第29話 スペシャル玉手箱EXリターンズ

「ガメギヂさん良がっだね゛。」



 久満子ちゃんは感動したようで、さっきから泣いていた。



「ジャンヌが動物好きだったからこその結果だな。」


「う゛ん。」



 めっちゃ鼻水出とる。


 ハンカチを手渡すと、ずびーっと鼻をかむ彼女。



「そう言えば玉手箱の中身って何だったんだろうな?」



 ちょっと確認してみるか。



 丁度ダイ達が中を確認しようと、箱を開けている場面がディスプレイに映り込んだ。


 箱の中には乙姫オツヒメのサイン入りヌード写真集と手紙、それから指輪が入っていた。


 ダイが手紙を開く。



 魔神軍の皆様へ


 この手紙を読んでいるという事は、世界を救って下さり、皆様はお帰りになった後なのでしょう。私はこの写真集で財を築き上げ城まで建てました。創造神様にも写真集が気に入られ、不思議な道具をたくさん譲り受けています。今回のお礼として、そのうちの一つである召喚の指輪を差し上げます。登録された存在を呼び出す道具です。指輪には10人まで登録出来ますので、是非お役立てください。一人目に私を登録していますので、いつでもヌードを見たい時はお呼び下さい。 乙姫オツヒメより



 乙姫オツヒメのヌードかぁ…いいなあ……。


 あっ。ダイ達をここに呼んでから召喚の指輪を使わせれば良いじゃん!



「ダイ達もここに呼んであげたいんだけど良いかな?」


「勿論だよ! まだサリリちゃんしか来た事ないもんね。」


「じゃあ早速呼んでみるよ。」



(サリリ?)


(どうしましたか?)


(複数人を連れてこっちに転移出来るか?)


(可能です。)


(俺が呼んでるって言ってダイとジャンヌを連れてきてくれ。)


(はい。少々お待ちください。)



「こっちに来るって。」


「みんなに会うの楽しみだね!」



 久満子ちゃんは嬉しそうだ。


 呼び鈴の音がしたのでドアを開けると、魔神軍3人が勢揃い。3人を招き入れた。


 今後もずっと付き合っていくんだし、堅苦しいのもどうかと思いフランクに接する事にした。



「良く来てくれた。歓迎するよ。今後も長い付き合いになるんだから、気軽に接して欲しい。」


「ありがとうございます。」



ダイが代表して礼を言う。



「みんなに紹介しよう。この人は……」

「嫁の久満子でーす!」


「……という事だ。」



 自己紹介もそこそこに、ある程度の事情も説明していく。今後の事を考えれば、こちらの情報も知らせておいて損はないと思ったからだ。



「つまり神様は他にもたくさん居たって事か。」


「異世界があるのですから予想はしていましたが……。」



 ダイとジャンヌも現状を理解出来たようだ。



「サリリは魔法で大体分かってただろ?」


「はい。」


「取り敢えず、これで全員の認識を多少は共有出来たと思う。なので……」


「なので?」



 久満子ちゃんが合いの手を入れる。



乙姫オツヒメ呼んでみてくれ。」



 女性陣がぽかーんとした顔をしている。


 何だ?



「あの……。」


「ジャンヌどうした?」


「もしかして、神様は乙姫オツヒメのヌードを見たいのですか?」



 おいおい。そんな訳ないだろう。


 俺は肩をすくめ、フッと笑い……



「いやいや、召喚の指輪に興味があるんだよ。実際に試してみないと分からない事もあるだろ? 同じものを用意出来るかもしれないし?」



 女性陣がじーっと俺を見る。


 な、なんだよ。



「神様はきっとそういうつもりじゃないよ。だって嫁の女神様がいるじゃないか。」



 そう言ってダイは俺にアイコンタクトを取る。


 流石はダイ! 分かってるじゃないか。やっぱり男同士通じるものがあるのだろう。


 俺達は造物主と被造物の関係にありながらも……確かに今、心と心が一つになった。


 女性陣は今一つ納得いってないようだが。



「神を疑うなんて不敬だぞ。あっ、久満子ちゃんも信じてね?」


「えー? ほんとかな………」

「さあ。ダイよ!」


「はっ!」



 久満子ちゃんが何か言いかけたのを慌てて遮る。


 ボロが出る前に呼び出してしまおう。



「召喚の指輪を試してみようじゃないか!」


「勿論です! 使ってみたら、あー! こんな欠陥商品だったなんて……という事態を早めに知る事が出来るかもしれません。」


「流石はダイだ! 魔神の名を冠するに相応しい。」


「ありがとうございます!」



「ねえ。その茶番はまだ続く……」

「指輪よ! 登録されし者を呼び出したまえ!」



 流石はダイ。俺の真似をして久満子ちゃんの言葉を遮り、召喚を強行してしまった。


 指輪が輝き皆の目の前で乙姫オツヒメが召喚された。



「早速召喚してくれたんですね? ありがとうございます。」



 生の乙姫オツヒメだ。めっちゃ美人。



「早速だけど紹介したい人がいるんだ。」



 ダイはそう言って俺と久満子ちゃんを紹介した。



「ええ? ダイさん達の神様ですか!? 私以外にも神様と直接会ってる人がいたんですね……」



 お?



乙姫オツヒメも自分のとこの神様に会ってるのか?」


「はい。毎晩ヌードを見に来ます。」



 毎晩!?



「あー、もしかしてそっちの神とはそーゆう関係だったり?」


「いえ? 神様は触れないからこそ美しいものもある……と言って絶対に触ってきません。」



 極めて高度な変態だな……。


 でも、もしかしたら芸術的な意味合いかもしれないし……。



「その神様は他にも何か言ってたりするのか?」


「はい。絶対にいつか滅茶苦茶に触ってやるって言ってますね。私は触っても良いって言ってるんですが……」



 え? 本人の許可があるのに触らないの?



 やっぱり高度な変態だったか……


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る