まわりみち

林さくら

第1話 幼少期

子どもは親を選べない。

なにかで、子どもは生まれる前に自分で親を選んで生まれてくると聞いた事があるが、絶対に嘘だ。

誰だそんな事を言ったのは⁉︎(笑)


今回は私の幼少期のお話。

幼少期ってとっても大事。


ちょっと暗い話かもしれないけれど、不幸自慢でもかわいそうでしょアピールでもございません。

この頃があってこそ今があるのですから。



私は両親の顔色を見て育った。

母親は天然で頼りなく、子どもに無関心。

話を聞いて欲しくて話しかけても忙しいからと聞いてもらえなかった。

父は常になにかにイライラし、怒鳴っていた。

私は兄と弟がいる3人兄弟なのだが、家族みんな理不尽に怒鳴られてばかり、母と兄はよく暴力を振るわれていた。

いつ父に怒鳴られるか、いつ殴られるか、いつも気にかけていた。



そんな父親だったが、子どもの頃はされど父親。

私はそれなりに頼りにしていたんだと思う。

でも小学5年生の時。

友達と家より少し遠く離れた公園に遊びに行った時のことだった。

すっかり辺りが暗くなり急いで帰ろうとした時、近くで父の笑い声が聞こえた。



こんな時間にお父さんが公園にいるはずがないと疑ったが、「もしかしたらお父さんとお母さんが仲良くなって公園に来てるのかも!」と勝手な期待を込め私は声の主の近くに駆け寄った。

そして父だと確信を得るなり「おとうさーん!」

と笑顔で走り寄った。

だが、父と一緒にいたのは母ではなく、見知らぬ女性。

二人で楽しそうに笑いながら公園の広場でテニスをしていた。



私は見てはいけないものを見てしまった気がした。

子どもながらにただならぬ関係だという事はすぐにわかった。

いつもイライラして怒鳴っているお父さんが他の女の人と楽しそうに笑っている。

子どもながらにショックで「うわーん!」と大声で泣き叫んでしまった。

女の人は、泣いてしまったと動揺していた。

私は泣き叫びながらその場を走り去った。

呼び止める父の声を無視して。



涙は家に着く前に拭い去った。

母にバレないように。



いつものように家に帰り、普通を装った。

当然、母にも誰にも言えなかった。



父はその日家には帰って来ず、翌日、何事もなかったかのように帰ってきた。

私も何事もなかったかのように振る舞った。



小学5年生。11歳。

この頃くらいから私は心に得体の知れない不安感を抱えながら生きてきて今に至っているのだが、その話はまた別の機会に。



さて

幼少期に親とのコミュニケーションが著しく乏しかった子どもはどの様に育つのか?

手もつけられないような問題児?

人とのコミュニケーションが取れなくなってしまった不登校児?

それは人それぞれだろう。



私の場合は【自由奔放】になってしまった。

悪い意味で。

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