第11話 大宴会と神獣の言い伝えとみんなでテント

 村人たちはイオの回復スキルに驚き、みんな感謝していた。

 宴会がはじまると、俺たちはあっという間に首領のとなりに座らせられる。


「いやー神獣さまのおかげで、こんなに体が軽くなるなんて」

「もう、張り切ってお料理作っちゃったわ!はい、これは牛肉の一番おいしいところよ!」

「やったにゃー!」


 イオがよろこんで牛肉にかぶりつく。


「にゃぅぅん……おいしいにゃ」

「本当だ……こんなにおいしい牛肉初めて食べたかもしれない……」

「がっはっは、そりゃこの村の牛だからな!」


 首領は酔っ払っていた。


「神獣さま、俺だけじゃなくみんなを治してくれてありがとうな!」

「ぐっ!痛いです」


 首領が俺の背中をバシンバシンと叩きながら、イオにお礼を言う。

 首領、言葉づかいまで変わってるじゃないか……。


「あらあら、飲みすぎよ」

「いいじゃないか、首領がこんなに酔っ払うのは久しぶりだ」

「毎日魔物狩りだと、酔っ払うほど飲めないからな」


 村人たちの会話を聞いて、力になれたことにホッとする。


「ご主人、もういらないにゃ」

「いつもより食べてないぞ?」

「魔物を食べたからにゃ」

「……あっそう。イオが食べた魔物はどうなるんだ」

「うにゃ?でもお腹いっぱいだと、元気になるにゃ」

「それは、そうだけど。……ご飯と同じなんだな」

「にゃ!」

「よっしゃ!レオ総督そうとく!俺はお前を認めたぞ!これからはお前の盾として、矛として働いてやる!」


 いきなり大声をだしたと思うと、首領は俺に頭を下げた。

 村人が歓喜に湧く。


「うぉぉぉお!」

「レオ総督そうとく!バンザーイ!!」

「レオ!レオ!レオ!」

「ワッショイ!ワッショイ!」


 テンションマックスの村人たちが、俺を胴上げする。


「うわぁぁあ、ちょっと!吐く!」

「ご主人!ヒューヒューにゃっ!」


 グッタリして席に戻ると、イオがお水をくれる。


「今まで見てきて、守護獣ビーストが一番力を発揮するのは、あるじに信頼されているときだ」


 首領はすっかり酔いが醒めていた。


「魔物狩りは心が試される。あるじにためらう心や迷う心があると、守護獣ビーストは本来の力が発揮出来ない」

「お前はバカみたいにまっすぐ神獣さまを信じているから、神獣さまは常に最大限に力を、発揮出来ている。

 神獣さまへの指示も的確だ。あとはお前自身が、魔物狩りの経験を積めば俺より強くなるだろう。

 明日から厳しくしごいてやる」

「はい、よろしくお願いします」

「さて、大ババさまに会ってこい。俺は呑み足りないからな。

 酔っ払いに絡まれたくないならとっとと逃げろ」


 俺とイオは、首領から退散して大ババさまを探すことにした。

 大ババさまが、おババさまの妹だ。

 探しているとフェイジュンが俺に手を振った。


「こちらが大ババさまです」

「でか……よろしくお願いします」


 大ババさまは、ハリブに嫁いだだけあって、全体的にゴツい。

 とても強そうだ。


「神獣さまにお会いできるなんて、なんたる光栄。

 この大ババ、いつ倒れてもよい」

「大ババさま!大げさです」


 フェイジュンが慌てる。


「神獣さまは神の使い。この世を裁くための存在だ。

神獣さまのお力は世界を救う力にもなるが、破壊する力にもなる」


 フェイジュンが首をかしげる。


「私が知っている神獣さまのお話と違いますね」

「それはそうだ。昔は語り部がいてね、神獣さまの伝説や物語をみんな知っていた」


 大ババさまがお茶を飲みながら話はじめた。


「みんなで話を聞きに行っていたものさ。

 それが楽しみだったからねぇ。楽しい話も怖い話も、語り部が知っていた」

「そんな人がいたんですね」

「ある日、王国が騎馬族の物語を本にすると言ってね。

 語り部たちを王国へ招いた。だけど、語り部たちは帰ってこなかった」

「なんだって?」

「そんな……」

「王国が騎馬族に無茶を言い出したのも、同じころかねぇ?

 全ての伝説を知っていたものがいなくなって、年寄りが、わずかに覚えているだけになってしまった」

「今後、騎馬族をまとめれば、全てのお話が分かるんでしょうか」

「完全には難しいだろうね。王国も本当に本を作ったか、分からないからね」


 少しずつ、イオのことが分かればいい、と俺は思った。



 宴会がお開きになって、テントへ。


「お、男の人と一緒に寝るなんて!」


 テントの中で布団を用意し始めると、フェイジュンが突然慌てだした。


「テントを張ったときに、そう言ったじゃないか」

「そ、そうですけど!今になって実感が!」

「じゃあ、私がレオ君のとなりで寝ますわね」


 おっとりとジゼルが言う。お嬢さまなのに男と同じテントは気にしないようだ。


「 ご主人はイオのものにゃ!」

「うわ!」


 イオにガッシリとしがみつかれる。


「おやすみするにゃ」

「分かったよ。寝苦しいから、少し離れてくれ」

「羨ましい……」

「イオちゃんには、かなわないですわ」


ジト目の女の子二人を置いて、俺とイオはあっさりと眠りについた。


 イオのスキル

 ・炎   ★★★

 ・素早さ ★☆☆

 ・回復  ★★★

 ・筋力増強★★☆

 ・大食い ★★★

 ・風   ★☆☆

 ・探索  ★★☆


 タイタンのスキル(フェイジュンの守護獣ビースト

 ・地震 ★★★


 ヒマリアのスキル(ジゼルの守護獣ビースト

 ・子守唄 ★☆☆

 ・風   ★☆☆


 ガニメデのスキル(リーベラの守護獣ビースト

 ・拘束 ★★★



 ◆◆◆

 次は王国のお話からスタートです



 読んでいただきありがとうございました。 

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