大阪駅へ

 朝を迎える頃には敵機も去り、真っ黒い雨が降り出しました。

 雨の中市役所を出て、焼け野原となった街の中を傘もなく濡れながら、着の身着のままでとりあえず大阪駅を目指して歩いて行きました。

 電話は不通。情報もない。ただひたすら自分たちで行動するしかない状況でした。

 当時母は臨月で、この10日あとに妹を出産するのですが、その時は3歳の下の娘を背負っていました。また父親は5歳の下の息子を背負っていました。そして私は兄としっかりと手を繋いで、父と母に付いて歩きました。

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