第9話 ダメかもしれない。



あれ以来何度か菓子を作って試食してるけど、変わったことと言えば見た目に凝りだしたってことぐらいで味は変わらない…。


でも見た目が凝っているせいなのかはわからないけど、前みたいにとんでもない組み合わせをすることはなくなった。



けどさ、文化祭で東藤のクラスがやる出し物というかメニューは決まっているのに、いまだに作り続けてるのはどういうことなんだ?

料理というか菓子作りがうまくなりたいってことならいいんだけどさ。


東藤を目の前にするとどうしてもそこの確認することに躊躇してしまう。


試しに遠回しにカマかけてみるか。



「そんなに私を見つめてどうしたんですか?」


「いや、そんなに菓子作って大変じゃないのかなと思って。」


「大変じゃないですよ。だって、楽しいですし、何より食べてもらえますし!」


「ふーん。食べてもらえればそれでいいのか?」


「はい!」


「そしたら俺じゃなくてもよくないか?」


「それは…せ、先輩なら率直な意見言ってくれそうですし。」


「ふーん。親じゃダメなのか?あと兄妹とか。」


「いきなりどうしたんですか?嫌になっちゃいました?」



やばい、ちょっとすねるというか怒っているというか、そんな雰囲気になってしまった。

ごまかせるか…?



「嫌ではないけど、どうして俺なのかなと思って。」


「理由はさっき言ったじゃないですか。」


「まぁ、そうだけど。」


「何が言いたいんですか?飽きちゃいました?味がおいしくないし、無理に付き合わせてしまってますし…。」


「そうじゃない。」


「じゃあなんですか…?」



やりすぎた、か…?

完全に東藤が怒ってるように見える。

俺がカマかけたのがいけないけど、そろそろ正直に話すしかないか。



「東藤のクラスの出し物ってメイドカフェなんだろ?」


「何でそれ…あ、そっか。そこから情報が行くこと考えてなかった。そっか、先輩は初めから知っていたんですね。」


「初めからではないし、最近まで知らなかった。」


「そうなんですね。そっか…バレちゃったんですね。じゃあ、今日でお菓子持ってくるの終わりにします。ご迷惑おかけしました。」


「え?」


「だって、先輩に嘘ついてお菓子作ってたのバレちゃいましたし、これからも作る意味がなくなっちゃったので。」


「そう。俺は迷惑じゃないけど。東藤が言うなら。」


「ねぇ、先輩。」



泣きそうな東藤の目でまっすぐに見られると目をそらしたくなる…。

少し沈黙が流れた後、東藤が口を開いた。



「やっぱり何でもないです。じゃあ。」



そう言って東藤は帰って行った。

俺がつっこまなければこのまま続いたのかもしれないよな。

でも知ってしまっている以上は黙っているのも申し訳ないし、どうしたら良かったんだ。





その日、いつも試食会が終わった後に来るメッセージは来なかった。











-つづく-



読んでいただきありがとうございます(*‘∀‘)

2万字で完結するかなとか思い始めてたけど、頑張って完結させます(笑)



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