第14話 宮廷魔術師の思惑とハリブ村への派兵の知らせ

 ――王さまが会議中のころ。宮廷魔術師たちは……。


 王宮の一角、宮廷魔術師たちが集まっている。


「王は会議をされているとのこと。我々が話し合うなら今です」

「“空っぽの守護獣ビースト”を見て、まさかと思いましたが……」

「やはり本物だった。炎の名家のご子息に、感謝しなければ」

「ようやく……神獣さまがご降臨なされた」


 感慨深げに大魔術師が息を吐く。


「我らの魔術は、神獣さまへの忠誠が条件。忠誠のないものは魔術を使えない」

「王ときたら……。神獣さまを忌まわしき存在と切り捨てる」

「そんな国に未来はない」

「騎馬族の語り部は哀れだった……。かれらは良かれと思って力を貸した。

 神獣さまのまじないが、守護獣ビーストを召喚するものとは知らなかった」

「“悪い王さま”の子孫も、悪い王さまとは救えない」

「今こそ、国を立て直すとき。真なるを取り戻すとき」


 宮廷魔術師たちは静かに神獣へと祈った。




 ――ところ変わってハリブの村。首領と話し合うレオ。


「すごい!ほぼ全ての村なんですよね!

 こんなに賛同してくれるなんて……!」


 首領のテントで、俺はハリブの首領が渡してくれた手紙を、感激しながら読んだ。


「そりゃ、うちのあるじは騎馬族で1番強いからね」


 首領のトラの守護獣ビーストが自信満々に答える。

 ちなみにイオは、トラの守護獣ビーストのしっぽで遊んでもらっている。


「そんなスゴい人に訓練して貰えたんだ……。師匠、ありがとうございます」


 すっかり俺の師匠となった首領に、改めてお礼を言う。

 ここ数日で武術を叩き込まれ、騎馬族のことを叩き込まれ、俺と首領の絆は強くなった。


「師匠はやめろ。首領だ。

 レオには、私たちのためにトコトン働いてもらう予定だからな」

「頑張ります。子どもが総督そうとくなんてバカにされると思っていたので」


 騎馬族は自然や魔物と戦いながら暮らすため、実力主義が普通だ。

 だからこそ、騎馬族で1番強いハリブ村の首領に認められたということは、騎馬族の首領全員にほぼ認められようなものなのだ。


「まあ、どの村も魔物狩りの負担を軽くできるなら、何でもいいというのが本音だろう。

 うちもそうだからな」

「それは構いません。俺も街の外がこんなヒドいことになっているなんて、思っていませんでしたし……」


 もちろん、慎重な意見もあった。

 伝説の神獣さまが、突然現れるなんておかしいというものだ。

 気持ちは分かるから、村に出向いて説得できたらいいと思う。


「ところで、次はどの村に行くつもりだ?」

「手紙を読んで、疑っている村に行けたらと思っています。

 でも色んな村の魔物狩りの手伝いたいので、どうしようかと……」

「村を集めてもいい。騎馬族ごとになわばりはあるが、そこを出てはいけないという決まりはない」

「そうなんですね、」

「首領!ラカータ村から緊急の知らせだ!」


 血相を変えた村人がテントにかけこむ。


「なんだと!?」


 村人の手には、鳥の形に折られた手紙がある。

 これは王国でも見たことがある。数秒で相手のもとに手紙を飛ばす魔術だ。

 首領が内容を読む。


「全員集めろ!王国がとうとう兵を出した!!」

「!」


 戦争?騎馬族と?

 訳が分からないまま、広場に集まる。


「ラカータ村より急な知らせだ。王国が騎馬族を滅ぼすために、兵を出したそうだ」

「なんだと!?」

「やりやがったな!」

「どこまでコケにすりゃ気がすむんだ!」


 色んなところから怒りの声がする。

 今まで散々無茶を言われてきたのに、さらに


「ジーウェイによると、全ての騎馬族へ知らせたそうだ。

 そこで、各村で役割を決めて迎え撃つ」

「俺たちの強さを見せつけようぜ!」

「当たり前だ!」

「好き勝手にさせねぇぞ!」

「このままバカにされてたまるか!」

「うぉぉぉおおお!」


 村人たちがこぶしを振り上げ、雄叫びをあげた。


「さすが血の気の多いハリブですわね」


 俺の隣に移動してきたジゼルが、コソッと話しかける。


「当然です!このまま負けっぱなしな訳ありません!!」


 珍しくフェイジュンが荒ぶっている。

 いきなり俺のほうを振り向いた。


「レオさん!総督そうとくのあなたが、この戦の総大将ですよ!!」


 ぐるりと村人たちの視線が俺に集まる。


「そうだ!神獣さまがついてるんだ!負けるわけがねぇ!」

「レオ総督そうとくに俺たちの命を預けるぜ」


 首領が静かな、威厳のある目で俺を見つめた。


「レオ総督そうとく。街からきたお前は家族や知り合いと戦うかもしれない。

 その覚悟で挑め」

「当然です」


 俺は王国にいても人生を潰されたままだった。

 だから、居場所と使命を与えてくれたこの人たちの助けになりたい。

 それでも迷いはある。

 王国の人々も、俺と同じで何も知らない。

 きっと知ってしまえば、騎馬族とも仲良くなれるんじゃないか?と思う。


「出来れば、お互いに傷つかない方法を選びたいな」






 イオのスキル

 ・炎   ★★★

 ・素早さ ★☆☆

 ・回復  ★★★

 ・筋力増強★★☆

 ・大食い ★★★

 ・風   ★☆☆

 ・探索  ★★☆


 タイタンのスキル(フェイジュンの守護獣ビースト

 ・地震 ★★★


 ヒマリアのスキル(ジゼルの守護獣ビースト

 ・子守唄 ★☆☆

 ・風   ★☆☆


 ガニメデのスキル(リーベラの守護獣ビースト

 ・拘束 ★★★



 ◆◆◆

 色んな村が出てきます。ヒロイン以外は名前無しなのでざっと読めるようにがんばります!


 読んでいただきありがとうございました。 

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