4 都合のいいシュレディンガー
ヤギリ
人間・男 Lv4/侍祭 Lv4
スキル
『浄化Lv1』『槍Lv2』『腕力強化Lv3』『マッピングLv1』『看破Lv2』
魔法
なし
朝です。夜通し野犬と戯れた結果がこちら。悪くないんじゃないでしょうか。格上なだけあって、経験値おいしいです。
今のところ『腕力強化』が一番仕事しているかも。補正が乗るっぽい?何となく、たぶん、そんな気がする。
そんなこんなで街に戻りましょう。流石に疲れたよ。装備もボロボロだしね。
ついでに手持ちアイテム類もスッカラカン。出費が捗るね。
日が昇れば、夜には見なかった兎だのが出てきてるね。でも今はスルーで。
ごめんね、埋め合わせは今度槍でするからさ、期待して待っててくれ。
門で守衛さんに変な奴を見る目で見られながらも街へゴール。今ちょっとだけテンション高いのは許してねっと。
半日ぶりの街中が、何やらとても騒がしい。早朝だぞ?君たち、こんな朝早くから何してんのさ。
まぁイベントとかあれば徹夜なんてネトゲじゃ珍しくはなかったけども。
「二日目からイベント情報でも出たのかな?」
内部掲示板とかもまだ一回も見てないしなぁ。思わず口から出た言葉に答えが返ってくる。
「ログアウト禁止ってやつらしいですよぉ」
間延びした声で気怠さそうな女性だ。今もベンチで仰向けに寝転がったまま視線すら向けずに答えてくれる。
「へぇ、それはまた物騒な、創作の中だけの話だとばっかり思ってましたよ」
メニューを開きログアウトを探せばログアウト項目がグレーアウトしている。
押しても反応はなく他にそれらしきものもない。
「あーでもこれハード側で落とせば普通に戻れるのでは?」
内部のゲームコマンドとして選択することができないなら、当然VR機器ハード側で、と考える。
「その辺はもう一応結果出てましてねえ、現実で機器とのリンクが切断されても意識はここに置いてけぼりらしいですよ。詳しくは掲示板に載ってます。あとメールにお知らせとして来てますよ」
確かにメール来てんね、12時間前に… 今気が付いたから今このメールは存在した。シュレディンガーのメール理論。観測されることですべてはそこに存在できるのだ、開封開封。
《敵を倒せ》
え?これだけ?敵とは?ってか個人的ではなくプレイヤーの敵は完全に運営になってると思うんですがそれは。というか運営なのか?
…ま、いっか、何とかなるでしょ。考えたところで分からない物に思考のリソース割いてられない。それに現実に戻る用事も特にないしね。
「反応薄いですね?」
「こんなもんでは?どうしようもないしわからないことしかないんだし」
「ですよねぇ、あー寝たきり生活ばんざーいーさようなら筋肉こんにちはリハビリ」
危機感のねえ会話である。かじった程度の知識でもログアウト禁止とかなったらもっと焦るもんだろうに。
「えーっと「ヤギリ」ヤギリさん今まで何してたんですか?外から帰ってきましたけどぉ、もしかして戦闘?敵見えるんですか?あ、私はアヤカです」
「どうもアヤカさん、戦闘帰りはあってます、敵は見えません。レベルは4なったとこで一晩頑張ってこんだけです」
「いやいやいやあ、見えないのに戦ってレベリングって…詮索はよろしくないですね。今度気が向いたらキャリーしてくださいよ、私今夜間戦闘でのデスペナ中何なんで気になります」
「気が向いたらね、そういやさ、生産系やってるプレイヤーどの辺集まってるか知ってる?」
「強化?」
「修理、出来たらもうちょいマシな装備欲しい」
んっ、と指で指示した方向は店舗の立ち並ぶ大通りとは真逆。倉庫街と並んで職人街があるらしく、プレイヤーたちはそこで工房を借りてるとかなんとか。
「ありがとね、んじゃ行ってくる」
「いってらっさーい」
職人外へ突撃。
出来れば腕のいい人と御近付きになりたいもんだ。
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