事件file4 大魔王ディアボロス殺人事件
大魔王ディアボロス殺人事件 ①
数年前の事。
とある少女は目の前のテレビに目を奪われた。
テレビの画面には、火花を散らし、敵を倒すヒーローの姿があった。
しかし、そのヒーローはその拳の一撃一撃に、怒りと共に、悲しみを乗せている様だった。
少女は憧れと共に哀愁を感じた。
そして彼女は思った。
ヒーローになりたいと。
時は流れ、現代。
東間は適当にテレビを流していると、とあるテレビ番組が映った。
それはヒーロー番組だった。
黒いスーツに緑の蛍光色の鎧をまとったヒーローと怪人と思われる敵と戦っている。
「なーんだこりゃ、今こうなってんのか」
東間がテレビの番組表を見て、なんの番組か確認する。
「『超電光グリッター』……俺の時とは違うなあ」
すると、碧が入店してくる。
何やら大きめのカバンを持っているが、どうやら逆で、彼女が小さいのでカバンが大きく見えるようだ。
「どうした、そんなバック持って」
「事件の資料に決まってるでしょ」
「殺人事件?」
「そう、なーんかのテレビ番組の事件らしくて、なんか変わった犯人だから特殊捜査課に回しとけって八尾さんが」
「八尾が?」
「そうだけど……呼び捨てやめなさいよ、一応上司なのよ」
「本人がOKなら良いっしょ」
「そうなんだ……」
すると、碧はテレビに映った超電光グリッターを見て、東間に軽蔑の視線を送る。
「あんた、まだそんなのを見てるの」
「ちげぇわ! 今偶然流れてただけで」
「あら、そう。東間も意外と男の子なんだ〜」
「だからちっげぇっての!」
「偶然にもこの事件も、その番組の奴なの〜来る?」
東間は1回コーヒーを飲む、
「……ちょっと気になるから行く」
「わかった。それじゃあ私が資料整理したら現場行くわよ」
「あいよ」
そんな会話の中、北崎はノリノリでモンブランを作っている。
どうやら最後にのせる栗の配置に凝っているらしく、なかなか定まらない。
「……ここを……こう、よし! 出来た」
「北崎はモンブランかよ、まったく、この喫茶店には閑古鳥が鳴いてるねぇ」
「鳴いて結構、むしろなにか刺激があった方が良いからね」
「何もねぇから鳴いてんだろ」
「それはとにかく、例の事件。碧ちゃんと2人で出来る?」
「あ、まぁ出来るけど」
北崎はモンブランを東間に差し出すと同時に耳打ちで話しかける。
「碧のこと、気になってるんじゃない?」
東間は顔を赤らめ、コーヒーを吹き出した。
「ちょっと耳元で言うなそんなこと」
「東間大丈夫?! コーヒー吹き出してどうしたのよ」
「大丈夫だ碧! これは北崎と俺の話だ!」
東間はそそくさと吹き出したコーヒーを吹いて、話を再開する。
「……なんか悪ぃかよ俺も17なんだぞ。少しは青春をさせてくれ青春を。高校行ってねぇんだからよ」
「ふーん、東間君の好みの女の子は、合法ロリと」
「合法ロリな訳ねぇだろ!」
「東間もしかしてロリコンなの!?」
「碧あんたは仕事に集中しろこの合法脳筋女子中学生!」
「何が合法よ!」
「まぁまぁ2人とも。落ち着いて」
その後、東間は拗ねながらもモンブランを食べ、碧は北崎の作ったカツサンドを食べながら資料を整理した。
その後、2人は現場である日向第3スタジオへ向かった。
どうやらスタジオ内で殺人が起きたらしく、スタジオの入口を鑑識や刑事が行き来している。
2人は中に入ると、そこには、グリーンバックのスタジオセットに染まる赤い血飛沫の中倒れる男の遺体があった。
そしてその遺体を八尾が確認していた。
八尾は2人に気づくとすぐに駆け寄った。
「ああ、2人か。もうすっかり仲良しだな」
「「そんなことありません!」」
2人は顔を赤らめて反論し、八尾は余計お似合いだと感じた。
「まぁそんなことはさておき、殺害されたのは
東間は遺体に近づいて様子を見る。
「ただの斬殺死体……って感じか。特に殺害方法に不可解な点は無い……」
「ああ、死体に異常はない、鋭利な剣でズバッと袈裟斬りにされている。それ自体にはな。監視カメラにも、犯人が映ってるからな」
「え? んじゃ俺らいらねぇじゃん」
「それが犯人が変なんだよ」
「犯人が変?」
八尾は部下からタブレットを借りた。
タブレットの画面には監視カメラの映像が映し出されていた。
「これが、昨夜の映像だよ」
そこには、プロデューサーが1人でスタジオに居る姿が見えた。
そして数分後まで飛ばすと、とある怪人がプロデューサーに襲いかかった。
プロデューサーは一撃を避けるが、再び来る追撃を避けきれず肩を切られる。
あまりの痛みにその場に悶え苦しみ、その隙に怪人はプロデューサーを袈裟斬りにした。
その映像は痛々しく、東間は途中から見るのを躊躇った。
「……ったくスプラッタービデオなんて見たくねぇな……ってか碧は平気なのか」
「刑事やってれば慣れるわよ」
「へぇ。んで、犯人がこんな魔王みたいな格好をしてるから、分からないと?」
「まぁな、確か第5スタジオに似たようなスーツがあるって聞いたような……」
その時、後ろからとある女の声が聞こえた。
「大魔王ディアボロス」
「「「……ん?」」」
3人は後ろを振り向くと、そこには女が腕を組んで仁王立ちしていた。
膝上ほどのスカートにスニーカー、上はワイシャツにリボンをつけ、ストレートロングの女で、何より目立つのは腰に巻いたベルトだった。
何しろ、普通の皮のベルトでは無く、子供がつけるような変身ベルトだからだ。
「……えっと、どなた?」
東間が聞くと、彼女は構えをとる。
「
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