第40話

「絵美里」

「「誕生日、おめでとう!!」」

「ありがとう!!」


 笑顔の花を咲かせて、嬉しそうに微笑む絵美里。


 冴姫さんの誕生日に続いて、絵美里の誕生日もすぐに来た。


 小さい頃から絵美里の事は祝っていたので、絵美里がどんなものが好きで何を作ってあげれば喜んでくれるのかを知っていたから良かった。


「これ、全部私が好きなものじゃん。流石、晴夏」

「絵美里のことは大体何でも知ってるよ」

「んふふ、私も晴夏の事なら何でも知ってるもん」


 いつもより三割り増しくらいに嬉しそうに微笑んでくれるのでこちらまで嬉しくなってしまう。


「私も、いつかは晴夏君の事を全部知り尽くしてあげるますからね」

「わ、分かりました」


 僕と絵美里が楽し気に会話しているのに嫉妬したのか、可愛く頬を膨らませてそんなことを言ってくれる冴姫さん。


 エッチをしてからさらに可愛さと綺麗さが上がった冴姫さんはもう無敵状態だ。


 一つ一つの仕草が可愛く見える。


「じゃあ、せっかく晴夏がわたしのために作ってくれたんだし、冷めないうちに食べたい!!」

「そうだね、いただきます」

「いただきます」


 絵美里がぼくの作った料理を食べる度に幸せそうな顔をして美味しいと僕に言ってくれるので、作ってよかったと心から思える。


 昔からこうして絵美里に何かをしてあげると必ず嬉しそうにしてくれるから何でもしてあげたくなっちゃうんだよな。甘え上手というかなんというか。


 三人で談笑しながら食べていくとあっという間に、お皿は空になっていきデザートのケーキも食べ終えたころ、お待ちかねのプレゼントタイムだ。


「これ、僕から絵美里に。ここの家に前から結構来てたけれど、絵美里専用のマグカップとかなかったなって思って」

「え!?いいの?そんなことしたら、私ずっとここに居ちゃうよ?」

「いいよ、でも、絵美里のお母さんたちが心配にならない程度にしようね?」

「それは大丈夫!!だって、パパとママに私、晴夏と結婚するって言ってるし、良いよって言われてるからどんだけ晴夏の家に泊っても大丈夫なの」

「え?そ、そうなの?」

「うん」


 絵美里のお母さんとお父さんとは何度もあったことがあるけれど、次に会うときは緊張するな。


 反対はされていないみたいだし、良かった。もし反対されていても、絵美里とは結婚したいって思っていたけれど。


「パパとママが凄く晴夏の事信頼してたよ?」

「それはありがたいな」

「私の面倒をよく見てくれていて、私が結婚するなら晴夏しかいないねって言ってたし、ママからは絶対に逃がしちゃダメだよって言われてたもん」


 いつの間にか絵美里の両親から絶大な信頼を得ていたみたいだ。


「晴夏、ありがとね。このプレゼント大切に使う」

「うん。あ、これは冴姫さんに」

「わ、私にもいいのかしら?」

「うん、だって冴姫さんも僕の家に良く来るから」

「ありがとう。私も大切に使うわ」


 絵美里には可愛い犬がプリントされたマグカップ。冴姫さんには猫がプリントされたマグカップを送る。


「あと、これも。最近、髪伸ばしてるみたいだからヘアピン」

「ありがと!!大切にするね」

 

 ボブカットくらいだった髪が最近は段々とのびてきているみたいだったので、ヘアピンも渡す。

 

 冴姫さんにもマグカップをあげちゃったから、絵美里だけ特別なものを渡したかったし。


「それでは、次は私からね。晴夏君、こっちに来て」

「え?はい、いいですけれど」


 部屋の外に連れていかれて何故か、プレゼント用の紐でぐるぐる巻きにされだす僕。


「さ、冴姫さん?」

「あと、これを口に咥えて」

「え?」

「絶対に喜ばれるから。というか私なら今すぐにでも晴夏君を押し倒したいくらい」


 ゴム的なものを口に咥えさせられて、寝室のベッドの上に待機を命じられる。


「晴夏君は絵美里が来たら可愛く、エッチしよ?って言えばいいですから」

「ほ、本当に喜んでくれるんですか?」

「うん、絶対に」


 こういうことって女子が男子にしてくれたら嬉しいことだけれど、男子が女子にしても嬉しいのか全く分からないけれど、ここまで来てしまったらするしかないので覚悟を決める。


 数分後、寝室のドアをノックされるので声を掛けるとゆっくりと扉が開く。


「え、っと絵美里。その.....えっち、しよ?」

「っ!!晴夏!!」


 絵美里が僕にものすごい勢いで、抱き着いて、胸いっぱいに僕の匂いを取り込んでいく。


 その目は肉食獣のような目で、僕の事を骨の髄まで食らいつくしてそんな感じだ。


「冴姫。ありがとう。最高の誕生日プレゼントだよ。晴夏?今から沢山愛し合おうね?私の愛を精一杯伝えて見せるから」

「う、うん」


 いつもの元気溌溂な絵美里の影を残しつつも、どこか妖艶で淫靡な雰囲気を漂わせている絵美里に身を委ねることにした。


 夜ご飯を食べることも忘れ、お互いに今までの思い激しく思いをぶつけあい、さらに仲が深まった。


 僕は、冴姫さんと絵美里。


 二人を相手に出来るか少しだけ不安になりつつも、その日は眠りについた。

 





 


 

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