2 譲れないユニフォーム問題

「「ユニフォ~ム♡」」


 四谷さんと伍井さんは瞳を輝かせる。

 わかるっ。ユニフォーム選びって、テンション上がるんだよね。


 私たちはパンフレットを見るために、四谷さんと伍井さんの元へ。縦に長く並べられたテーブルの片側に集まった。


「やっぱりスコートは外せませんよね?」

「だねだね、私も賛成。ちなみにインナースパッツ付きだから、思いっきり動いても大丈夫なんだよ三波さん」

「そうなんですの? 別にワタクシは気にしませんが、確かに視線が行って試合どころではありませんわね」

「じゃあ取りあえずスコートは決まり♪ 上はどうする? 私はこれの青がいいけど、茉鈴は白?」

「うん白だね。じゃあ花林が選んだこれの青と、白の2着に決まり♪」

「ちょっとお二人とも、勝手に決めないでください。私はこちらのワンピースタイプが良かったんです。ですよね一ノ瀬綾海さん?」

「え? ううん、何でよ。私そんなこと一言も口にしてないじゃん。私はこのセパレートタイプのピンクがいいって思ってたんだよ? 三波さんは?」

「ワタクシの欲しいものは、ここにはありませんわ。ですので、セバスに――」


「えーっ」と、みんなで三波さんを見る。

 どうやらみんな、好みがはっきりと別れているようだ。しかも互いに譲れない雰囲気を出している。


「困りましたね……。 ならこうしましょう!」


 今度は三波さんと一緒に、私たちは眼鏡をくい上げする二葉さんへ視線を送った。



「美鳥さん、一体これで何をするんですの?」


 コートの隅に立たせた筒状のシャトルケースを見て、三波さんは小首を傾げた。

 でも既に状況を把握出来ている私たちは、ぎゅいーんと腰や腕を伸ばしてストレッチを始めていくのである。


「このシャトルで、あちらにあるケースを倒すだけです。コントロールの練習にもなるんですよ? ではみなさん、準備はよろしいでしょうか?」


 二葉さんは短く息をすぅっと吸い込むと、眉をシャキーンと上げてなおも続けた。


「シャトルコックチャレンジ対決、開始です!」

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