第6話


「おう、昨日の少年じゃねぇか。ゴブリンを倒せたのか?」


「あぁ、3人で狩ってきた」


「結局、後ろの二人と行ってきたようだな」



 おっさんが「うんうん」と頷きながら話しかけてくる。



「まぁな」


「じゃあ、討伐証明部位を提出してくれ」


 そう言われたので、袋ごと渡す。


「1、2、……、23———銅貨11枚と鉄銭5枚だ」


「どうも」



 おっさんからそれらを受け取る。


 (ゴブリン1体あたり鉄銭5枚か……)



「ところで、パーティーは組むのか?」


「はい! そうします!」



 おっさんが尋ねると、ウォルクが元気よく答える。

 俺たちは、帰り道に話し合い、あらかじめパーティーを組むことにしていた。


 その後、受け取ったお金は3人で分けて残りはパーティーの共同資金とした。

 こうして俺は初めての稼ぎを手にすることになった。



「今日は助かったよ」


「俺たちもゼオユーランとパーティーが組めてよかったよ」


「あ、明日からもよろしくね?」



 サラが若干緊張が抜けないながらも、出会ったときよりはやや軟化した様子で言った。



「あぁ、パーティーだからな」



 そう言ってからギルド前で別れ、宿泊先の宿屋へと向かい、食事を済ませる。その足で泊まっている部屋へと向かい、ベッドに潜って目を閉じた。


 その数分後には規則正しい寝息が部屋に響いていた。




   ♢



 俺は朝起きてすぐに食堂で朝食をとり、宿の裏庭で素振りをしていた。


 普通の人は剣術スキルを得たり強化したりするときに素振りは勿論のこと、それに加えて道場に通う。

 だが俺は成長促進により、素振りだけで剣術(中)まで得た。チリも積もればなんとやら。


 そういうわけで、今や剣の素振りは朝の日課となっている。正直、効率は良くないと思うけど。



「ゼオユーランさん、おはようございます」


「ノーラさん、おはようございます」


「朝から素振りとは偉いですね」


「これをするのが習慣になっていますので」



 素振りをしていると、俺が泊まっている宿の亭主の娘で看板娘と言われているノーラさんがやってきた。


 ……なんで名前を知ってるのかって?


 昨日の夕食時に食堂でノーラさん目当ての冒険者の宿泊客たちの会話を耳にしたからだ。



「ゼオユーランさんって冒険者なんですよね?」


「あぁ、はい。昨日登録したばかりですが」


「何の依頼を受けたんですか?」


「ゴブリン討伐です」


「ええっ! その年齢でいきなり討伐依頼ですか!」


「まぁ、運良くパーティーを組めたので……とは言っても、その仲間たちも俺とそう年齢は変わりませんが」



 ノーラさんが驚いた顔をしているそばで素振りを続けていると、ノーラさんは「頑張って下さい」と言い残して宿の中へと戻っていった。




   ♢



 俺は冒険者ギルドの待合所の椅子でウォルクとサラを待っていた。



「坊主が自称スキル10個持ちってやつか?」



 ふと、目の前にいる巨漢が話しかけてきた。三十代後半くらいの男だ。



「自称じゃなくて事実ですよ」


「ふむふむ」



 一瞬その男の目が光ったような気がした。

 その時、《魔力感知》で少し違和感を感じたが、その感覚はすぐに消えた。


「なるほどな、確かに……」


 男が何か考え始めたが、少し経つと驚くべきことを言ってきた。


「坊主、俺のクラン、『夜明けの君主』に入らないか?」








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