誕生日

朝御飯を持って行った。


俊君は、優生の隣に座っていた。


「はい」


「ありがとう」


「じゃあ、食べようか?」


『いただきまーす』


三人で、ご飯を食べる。


「理名、美味しいよ」


「よかった」


俊君は、そう言って笑った。


『ごちそうさまでした』


同じタイミングで、食べ終わった。


「なぁー。俊君は、何が欲しい?」


優生は、ご飯を食べ終わると聞いた。


私は、食器を下げに行く。


コーヒーとカフェインレスのコーヒーと牛乳をコップにいれて持って行く。


「ケーキが食べたい」


その言葉に、優生は泣きそうになっていた。


「買いに行こうか!ケーキ」


「うん」


俊君は、ニコニコした顔で笑った。



そして、私達三人は出かける事にした。


俊君は、後部座席にシートベルトをつけてきちんと乗ってる。


窓の外を流れる景色をジッーと見つめている。


優生が、暫く車を走らせて昨日怒られた複合施設についた。


この街では、ここが一番大きな施設だった。


「さあー。何のケーキを買おうか?」


車から降りた俊君と並んで歩いた。


「何があるかな?」


「何にしようか?」


ニコニコ笑いながら歩く。


私達の本当の子供なら、よかったのに…。


「ねぇー。誕生日プレゼント買おうよ!」


私の提案に、俊君は驚いた顔をした。


「買ってくれるの?理名」


「任せなさい」


「そうだな!せっかくだから、買おう!」


「本当に?本当」


「本当だよ!」


「嬉しいよ!理名」


「うん、じゃあ何がいい?玩具?勉強道具?」


俊君は、私と優生の手を握ってくれる。


どう見たって、私達は仲良し親子だ。


子供がいたら、優生にこんな顔をさせていたのかな?


「理名、どうした?」


「ううん、何でもない」


「理名の顔、怖かったよ」


「そうかな?」


「そうだよ」


『ねー』


二人で、ハモらなくてもいいではないか…。


「笑っておきますよ!」


「それが、一番だよ」


「そうそう」


複合施設に入る。


別に、私達をジロジロ見る人もいなかった。


「あのね、筆箱欲しい」


「いいよ」


「どんなやつ?」


俊君は、私達から手を離してキラキラした顔で、キャラクターなどがある棚を見つめてる。


「これ、優生が好きなアニメのキャラクターじゃない?」


「これ、ちびっこに流行ってるらしい!職場の人が言ってた!」


「それ、欲しいの」


俊君は、私達を見つめていった。


「これ、いいよ」


「駄目だよね。高いから」


確かに、キャラクターだけあって他の商品よりは高い。


「いいよ!誕生日なんだから」


「ほんとに?」


「うん」


「そうだよ!遠慮すんな」


キラキラした顔に変わった。


「どうせなら、ノートも鉛筆も消しゴムも買ったら?」


「ほんとに?ほんと」


「いいんじゃないか、買っちゃえ、買っちゃえ」


優生は、ニコニコ笑いながらノートを取って渡してる。


俊君は、両手いっぱいにキャラクターの文房具を持った!


「じゃあ、買いに行こう」


そう言って、レジに行って「プレゼント包装で」とお願いした。


包まれたプレゼントを俊君に渡すと泣いていた。


「泣くなよ!まだ、まだだぞ」


「そうだよ!これから、パーティーの準備しなくちゃ」


「パーティー?やってみたい」


俊君は、ニコニコ笑ってた。


買い物を済ませ、チョコレートケーキがいいと言われてホールでチョコレートケーキを買った!


11本のローソクをもらった。


車で家に帰り、優生と俊君は、先にお風呂に入ってもらった。


私は、その間に料理をする。


「唐揚げ、エビフライ、ハンバーグ、ポテトサラダ、が食べたい。」


と言われたのだ。


手際は、良くない私だけれど…。


ハンバーグを焼きながら、レンジでじゃがいもをチンする。


揚げ物をあげる。


気づいたら、二人はあがってきた。


並んで、お水を飲んでる。


まるで、家族みたいだ。


本当に、俊君が子供だったら幸せだったろう。


子供がいたら、こんな素敵な日々だったのだろう。


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