来世は蝶になりたい少年の苦悩

@hositukiyo

第1話 来世は蝶になりたい理由(1)

 「来世は蝶になりたい」それが俺「香月拓」の一番の夢だ。

 俺は小学校六年の時からずっとそう思っていた。俺がこう思うようになったのにはもちろん訳がある。

 小学校六年の時に俺の友達がいじめにあった。多分理由はすぐキレることや、変わった行動が多いからだと思う。俺はこのとき友達とは何ら変わらず接していたが何故か俺のほうがいじめられることは無かった。 

 なぜなら俺はあまりコミュニケーションを取ることが得意ではない部類でいじめた側と話したことが無かったこととあまりにも俺の存在感が薄かったからだと思う。

いじめる側はその友達の事を無視したり、バイキン鬼ごっこという遊びをする、悪口を言うなどの行為を続けていた。

 事件が起きたのは、夏休みも近いのことだった。俺ではない誰かがいじめを告発したらしく、学級会が開かれた。その後、一人一人先生に呼ばれて、面談みたいなものが行われていた。俺はその友達と仲が良かったということで、詳しく色んなことを質問された。俺はこの時の面談で先生から言われた言葉を今でも憶えている。「なぜお前はいじめられなかった。」

 俺はその後その友達からも同じような言葉を掛けられた。

「どうして拓はいじめられずに僕がいじめられたのだろう」

この言葉はグサリと俺の心に突き刺さった。

 このいじめはしっかりと解決され、クラスの雰囲気は元に戻った。その友達は急に俺と話さなくなり、いじめていた側と急に仲良くなり、俺は孤立した。小耳に挟んだ話だが、友達は俺がいじめるように仕向けたと思いこんでおり、いじめていた側はそれを本当の話だといったらしい。先生はそれを知らなかったため、成績や印象にはなんの問題もなかった。こんな事になったが、もういじめていた側は観念したのか俺のことはいじめなかった。この時初めて心から人間関係が嫌いだと思った。こんなにもも脆く、クソなものだということを初めて知った。

 そんな俺が出会ったものは一匹の小さな小さなアゲハチョウだった。

 

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