第2話 ガチ恋勢の女と時間逆行

夏休みも半ばに差し迫った頃

俺たちは次の仕事があったのでロケバスに乗り込む


「おーい! 響〜行くぞ〜」

「ごめん! 忘れ物したから取りに戻るわ!」

「「何してんだよ〜」」


どこにでもあるこの会話が響とメンバーの最後の会話になった。

戻ってきた響に柵を乗り越えて入ってきた女が走ってくる。

「ああああああああぁぁぁ!!!」

SPが止めようとするが、恐ろしいほどのスピードで迫ってくる。 気が付くと響は刺されていた…

「……は?」

それは一瞬の出来事で、固まるメンバー達。


電撃が走るように放心状態から意識を取り戻したメンバーは急いで薫の元に駆け付ける。


「「響っ!」」


「っ……」


響の反応が無い、この時響は運が悪く重要な動脈を損傷してしまっていた、この時既に助かる見込みはなかった。


「響っ!! 薫返事してくれよ!」

「響! なぁ!」

「誰かっ! 救急車を!」

「うわぁぁあん、響ぅ!」


響は薄れる意識の中、最期にこんないい仲間をもてて良かったと、心からそう思った。

(次はゆっくりしたいなぁ)

そう願い目を閉じた。


その後逮捕された女はこう供述したと言う


「響くんが誰かに取られる前に私が……」


事件の半月前に響とアイドルの熱愛報道が出たのである

と言ってもこれはマスコミが出した嘘で自体は収束したのだが……

薫は救急車に運ばれ病院に搬送されたものの

大量の血を流しすぎたため助かる見込みはなかった


その日、世界一のアイドルが亡くなった……


このニュースは世界中で放送され、世界中が悲しみに包まれた。グループは解散、メンバー達はそれぞれの道を歩始めた……


「響……元気にしてるかな、天国でも」

「してるんじゃねぇの?」

「あいつの事だから向こうでもアイドルしてそうだな」

「「やってそ〜」」

メンバーたちは年に一度響の誕生日に集まり

こうして顔を合わせるのである




まどろみの中、響は……いや俺は目を覚ました、見渡すといかにも学生と言った部屋だ、

(これは俺の部屋?)

見覚えのある部屋に首を傾げる俺、すると奥から

「響〜、朝ごはん出来たわよー」

そう声が聞こえた……そう…声が聞こえたのである

急いで階段をおりるとそこには新聞を読みながら朝食をとる親父と俺の朝食の用意をする母の姿だった


「な、なんで母さんたちが……死んだはずじゃ?」

「何を言ってるんだ、響は…具合でも悪いのか?」

「あらあらどうしましょう? 」ふ


不思議そうに首を傾げる母と訝しげに見つめる親父


それを見た俺は自然と涙が溢れ出す……


「どうしたんだ? そんなに号泣して」

「どうしましょう、お父さん」


死んだはずの父さんたちが生きていることに

僕は心臓が潰れるほどの嬉しさが込み上げて

何も言えない。

両親に心配をかけたくなかったので

風邪ということにして休んだ、その間辺りを見渡す。

カレンダーを見ると、俺は驚きのあまり目を疑った。

そこには死んだ日から3年前のカレンダーだった。

そして日付は6月3日、両親が死ぬ日である……



追記 主人公の名前が響から薫に間違えておりました:( ;´꒳`;)ナゼダ

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