壁に囲まれた空間はもはや血の海と化していた。


 この攻撃によって、一万の大群は、5千の死者と4千の負傷者を出した。ベラントラル軍は撤退を余儀なくされたのだ。


 その頃、退却して来たルゥバーズ兵達の前には、銀白の髪を靡かせ、青い瞳を配るメルティアが現れる。


 身体に欠損を生じた重症者の傍を訪れ労う。


 「よく、頑張りましたね。今、治してあげますからね。」巨大な再生魔法を放つ。


『エリア・パーフェクト・リプロダクション!!』


 100数十人にも及ぶ四肢欠損者を一瞬で治してしまった。


 「うおおおおおおおおおっ」大歓声が巻き起こる。「聖女さまあああっ!!」


 この事をきっかけに、ベラントラルには恐怖を、ルゥバーズには絶対の忠誠を植え付けたのである。


 しばしの間、ルゥバーズの兵達と会話を交わすと、大歓声の中、城に戻っていった。

 

 この同盟により、後にルゥバーズとベラントラルの和平が成立したのである。


 特にメルティアは、ルゥバーズで大人気で、祭りなど催し物があると毎回呼ばれる関係になってしまった。


 ルゥバーズの人達は、とても人懐っこいのだ。


 メルティアもまた、このルゥバーズという国がお気に入りで、時折訪れては町に滞在する関係になっていった。






 勿論、メルティアは一人で訪れる訳ではなくシェスターとデートなのである。


 最近シェスターは、人前ではメルティアを姫として扱う様に注意している。一方では、二人きりの時は、大胆にして意地悪なのである。


 過去からずっと憧れてきた唯一無二の女性を、今は自由に出来るのだ。メルティアは、シェスターと二人きりの時は無口で、ただシェスターの動きに気を配り、むしろ怖がっている節すらあるのだ。


 メルティアとしては、何があってもシェスターに嫌われたくないのだ。とは言えシェスターを嫌っている訳ではなく、シェスターが次に自分に何をしてくるのか、してくれるのか期待してしまっている側面もあるのだ。


 最近メルティアは、かなりきわどい身体の線が丸ごと判るタイトドレスに、生地のしっかりした短めのコートを身に付ける事が多く、これはどうもシェスターの指示なのだ。

 

 メルティアは、まるで幼い幼児の様でもある一方で、形の良い張りのある胸や、細いウエストの割にメリハリのある腰つきがアンバランスでいつつ、色っぽいのだ。  

 

 シェスターは悪いのだ、二人きりの時は、そんなメルティアを傍で愛撫し、メルティアが我慢できず泣き出すまで嬲り続けるのだ。


 終いには、立って居られなくなったメルティアを抱き抱えて人前を歩いたり、中途半端に嬲ってから人前に戻って、隠し切れないほどのフェロモンを撒き散らして、恥じらっているメルティアを晒すのだ。


 そんなメルティアの泣き出しそうな、誰かに助けを求める様な潤んだ眼差しは、最高の表情を演出するのだ。


 その都度メルティアは、最高に美しく輝く事を、シェスターは知っているのだ。


 メルティア自身は、そんな行為を嫌がりながらも何処かで期待してしまっているのだ。






 「ねぇ、誰か来たら恥ずかしいよ・・・」シェスターは、メルティアのコートを脱がせるとまるで全裸の様なタイトドレスの上から、シェスターの右腕が胸を無造作に触れて行く。


 「シェス?ダメだってこんな所で・・・やっあぁ」唇を奪われる。


 左腕で強く抱擁されると、もうメルティアは、抵抗できない。左腕は、そのまま左太腿から秘部へ近づいて行く。


 ドレスの下は下着のみ身に付けているが、左手は下着が使い物にならなくなるまで刺激し嬲る。


 「あぁ、お願いもう許して・・・」


 メルティアほ、もう立って居られない状態である。


 「ねぇ、シェスって最近とっても意地悪・・・私そんなに悪いことした?」


 「なんでかなぁ、でもずっとこうしたいと思ってて、こうでもしないと僕だけの物にならない気がして・・・メルが僕の為に我慢してくれるのを見てると安心できるんだ。メルは、もう辞めちゃった方がいい?」


 「分かんない・・・私恥ずかしくって、私はこんなんじゃ無いって思うんだけど、何かシェスの好きにされている自分を愛おしく思っている自分もいるの。シェスになら嬲り殺されてもいいとすら思うんだ。」


 シェスの示す物は究極の独占欲である一方で、メルティアは好きな人の為に我慢をしている自分を愛おしくも思っていたのだ。究極の自己愛なのかもしれない。

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