学校攻略ゲーム

ゆー

episode1/プロローグ、そして事の始まり

それは突然に訪れた。

平和だった校舎は一瞬で喧噪に包まれた。


…んん……眠い……。

五限目の国語、日光が降り注ぐ窓際、クーラーでちょうどよく調整された室温。

そこから導き出されることは一つ、そう…

居眠りだ!

僕は今とんでもなく眠いのである。

決して昨日夜遅くまで動画を見ていただとか、

国語なんて勉強しなくても成績が大して変わらないから寝ても良いだとかそんなことはないのだ。

すべてこの環境のせいなのである。

「あ、すみません。授業プリント忘れたので職員室行ってきますね。」

そう言って教師は教室から出ていく。

これでようやく昼寝の時間が取れた…そう思ったとき。


『キーンコーンカーンコーン』

いきなりスピーカーからチャイムが流れる。

一瞬本当に授業が終わったのかと思ったがどうやらそうではないらしい。

すぐにクラスはわいわいがやがや騒がしくなる。

先ほどまで僕の頭を支配していた睡魔はどこか遠くに飛ばされてしまったようだ。

ごめんよ睡魔くん……夜には戻ってきてね。

そんなことを考えていたら、隣に座っている人が話しかけてくる。

「チャイムなったけどどうしたんだろうねー」

話しかけてきたのは春。付き合ってからかれこれ数年くらいの僕の恋人。優しいよ。

根っからのコミュ障の僕だけど、春とは自然に話せる。

「僕今日遅刻したからわかんないんだけど、ホームルームでなんか言ってた?」

そう、僕は普段からよく遅刻するのである。

いや別に朝起きたくなくて布団にくるまってたとか、

昨日の夜に用意してなかったとかそんなんじゃ…(ry

春はそんな僕にちょっと笑ってから

「なんも言ってなかったと思うけどなー」

と言って、僕の顔を覗き込んでくる。

やめてくれ…!そんなに整った顔で覗き込まれたらさらに惚れちまう…!

僕があーとかうーとかうなってたら、またもやスピーカーから音声が流れてくる。

だけど今度はチャイムじゃない。


『あ、あ、あ、聞こえていますでしょうか皆さん。』

これはどの先生の声なんだろうか。小学校のころから一貫して帰宅部所属のおかげで何一つわからない。

春に聞こうかとも思ったがあちらも帰宅部。あまり変わらないだろう。

『えーこちらは放送室、放送室でございます。』

んなこと分かってんだよとひととおり心の中で突っ込んでから次の言葉を待つ。

『今から皆さんにはあるゲームを攻略していただこうと思います。』

静かになっていた教室に再びざわめきが戻る。

なんだなんだゲームだって?マリカなら負けんぞー。

僕がどこかからコントローラーが出てくるのかと期待していると、

『ではまず、全員教室から出てください。』

と、放送がかかった。

なんでだろねーとか話しながら教室から出た時、どこかでガラスが割れる音がした。

みんなが音がした方を向く。

見えなかったがどうやら一組で窓ガラスが割れたらしい。

そう思っていたらまたもやガラスが割れる音と悲鳴が。今度は二組かな。

僕たちのクラスは六組。まだ時間はある。

とりあえず教室に誰もいないかだけちらっと見て、僕たちはできるだけ教室から離れる。

合わせて五回ガラスが割れた。次は僕たちのクラスだ。

ここで好奇心に負けてしまうのが僕。どんな風に割っているのか気になってしまった。

少しだけ歩いてドアから教室を見てみる。次の瞬間、驚きの光景を目にするとも知らずに。

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